第38話
核戦争後の荒廃したパラレルワールドでの本編『光と陰ー織りなす夢の形』のスピンオフとなります。
主人公ジョー・テンペストはその世界で生まれ育った18歳の男の子。
ふとしたきっかけで未知の体験をしていくことになる異世界転生の物語。
まるで導かれたかのように古びた不気味な館に引き込まれ妖精達と出会う。
その妖精達との共同生活を通して、打ちひしがれたジョーの心に徐々に変化があらわれるのであった。この旅の行き着く先はなんなのだろうか?
ジョーにもわからず妖精達と一緒に望みを叶えていく・・・
特殊能力を授かったジョーはエルフと獣人達との冒険に出るのだった。
本編も宜しくお願い致します!
皇軍参謀を交えた合議の末作戦が決まったようだ。
その概要としては、まずマリア達がガルマニウムから通商目的で来朝した国賓ということで右大臣である自称将軍にお目通りする。将軍には側近として必ず随行するという陰陽師をその時に排除をするという流れである。
そして、肝心な通商での取引の目玉としてはマリアが乗ってきた飛行艇の量産型の提案である。そのためパフォーマンスの一環で宮城上空からアプローチするため手元に実は戦艦であるツェッペリン号があるということになるのだ。
さて、下準備も整い疑われることもなく、首尾よくマリアのツェッペリンで宮城にアプローチすることになった。
先方は陰陽師の強大な力にアグラをかき一寸の危険性も感じていないようである。
セシリアは左大臣との打ち合わせのために残ることになったが他全員揃っての出発となった。
「さて、みんな!早速出発よ!! 一世一代の大仕事じゃない!!? 気張っていくわよ!!」
アベルとエベルはこの船に待機して、いつでも上空から爆撃できるようにスタンバる、そして、3精霊を憑依させたジョーがマリアとエリーゼを左右にホールドし空から空間移動で着地するというながれとなった。
そして、それを実行し今ジョーは宮城の庭に降り立ったのだった。
そこには上位官僚が上空を眺めながら彼ら空間移動魔法に驚愕の表情で見守っていたのだが、3名の国賓を将軍の謁見の間まで案内した。
『まるで西洋の王の玉座のようだな・・・』
将軍は帝が着るがシルク仕立てのシルバーゴールドの御引直衣を着て玉座に座っており、その右隣に陰陽師らしき白と赤の狩衣を着た男が立っていた。
マリア達が将軍の前に立ち丁寧に拝礼し謁見が始まった。
彼女は自己紹介の後に今回の訪問の趣旨を述べたが、そのやりとりは全てその陰陽師が対応している。
やはり、セシリアが言うように国政の実権は彼に一任されているようである。
「私は陰陽師の加茂義平と申す。遠路遥々のご来朝誠に有難う御座います。まず初めにお聞きしたいことがあります。あなた方の先程の空間移動は一体どんな呪術なのでしょうか?」といきなり呪術師らしい質問をしてきたのだった。
するとジョーが「私は商人であると同時に魔術師でもあります。4大元素を元にした魔法が特技であるためその一つのスキルを披露させて頂きました。」と簡潔に答えた。
「魔法であるか… また呪術とは違った趣がありますな。ところで、ここまでは被害に遭わずに来られたのだろうか?」
マリアが、「海霧のため停泊した島が鬼ヶ島といわれる場所で鬼達の襲撃に遭遇しました。マーメイドの案内でき切り抜けられましたが。」と言い出すと、
「やはりそうであったか!? 実はこの新都も遷都してからというもの鬼が出没しその対応に悩まされておるのです。どうやら人魚が鬼達を呪詛として操っているようなのだ。」
この陰陽師は40代の品がある紳士にように見える。その態度や表情からは真実を言っているように見受けられた。
『ということは…セシリアが言ってたことと逆になるではないか!?』とジョーは咄嗟に思った。
『話の真実を一つずつ確認していこう』
「加茂殿、確認させて頂きたいことがございます。まず、今遷都と言われましたが、ということは帝はこちらにいらっしゃるということですか?」
「何をおっしゃられる!ここは帝の御前でございますぞ!」
「そうでしたか!? 左大臣からは帝は海都にいらっしゃるとお聞きしておりましたので大変失礼致しました。では、こちらが真の帝でいらっしゃいますね? では、仕切直しまして今回のお目通り誠に有難う御座います」と誤魔化した。『すると、この目の前の玉座に座っている方が帝なのか?! どうりで服装が派手だと思ったわ。』
「左大臣か、言いそうな事ですな! 式神からの情報では帝のご親族を擁立して国を乗っ取る計画を進めているとか、左大臣は人魚と一緒になってこの国の乗っ取りを企てているのです。」
「それは私らが助けられたマーメイドのことであろうか?」とマリアも疑問に思ったようで陰陽師に確認した。
「そうであろう。人魚族は陸地に植民地を欲しており、権力がある人間をたらし込み、自身には武力が無いため鬼どもを使役しこの新都を乗っ取ろうとしているようなのだ。」
「マーメイド族が??」とマリアも驚いている。
「私が島に結界を張って外に出ないように封じてはいるが、破られた場合には一気に攻め込んでくるであろう…」
「加茂殿、それは本当ですか?」とマリアが驚きのあまり聞き返した。
「なぜ、私が帝の御前で嘘を言わねばならぬのだろうか?ご判断は貴君らにお任せするが・・・」
ジョーもマリアに耳打ちし、
「これはセシリアが言ってたこととは逆だな。どっちが正しいのか? 俺は驚いてはいるがこっちが正しくおもえるよ。マリアは?」と小声で状況確認をした。
「私もそうおもう。これはどうしたものか??」
「この場は帝の御前なので通商の話で逃げて、別途加茂殿と話し合いをもとう」ということで合意したのだった。
攻め込む気満々でいたのだが、新たな真実が浮上し予期せぬ展開となったジョー達は、そのあと帝とは加茂氏を通して通商の話をし、別の場で鬼に関する詳細を聞くことにもっていくことができた。そのため謁見は終了とし帝に一礼をして皇居内の迎賓館に向かったのであった。




