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【プロローグ】 『すべてを終わらせるはずだった最後のルート』
乙女ゲーム『アストレア・エーテル』。
それは、十二星座の王子たちと恋をしながら、世界を救う物語。
どのルートを選んでも、最後に待っているのは――
“星を喰らう魔王”との決戦。
そして勝利すれば、物語はハッピーエンドを迎える。
私はこのゲームが大好きだった。
何度も繰り返して、何度も選び直して。
気がつけば、すべてのルートを攻略していた。
牡羊座、牡牛座、双子座――
十一人の王子たち。
それぞれの物語、それぞれの結末。
すべて、この目で見届けた。
だけど――
まだ、終わっていない。
最後に残ったのは、たった一つのルート。
蠍座の王子。
第一王子――ラフリ・アステリオン。
このルートだけは、他と違っていた。
出番は少なく、情報もほとんどない。
まるで、最初から隠されているかのように。
それでも、ここまで来たんだ。
「これで……全部終わる」
私は、最後のルートを選んだ。
物語は終盤へと進んでいく。
静かに、確実に――結末へ向かって。
そのはずだった。
「え……?」
突然、視界が揺れた。
頭がくらくらして、力が入らない。
おかしい。
まだ、終わっていないのに。
ラフリのルートは――
「待って……まだ……終わって……」
その言葉を最後に、
私の意識は、深い闇の中へと沈んでいった。
そして――
すべては、ここから始まる。




