【第一話】 『悪役令嬢、目を覚ます』
まぶしい光が、ゆっくりと視界に差し込んでくる。
「……ここ、は……?」
重たいまぶたを開けると、見慣れない天井が広がっていた。
豪華な装飾。
整えられた室内。
まるで――物語の中の貴族の部屋みたいな空間。
いや、違う。
これは――
「……アストレア・エーテル?」
その瞬間、頭の中に一気に記憶が流れ込んできた。
私は思い出した。
自分が、あの乙女ゲーム
『アストレア・エーテル』をプレイしていたことを。
そして――
その世界に、転生してしまったことを。
「……嘘、でしょ」
ありえない。
そんなこと、あるはずがない。
だけど、この部屋。
この体。
この記憶。
全部が――現実だった。
鏡に映る、自分の姿を見る。
長い髪。整った顔立ち。
どこか冷たくて、高貴な雰囲気。
この顔は、知っている。
何度も見た。
何度も――バッドエンドで。
「……まさか」
喉が、震える。
嫌な予感が、確信へと変わっていく。
(時間経過)
数日後――
私は、王都にある名門貴族学園
アストラリス学園へと足を踏み入れていた。
ここから、すべてが始まる。
ゲームの舞台。
すべてのルートの起点。
そして――
破滅への第一歩。
ざわめく学園内。
貴族たちの視線。
華やかな空気。
その中で、一人の少年が現れる。
「道を開けろ」
燃えるような瞳。
♈ カエル・アステリオン――牡羊座の王子。
続いて――
♉ ダリウス・アステリオン。
♊ ルシアン・アステリオン。
♋ ノエル・アステリオン。
次々と現れる王子たち。
♌ レオンハルト。
♍ シエル。
♎ アルヴェリン。
♐ オリオン。
♑ ヴァレリアン。
♒ セラフィン。
♓ ミハイル。
――十二星座の王子たち。
その中心に立つ存在。
王国の象徴。
そして、このゲームの攻略対象たち。
(……やっぱり、ここはゲームの世界……)
私は確信した。
間違いない。
ここは――
アストレア・エーテルの世界だ。
そして。
最後に。
ゆっくりと、私の名前が呼ばれる。
「アリア・アストレリア様」
その瞬間――
心臓が、大きく跳ねた。
(……え?)
(ちょっと待って……)
(その名前って……)
思考が止まる。
そして、次の瞬間――
すべてを理解した。
(私……この世界で――)
(最も嫌われ、最後には破滅する存在……)
(――悪役令嬢!?)




