第9話
核戦争後の荒廃したパラレルワールドでの本編『光と陰ー織りなす夢の形』のスピンオフとなります。
主人公ジョー・テンペストはその世界で生まれ育った18歳の男の子。
ふとしたきっかけで未知の体験をしていくことになる異世界転生の物語。
まるで導かれたかのように古びた不気味な館に引き込まれ妖精達と出会う。
その妖精達との共同生活を通して、打ちひしがれたジョーの心に徐々に変化があらわれるのであった。この旅の行き着く先はなんなのだろうか?
ジョーにもわからず妖精達と一緒に望みを叶えていく・・・
特殊能力を授かったジョーはエルフと獣人達との冒険に出るのだった。
そして早朝出発した。
「ねえ、エリーゼ、しかし、魔獣ってどんなものなのかな?」
「魔獣は色々種類がいるんです。いろいろな種類の獣型の魔獣もいるし、珍しい種ですとドラゴンとか凄く強力な魔獣までいますよ。」
「見たことあるの?」
「私は森の外に出られなかったので聞いた話です。」
進むにつれて森がどんどん深くなってきた。
突然、馬が「ヒヒヒーン!!」といなないて止まった。
「早速魔獣のお出ましかな!?」とブラックが荷台から顔を出して外を確かめている。
「ご主人とエリーゼはここにいて馬車を守ってください!」と言ってブルーが外におりて馬車の前に立った。
「しょうがないな。助っ人に行くとするか・・・」と言いながらブラックもブルーの後方に立った。
すると、体が黒く目が赤い魔獣の群れが現れたのだった。
通常の動物とは違うが、強いて言うならば大きな狼型の魔獣である。
どうやら馬車は囲まれたようだ。
そして魔獣たちは唸り声を上げながら彼らを威嚇し今にもおそいかかろうという瞬間である。
ブラックが「ファイアーウォール!」と叫ぶと、どこからか火が湧き立ち馬車の周りに火の壁を作ったのである。
そして、火に恐怖を感じる魔獣は一瞬たじろいたのだった。
そこで、ブルーはロングソードを一旦胸の前に持ち祈るポーズを取ると
大きく振り上げて勇猛果敢に魔獣達の中に切り込んでいった。
左手に盾を持ち、右手に持ったロングソードを外回り内回りと振り回し華麗に魔獣達をどんどん切り裂いている。
30はいたであろう魔獣はあっと言う間に消滅してしまったのであった。
「いやー ブルーもブラックも凄いね〜 !! 助かったよ! ありがとう!!」とジョーが馬車を降りて駆け寄った。
「まあ、こんなの序の口だわ。」とブラックが言うと、ブルーは「全然やり足りないですね!」と不完全燃焼のようである。
「ここからは魔獣の国、ああいう輩はどんどん出てくるだろうな。まあ、あの程度であれば危険ではないだろうから次回からはジョーに憑依して訓練と行こうか!?」とブラックが提案した。
「では、その時は私から行こう!」とブルーがノリノリである。
しばらく進んで行くと、陽の光が入らない閉ざされた黒い森に入って行った。
「ここ、不気味ですね!」とエリーゼが身震いしている。
何故ならどこからともなく死臭がしてきているのであった。
いきなり前方上方向から目に見えない速さで白いロープのようなものが飛んできたかと思ったら、「あっ!!」という悲鳴と共に御者台に座っていたエリーゼの姿がなくなっていた。
「あっ、エリーぜがいない!!」とジョーは驚いて焦った。
彼は馬を止めて、一行は外に降りて辺りを見回している。
「なんか、一瞬でわからなかったんだけど、凄く太い蜘蛛の糸みたいに見えたよ。」
「そんな巨大な蜘蛛っているのかな?」
「思うに妖獣モンスタースパイダーかと」とホワイトがいい、
「強烈な敵意がない場合は、ジョーがテイムできるレベルのモンスターだね。」とブラックが言った。
「そのテイムって?いったいどうやるわけ??」
「対象に手を翳して、心の声で自分の臣下になるように命令するんだよ。 相手との波長が合えば気持ちが繋がり成功だ。その時はそのままその魔獣に手をあてるんだ。繋がらない場合は排除することになるわ。まあ、やってみないとなんとも言えないわね。」
ブルーが、「では、私が憑依するのでエリーゼを探しにいきましょう!蜘蛛の巣に連れて行かれかと思われます。」と言って、ジョーに憑依した。
「ブラックには馬車を守っていただいて、私も背後から援助するとしましょう!」とホワイトも一緒に探索にでた。
ホワイトは光の弓矢を手に中空からジョーを見守っている。ジョーは両槍を持ち少しづつ森の奥の死臭がする方向へと進んで行くと、木々の枝を蜘蛛の巣で絡めた洞窟のようなものが現れた。
「この先にエリーゼがいますわ!」とホワイトが感知したようである。
「では、ここで奴を捕獲しましょう。貴方様は誘き出してください!」と言った。
「わかった。この中に入ってみるよ!「と言いながら、ベタつく蜘蛛の糸を避けながら一歩ずつ槍を杖に登っていった。すると蜘蛛の巣に入ったのだろうか?糸でぐるぐる巻きにされた無数の魔獣の獲物がぶら下がっている。
『うっ 死臭の原因はこれか!不気味だなー 妖獣が魔獣を喰らうなんて!』
「ジョー、左上に何かが動きましたよ!」と言われるや否や足を広げると6mはありそうな真っ黒な物体がこちらに迫ってきたのだった。
「あっ 蜘蛛だ!!」今まさに巨大でグロテスクなモンスタースパイダーの牙が襲い掛かろうとしていた。
ブルーが憑依したジョーは、咄嗟に槍で牙を押さえることができた。
「ホワイト!今だ!!」と叫ぶと、チューブ状の蜘蛛の巣内の後方に浮いていたホワイトから強力な光の矢が射られたのだった。」
その矢は言わば激しい静電気によって起こる高圧電流のような存在であり、通常は矢に触れたと同時に感電しショック死するのである。 だがしかし・・・このモンスタースパイダーは甲殻が分厚いせいかショック状態となり全身が麻痺した状態で落下したのだった。仰向けになって8本の足が痺れた状態で微動していた。
するとブルーが、「ご主人様、今がチャンスです!妖獣をテイムしてください!!」と叫び、ジョーは我に返った。
『この蜘蛛に手を掲げて、話しかけるんだよな!?』と自分に言い聞かせて、その通りに実行した。
すると不思議と何かしらのパワーを体が感じ取り、相手に向かって電流のようなものが走っている状態となった。
そして、『お前は俺の僕になるのか?それともここで死を選ぶか?』と念じながら尋ねたのだ。
すると反応が感じ取れ『シモベになるから、殺さないでくれ!』と言う意思が伝わってきたのであった。
『了解!』と言うことで。翳した手をそのモンスタースパイダーの頭に乗せると不思議な現象が起こった。
そもそも魔獣の仲間である蜘蛛はどんどん輪郭が薄れていき消えてしまったのだった。
「あれ?? いったいどうなったんだ??」
すると。ホワイトが、「これでテイム完了となります!貴方様が呼び出したい時に呼び出せば、また現れてくるのです。ある意味使い魔とも言えるでしょう。」と教えてくれた。