第49話
核戦争後の荒廃したパラレルワールドでの本編『光と陰ー織りなす夢の形』のスピンオフとなります。
主人公ジョー・テンペストはその世界で生まれ育った18歳の男の子。
ふとしたきっかけで未知の体験をしていくことになる異世界転生の物語。
まるで導かれたかのように古びた不気味な館に引き込まれ妖精達と出会う。
その妖精達との共同生活を通して、打ちひしがれたジョーの心に徐々に変化があらわれるのであった。この旅の行き着く先はなんなのだろうか?
ジョーにもわからず妖精達と一緒に望みを叶えていく・・・
特殊能力を授かったジョーはエルフと獣人達との冒険に出るのだった。
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歩きながらマリアがまた小声でジョーに話しかけた。
「あのアイリスの母親は王の側室で今でも寵愛を受けているんだ。それをいい事に貴族連中の娘達をたらし込んで親衛隊を作り有る事無い事噂をするややこしい連中なんだ。距離をおいてくれ。」
「わかった、忠告ありがとう。あの無邪気な容姿で騙されるんだろうな。ここの男どもはどうなんだ?」
「男どもも然りだ。あの子は天然のアホだからこの国の女王にでもなろうと思っているんだろう。」
「なるほど、厄介な子なんだな。」
今回の晩餐会では、時期国王と言われている第一王子、そして1から4飛んで6の姫君たちの紹介があった。
第一王子は30代の精悍な黒髪の男性でそれなりに貫禄があった。そして物静かで思慮深いという印象である。血気盛んで部下に慕われている行動的な第二王子とは対照的である。
また、他の姫君たちは、そもそもマリアが第5ということは相当王妃は子供を産んだんだなと朧げながら思っていたのだが、なんと2・3・4姫もアイリスとはまた別の側室の三つ子だったのだ。それもそっくりである。こちらは長身で綺麗めな細面の顔にブルネットのロングヘアーである。ドレスのカラーが違うため見分けることができたが、服が同じ場合は区別がつかないぐらい3姉妹はとても似ている。そして第一王女は長男と同様に寡黙で品がある知的な雰囲気があった。こちらはマリアより少し身長が低く細身で赤毛そして親しみがある柔らかい表情が印象的である。つまり戦場に出る第二王子と第5王女は似たもの同士であったのだ。
こうした生々しい人間模様を久々に見たジョーは転生前の自分が置かれていた環境を思い出していた。
『やっぱり王室といえどもややこしいしがらみや人間関係があるんだな。そういえば俺もこういったことは苦手だったな。だから一人旅を楽しんでいたわけだし、この世界では俺を取り巻く環境は一体これからどうなっていくんだろう?』
この国では英雄ということになってしまったのだが、しばらくはここに住む事になりそうだし人間関係が苦手だったジョーはこうした複雑な社会の中でうまくやれるのかという一抹の不安がよぎるのであった。
賑やかな晩餐会も終わり、王宮の迎賓用寝室に宿泊しているジョーは隣部屋のエリーゼを訪ねていた。
「エリーゼ、なんかこの王家も色々複雑そうだね。マリアが1人でいたくなる気持ちがわかるような気がしたよ。君はどう感じた?」
「私はこんな華やかな場所にいたことがないので圧倒されて面食らってしまった。それとやっぱり王女様達の扱いが大変そうな気がしました。できるならば関わりたくないというか・・・」
「やっぱりそうか! マリアが言ってたんだけど、あの第6王女が大変らしい・・・」
「私もそう感じました。大勢の取り巻きがいた姫ですよね?」
「そうそう、ここに住むんだったら注意したほうがいいな。」
「ところで、この王都で大きな館をもらえるらしい。俺とエリーゼそしてアベル・エベルで住めるんだが、ゼポニズムの件が片付いたら、君もこの王都にしばらく住んで問題ないよね??」
「そうですね。アベル・エベルはもうすっかりマリア姫の従者になっちゃってますからねー きっと嬉しがると思いますよ。」
「しかし、やはくゼポニズムに戻って片付けないとな・・・」
「コンコンコン」とドアを叩く音があった。
ドアを開けると貴族達を見送ったマリアがそこに立っていた。
「やっぱり、ここにいたか!? こっちが落ち着いたからゼポニズムをやっつけなくちゃならないんだが・・・」
「そうだね、いつ行く?」
「部下を待たせてるからな。すぐにでも戻りたいのだが。」
「わかった!俺も今日1日で体力が復活したから今夜戻るか? ここに来たのはそういうことなんだろ!?」
「よくわかったな! 実はそうなんだ。浮かれてる場合じゃないというか。では、用意してくるから1時間後にまたここにくることにする。」と言うとそそくさと行ってしまった。
「まあ、そうなるだろうと思ったよ。相変わらずマリアだったな。」
「では、私達も用意しましょう!」
「そうそう、いつのまにかレイブンが2羽に増えていたから、1羽をこっちに残していくよ。」
魔力が戻ったジョー達3人は、また空間移動でマリアのツェッペリンに移動し戻ってきたのであった。
留守番をしていたアベル・エベルが大喜びである。早速マリアからは諸々と土産話を聞いている中、
師団長のデルマが姫の帰還に気づいて船に乗船してきたのだった。「コンコンコン」
「マリア姫、王都では大丈夫でしたか?お怪我は御座いませんか? 」と焦って青白い顔でサロンに入ってきた。
「おー デルマ!片付いたよ!ジョー達の大活躍でな。お陰で王都は一部火災が発生したものの魔獣達を排除できたんだ。ワイバーンが10頭飛んで来てな、一時はどうなるかと思ったんだがジョー達が撃ち落としてくれたんだ。」
「そうか、デルマさんは知らないと思うけど、パルフィン帝国直属のワイバーンナイトのナディアも部下を2機連れて参戦してくれたんだ。彼女らがいなかったら痛手を負っていたかもしれない。」
「それはそれは 取り敢えずご無事で何よりです!」
「こっちはどうだった?」
「こちらは相変わらずです。今の所平和そのものですね。
鎧武士達の長距離銃の訓練もそろそろ完了してもよろしいかと。」
「そうか、では、明日の朝、陰陽師と話して出陣するか!?」
「はい、そろそろ頃合いかと。」




