第57話
核戦争後の荒廃したパラレルワールドでの本編『光と陰ー織りなす夢の形』のスピンオフとなります。
主人公ジョー・テンペストはその世界で生まれ育った18歳の男の子。
ふとしたきっかけで未知の体験をしていくことになる異世界転生の物語。
まるで導かれたかのように古びた不気味な館に引き込まれ妖精達と出会う。
その妖精達との共同生活を通して、打ちひしがれたジョーの心に徐々に変化があらわれるのであった。この旅の行き着く先はなんなのだろうか?
ジョーにもわからず妖精達と一緒に望みを叶えていく・・・
特殊能力を授かったジョーはエルフと獣人達との冒険に出るのだった。
本編も宜しくお願い致します!
遠方に島影は見えているのだが、かなりの距離がありそうだ。
そして途中にはいくつもの渦潮があり、その合間を小舟に付いていた2本のオールでジョーが小舟を操りながら通過していた。彼はこの小さな船に4人乗船は目一杯であるのと、全員アーマーを着用しているため重量はオーバー気味で小刻みなコントロールにてこづっていた。更に渦巻に合わせて突風も時折吹いており、これは島に上陸しようとする者を阻む自然の要塞なのだろうか?デルマは初めて見る巨大な渦潮に恐怖を感じているようだ。
「ガルマニウムでは海がないので、この渦巻く光景は恐ろしいですよ! この渦に引き込まれると一体どうなるんでしょうか?」
この緊迫した状況の中でジョーは必死にオールを動かしながら、どうにか渦潮をクリアーできたようだ。
「あっ エンジェルアイランドが見えてきたぞ!!」とジョーは安堵して叫んだ。
それは極地のためうっすらと雪に覆われており、まるでお菓子の家が集まってできたようなメルヘンチックな町が見えてきた。
「あの町可愛いですねー!」とエリーゼが。
そして、その町の上空を見上げるとやはり噂通りに島が浮いていた。
「やっぱり島が浮いているぞ! おお、なんかシュールだな!!』とマリアも驚いている。
小さな港に桟橋があり、ジョー達はそこに船をつけた。
港には驚くことに検問どころか人影もなかった。
襲撃されることを想定していないのか?
それともそんな外部からの侵略に対しては問題視していない余裕なのか!?
港から街中に入っていくと、一応道というものはあるようだが、雪に埋もれておりエンジェル族は背中の羽を動かして空中を移動しているのだ。
「そうか!飛べれば雪で滑ることもないんですね!?」とエリーゼが言いながら滑りそうになっている。
「ここに無事着けたが、これから我々は何をしたらいいんだ?」とマリアは言いながら、
「それはそうと、羽がない我々はここでは目立つ存在になってないか?」とあたりを見回していた。
だが、しかし、エンジェル達はジョー達に気づかない風であり、まるで機械仕掛けの人形のように規則的に動いていた。
ジョーの過去の記憶では、まるでエストニアのタリンのような街並みに、これもまたエストニアの人々のような金髪碧眼の人々であった。寒冷地に慣れているのか?男女ともにまるで天使のような薄手の白い服を着ており、その服は羽が出るようにデザインされている。
ジョーの中にいるホワイトが呟いた。
「この者たちは、自分をエンジェルだと思っているんですよ。確かに空を飛べて光魔法も使えるんですが。」
「なるほど、彼らは寒くないのか?」
「ええ、寒冷地に慣れていますから。ただ、ここより暑い場所では生活ができないのです。」
「浮いている島には何があるんだ?」
「あの浮島にエンジェル族の神殿があり、彼らが崇拝する神がいるのです。」
「なるほど、じゃ、我々はそこに行けばいいのか!?」
「そうなりますね。その神に謁見できるば、ここに来たことの答えが見つかると思います。
「わかった。ホワイト!ありがとう!」
「みんな、空に浮いている島に神殿があって、そこの神に会いにいくんだが・・・空間移動魔法を使うことになるんだが、果たして4人いけるのかな? 3人までは試したことはあるんだが、ダメな場合は誰かここに残ることになるんだよね。」
すると、デルマが、「残るものは私でいいんですが、ここはあまりにも寒くて・・・」と手を擦りながら寒さに耐えているようだ。
「わかった、まずは宿屋を探してみよう。」
「そんなところあるのかね?」とマリアも普通の街でないことが理解できたようである。
誰もジョー達に干渉しないなか、4人は何事もなく街の中心部にたどり着いた。
街は昼間からまるでクリスマスのようにライトアップされており、エンジェル達は空中を行き交っている。
「この街って、店がないんですね!!」とエリーゼが驚いている。
「確かに! レストラン、カフェなんかの外食はあるけど、物を売っている気配はないな・・・」
「教会ですかね? 神聖教会なのか神殿みたいな建物はいくつもありますね!?」
「しかし・・・この雪に覆われた土地なのにレストランで人々が食べていうるような食材は作れないと思うんですが・・・一体どこで手に入れているんでしょうか?」とエリーゼがこの街を不思議に思っているようである。
どうやら、宿屋的な建物は確認できなかったため、ジョー達は一度聖堂に入って休むことにしたのだった。
天井が高いこの建物は室内全てホワイトであり、まるで、ジョーの元世界で言うとカトリックの聖堂のようである。無数の礼拝用の席が並ぶ空間の中には人の気配はなかった。
「まあ、外よりは温かいでしょ!?」とマリアが言った。
「はい、ここであればお待ちできると思います。」
「じゃ、早速4人行けるかわからないけど試してみるか!!」




