第7話
核戦争後の荒廃したパラレルワールドでの本編『光と陰ー織りなす夢の形』のスピンオフとなります。
主人公ジョー・テンペストはその世界で生まれ育った18歳の男の子。
ふとしたきっかけで未知の体験をしていくことになる異世界転生の物語。
まるで導かれたかのように古びた不気味な館に引き込まれ妖精達と出会う。
その妖精達との共同生活を通して、打ちひしがれたジョーの心に徐々に変化があらわれるのであった。この旅の行き着く先はなんなのだろうか?
ジョーにもわからず妖精達と一緒に望みを叶えていく・・・
特殊能力を授かったジョーはエルフと獣人達との冒険に出るのだった。
精霊の3人は大酒飲みであった。
テーブルにはすでにエールのジョッキが散乱している。
「しっかし、君たちって呑むね〜」とジョーも驚いている。
ホワイトが「まあ、大人の特権ですよ!貴方様はまだ数年早いですね。」
『そうだ、今の俺は18歳なのだ。そしてエリーゼはエルフ年で16歳だという 一体エルフ年とは?』と思った。
「この世界は、この町を中心と見ると、西の獣人達の国、東のエルフ達の里、そしてエンジェル達の浮島の町と居住が分かれているんだ。」とブラックが説明を始めた。
「エンジェルの島は最北端の海沿いにある小さな島でその島の上にも中空に浮島があるんだよ。エンジェル達は飛べるから地上と中空を行き来しているんだ。その島の対岸は丁度この町にあたるから近くに港から行こうと思えばエンジェル島に行ける・・そして、この町の先は川を挟んで西側が獣人達の山と渓谷の国になっていて、東側がエルフの里が点在している森と湖の国なんだ。」
「なるほど、じゃ俺たちはどうやってどこを目指して冒険するのがいいのかな??」
「実は我々付喪神を従えた人間には必ず何かしらのお役目があるのです。」とブルーが言った。
「えっ どんな??」
「エルフと獣人の国の外側には人間の国がいくつか存在しているんです。エルフと獣人もしばしば争いがあるから、その戦いで捕虜となったエリーゼのような奴隷が出るんですが、人間達の争いは絶えず・・・どんどんエスカレートしており、この特区であるエルフ・獣人・エンジェルの国があるグリーンエリアまで侵攻するかもしれません。そして、あなた様のようなsummoner(サマナー 別名召喚士)となったお方は私たちを従えて何かしらのお告げがあるのです。」
「えっマジ!? 役目? お告げがあるって? そんなこと俺ができるの??」
するとホワイトが、「今から出来るように準備して行くのです!エルフや獣人達の力も必要になると思いますし戦力になる妖獣が出てきたら旅の途中でテイムするといいかと。」
「テイムって?」
「貴方様がいいと思う妖獣を見つけて飼い慣らすのです。貴方様のようなサマナーはそういうスキルを持っているのです。旅の途中でミッションへの色々なヒントや得るものがあるので冒険者ということで旅をしていきましょう!」
「へーえ・・・サマナー・・・」とあまりにも大きな話で放心状態になっていた。
『俺が何かの役にたつだって? いったいそんなことが出来るのか〜??』
4人とも呑んで食べて騒いでとすでに1日目にして親しくなっていた。
そして、部屋に戻り就寝時間となった。
「私らは肉体でいるとHPを消耗するから消えるからね。あなたはエリーゼと仲良くベッドに寝なさい!」
と言って、ジョーに合言葉を求めた。
「あっ そうか! ディスミス!」 3人は消えていった。
残されたエリーゼは初めて2人だけになって少し緊張しているようである。
「ねえ、エリーゼ、ベッドは一つしかないんだけど、俺がソファーで寝ようか?」
「えっ いえいえご主人様、ベッドで寝てください!私がソファで寝ますので。でも、もしご主人様がよければご一緒致します。」と恥ずかしそうに言っている。
「そうか、逆に緊張するけど、明日から旅が始まるから今日は2人で柔らかいベッドでゆったり寝ようか!?」
と、そう言う理由で2人で寝る口実を作ったのだった。
「わかりました!ご主人様!』と言いエリーゼとベッドに入った。
お互い背中合わせで寝ることにしたが、エリーゼが、
「ご主人様?まだ起きてますか?」
「うん、なに?」
「私、ご主人様に拾ってもらって本当に良かったです。あの奴隷商での生活は耐えられないものでした。
エルフの生活は自然の中で過ごす生活で清潔そのものだったのですが・・・
あの地下は陽の光も入らず悲惨で・・・死んでしまいたいとも思っていたのです。」
「大変だったね。僕も君を自由にできて良かったよ。それにどんどん可愛くなってもらって僕らと楽しく旅をできたらいいね。ただ、戦闘することも多いだろうから、明日から俺と一緒にブルーから剣術を習おうね。」
「はい、わかりました。今までは森の外に出たことがなかったので冒険できることがとっても楽しみです!それとお願いなのですが・・・夜は少し怖いので、私を抱いてもらってもいいですか??」
『えっ 抱く??』と思ったのだが、そうか後ろから抱擁してあげるってことかな??』と思い、
後ろ向きに寝ているエリーゼを抱擁してあげた。
「そうです。そんな感じでお願いします。とても安心します。私子供の頃よく両親にそうやってやってもらって寝たんです。」
ジョーは2歳下のいわば同年代の女の子と一緒に寝るということは人生上初のことであるため逆に緊張していた。
「わかった。じゃ、おやすみ!」と言ったはいいが、エリーゼの温もりと柔かさが伝わり心臓がドキドキと興奮していて寝るどころではなくなってしまった・・・