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偽装結婚の私たちは、互いに誰かを演じ合う―代役夫婦が本物になるまで―  作者: 春樹凜


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12/28

12.朝のやりとり



 翌朝、窓から差し込む光で目を覚ました。

 目を開けた瞬間、いつもの見慣れた天井じゃないことに気づいて、やっとここがベルーナ邸ではないことを思い出す。  

 なんだか少しだけ不思議な気分だった。


 予定よりも早い時刻のためか、まだアンネは来ていなかった。

 彼女が来る前に一人身支度を整えていると、部屋の内にあるドアから、控えめなノックの音が響く。


「ルナ、起きてるか?」


 扉越しに聞こえたのは、エヴァンの声だった。


「ええ」


 扉を開けようとすると、すぐに彼の方から待ったがかかる。


「いやいいよ、朝の準備の途中だろう? 音が聞こえたから声をかけてみた。あと、調子はどうかなって。……よく眠れたか?」


 既に服は着替え、髪も顔も整え終わっている。

 けれどそれを知らないエヴァンは、気を遣ってくれたらしい。

 その気遣いが嬉しくて、思わず小さく笑いながら答えた。


「おかげさまで、ぐっすり」

「そっか。ならよかった」

「きっとあなたのお陰ね。隣にエヴァンがいるんだって思うと、安心して眠れたから」

「……」


 突然扉の向こうが沈黙する。


 どうしたのかと思い声をかけるも、返事がない。

 心配になった私は、鍵に手を伸ばしてガチャリと回しかけ――。


「っ、今開けないでくれ!」

「エヴァン、あの、ごめんなさい、あなたの声が聞こえなくなったら、何かあったのかと思って……」

「ごめん、何でもない。ちょっと今俺の顔、見れたもんじゃないからそこ開けないで。もう少ししたら落ち着くから、時間がほしい。……頼む」

「わ、分かったわ」


 彼の言葉通り、しばらくすると、普段と同じトーンのエヴァンの声が返ってきた。


「あー、いや、声かけたのはさ。昨日言ってただろう? 一緒に視察に行かないかって。朝食の後にでもどうかなと」

「勿論覚えているわ。嬉しい、連れて行って!」

「分かった。じゃあ、汚れても構わない服にしときなよ。あと、動きやすさ重視で」


 エヴァンに言われたように、私はすぐに視察に適した服に着替え直す。

 その後やってきたアンネに、髪の毛も邪魔にならないようにと一つにまとめてもらった。



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