第33話
核戦争後の荒廃したパラレルワールドでの本編『光と陰ー織りなす夢の形』のスピンオフとなります。
主人公ジョー・テンペストはその世界で生まれ育った18歳の男の子。
ふとしたきっかけで未知の体験をしていくことになる異世界転生の物語。
まるで導かれたかのように古びた不気味な館に引き込まれ妖精達と出会う。
その妖精達との共同生活を通して、打ちひしがれたジョーの心に徐々に変化があらわれるのであった。この旅の行き着く先はなんなのだろうか?
ジョーにもわからず妖精達と一緒に望みを叶えていく・・・
特殊能力を授かったジョーはエルフと獣人達との冒険に出るのだった。
本編も宜しくお願い致します!
アベルは辺りを見回してみたが、やはり霧が濃いため何も確認できなかった。
入江に停泊しているため、島の岸までは100mの距離があるのだ。
エベルが「ビノキュラス取ってくるよ!」と言いながら船室に入って行った。
「おい、みんな!獣のような唸り声が聞こえたから一応注意して!」
これで確認するからとマリアのビノキュラス(双眼鏡)を取り出してまたデッキに出ていった。
「みんな! 一応 準備しておこう!」と3人はアーマーと武器を用意している。
エベルがビノキュラスで霧の合間の対岸を詳しく確認しているところだ。
「なんだ、あれ??」
「えっ どうした??」とアベルも駆け寄って、アベルがエベルから双眼鏡を受け取った。
「何かの群れだな!? 人間?? 獣人か??・・・こっちに向かって隊列を組んでいるぞ!!
エベル! みんなに知らせてくれ!!」
中から3人も駆け出してきた。
「俺にも見せてくれ!」とジョーがビノキュラスをもらって見てみると・・・
「まじか!? あいつら鬼だぜ!! 鬼ヶ島かよここは?」と顔が青ざめている。
「あいつらは鬼と言って、こっちの世界ではオーガに近い存在なんだ。多分、泳いでこっちの攻めてくるぞ!」
「しかし、この霧ではやたらに動けんぞ!」とマリアはまた男性ぽい口調に戻っている。
「じゃ、上昇は??」
「蒸気機関を動かすには時間がかかるから間に合わないと思うが・・・とりあえず動かそう! アベル、エベル!」と言って3人は機関室に消えていった。
「エリーゼ!薔薇の剣は持ってるか?」
「はい、持っています!」と言って抜いて構えた。
ジョーはまだ双眼鏡で見ている。
「あいつら、海に入って泳いでこっちに向かってくるつもりだぞ!! これに乗船されたらやばいな!!」
すると、デッキの反対側から、
「ジョー!!」と叫ぶ声が聞こえた。
「なんだ??」と答えながら聞いたことがないようなあるようなと思いながら振り返ってみると、
そこにはマーメイドがデッキに座っていたのだった。
「えっ? セシリアか??」
「そうよ!」
「どうしてここに??」
「あなた達、鬼に襲われそうで困っているようだったら助けてあげようと思って。」
「あなたは誰ですか?」とエリーゼが厳しい表情で叫んだ。
「あっ、エリーゼ!彼女が前に言ったことがあるマーメイドのセシリアなんだよ。やっぱり現実だったんだ!
助けてくれるみたいだ。」
「私が、先導して見えるように泳いでいくから、後ろからついてきてもらえれば座礁しないわよ!」
「わかった!みんなに伝えるから待っててくれ!」と言ってマリア達に伝えに行った。
そして、セシリアはデッキから海に飛び込んで行ってしまった。
「蒸気機関は動き出したから外輪とスクリューは回せる状態になったよ。
この際、ここからの脱出が最優先だ!私が操舵するから、ジョーはデッキの先で先導してくれ!」
そしてジョーが先端に行ってみると、
「ここよ!ジョー!」とセシリアが叫んだ。以前見た時のように蛍光カラーの体が海面から微かに浮き出ていた。
「あっ わかった!準備できたから行ってくれ!!」
セシリアは海霧の中でゆっくりと船を先導している。
一方後部デッキのエリーゼは迫り来る鬼達に警戒しながら接近してきた場合は薔薇の剣を振る体制で立っていた。
最初はゆっくりと先導していたセシリアはどんどん速度を上げていった。
そして、浮かび上がり「ジョー、ここからは座礁の心配はないわ!」と叫んだのだった。
「セシリア!ありがとう!! みんなに紹介したいから、一旦船に上がってきてくれ!!」
「わかったわ!じゃ、その先まで行ったらね!」と言い、かなりの速さで泳いで行った。
「マリア、もう座礁の心配がないらしいからスピード出してくれ!!」
後部デッキで見守っていたエリーゼも、どんどん鬼たちから離れて行く光景を見ながら安堵していた。
マリアは、セシリアの後を追って全速力で航行中である。どうやら鬼達も諦めたように見えた。
そして、一旦船がスピードを緩めるとセシリアが後部デッキに上がってきた。
そしてジョーの掛け声で全員がセシリアを見るためにデッキに現れたのだった。
「あなたが、セシリアね?! 本当にありがとう!! あなたのヘルプがなければ、あの鬼達の集団と戦わなければならなかったわ!!私がパーティーリーダーのマリアよ!とりあえず中に入って!みんなで歓迎したいから!!」と感極まっているようだ。
すると、ジョーが「彼女は身体から水が抜けないと足に変化しないんだ!みんな、少し待ってあげて!」と言うと、「じゃ、中に入って歓迎会の準備をしてるわね!」と言い船室に入って行った。
しばらくすると水が抜けたようでセシリアは立ち上がった。
「ジョー、また会えたわね! これからもよろしくね!」
「ああ、セシリア、本当にありがとう!! あれから俺たちの船について来てくれたのか?」
「ええ、そうよ!一応見守ってたの。どうせ暇だからね。」
彼女はエルフのような姿に変わっており色白のスラッとした美形であった。
身長は170cmぐらいで髪の毛はグリーンがかったブロンドで長いワンレングススタイルでありやはり裸である。
「ねえ、マリア!なんか部屋着をくれないか? セシリアに着させるから!」
「わかったわ! なんかいつの間にか服が1着無くなってたんだけど、あなたのせい??」
「ごめん、ごめん!言うの忘れてたよ。ありがとう!!」と言いながらセシリアに服を渡しに出ていった。




