第27話
核戦争後の荒廃したパラレルワールドでの本編『光と陰ー織りなす夢の形』のスピンオフとなります。
主人公ジョー・テンペストはその世界で生まれ育った18歳の男の子。
ふとしたきっかけで未知の体験をしていくことになる異世界転生の物語。
まるで導かれたかのように古びた不気味な館に引き込まれ妖精達と出会う。
その妖精達との共同生活を通して、打ちひしがれたジョーの心に徐々に変化があらわれるのであった。この旅の行き着く先はなんなのだろうか?
ジョーにもわからず妖精達と一緒に望みを叶えていく・・・
特殊能力を授かったジョーはエルフと獣人達との冒険に出るのだった。
「あなた達は、これで2つの国を見たわけでしょ! 実は私ももう一つの大国、そう! この海の向こうの国ゼポニズム皇国には行ったことがないのよ!! 多分ほとんどの人間は行ったことがないと思うわ。そこで提案なんだけど、今あなた達は、この私の飛行船に乗っているわけよね!?」
「そうだね。」
「と言うことは・・・私がその気になれば、ゼポニズムに行けるわけでしょ!?」
「そう言うことだね。 要は行きたいんでしょ!!」とブラックが割って入った。
「そう!そうなのよ! よくわかったわね!?」
「だからコークスを仕入れたんだね姫? さっすが! いいね〜」とエベルも加わった。
「それと、そろそろ姫じゃなくてマリアでいいわよ!」
マリアはプライベートな時で何かおねだりする時は仕事モードの時と口調が違うのだ。
「わかったよ!! じゃ、マリア 折角だからこれから俺たちは5人のパーティーってことでどうだろう??
そうだ、俺たちの冒険者パーティーはブラックソーンズって言うんだ。
だから姫もそのメンバーに入って欲しいな! どうせならその方が一体感がでるしね。」
「なるほど、冒険者パーティーね!そうね、悪くないわね!
いいわよ!わかったわ。あなた達となら楽しそうだから入ってあげるわ!」とあくまでも上からである。
『しかし、いったい召喚師となった俺のお役目とは一体なんなんだろう? 行けばわかるのか??』
そして、このマリアのツェッペリンはそのまま東方にあると言われるゼポニズム皇国に向かうことになったのだった。
「ねえ、みんな 早速相談なんだけど…」
「何?」とアベルが代表して答えた。
「コークスは限りあるの。だから船にして航海した方が安心できるのよね〜」
「えっ これ船にもなるのか?」
「そうよ!無駄に船の形はしてないのよ! バルーン部分の空気を抜いてロープで調整するとヨットのマストのように左右ほぼ平らにまとめられるの。そうすると風を受けられるようになるから仕組みは帆船と同じようになるのよね。素晴らしいコンバートでしょ!? 今から実演するわね!」
ジョーも「燃料がなくなると空を飛ばなくちゃならない時に困るからやってみよう!」とリーダーも賛成であった。
すると、マリアはまず高度を下げて着水し蒸気機関を止めた。
そして後部甲板に行きバルーンの最後部マストのロックを外しジュラルミンのバルーン後部からエアーを出した。エアーが抜け切ったところで外周を回っているロープを手繰って巻いていくと葉巻型のジュラルミンパネルは弧を描きながらまるでマストのように平面になってきたのだった。前方のマストは固定されており、後方はロックを外したため左右になびきまるで大型のヨットのように風向きに合わせて稼働するようになったのだ。
マリアはマストの稼働を確認すると、操舵室に戻り空中最後尾にあったプロペラ4機を半分たたみ小さくした。そしてそれはバルーンと船のボディを楕円形にガードしている金属のバーに組み込まれているため海面下に降ろすとスクリューになり丁度ラダーの両脇に固定された。両脇にも外輪があるので風がない場合はそれと一緒に稼働させて推進するのだと言う。
「なるほど! これ、よくできてるな!!」
最後に飛行艇としては操舵室は左側になるのだが、右側のパネルを開けると円形の操舵輪がでてきたのだった。
アベルが「へえ〜 すっごいね!まるで船になっちゃったね!!」と驚いている。
「あっ そうだ! まだあるのよ!」と言って今度は前甲板にでた。
固定されたボックスから菱形のカイト(凧)のようなものを取り出すと、まさに凧揚げのようにあげていったのだった。
「これは推進に役立つのとサロンからでも風向きが確認できるようになるのよ!」と言って悦に入っている。
特殊な形状の帆船となった飛行船はそのまま風の方向に進んで行った。マリアが言うには大方風の方向に進んで行けば着くと言う。
サロン内では戦いで疲労したジョーとエリーゼはソファーにどかっと座ってうたた寝状態、いつしか精霊達は消えていた。
そしてマリアは姉妹と一緒に海図を見ながら進行方向を確認中だ。
「ねえ、姫、いやマリア! この冒険が終わったら私らの獣人国にも来て欲しいな!」
「へえー 招待してくれるの?」
「でも、不思議なドアを通ってきたんだよね。」
「私らの国から山を越えて変な洞窟に入ったかと思ったらドアがあってさ。」
「で、そのドアを通る時は視界が歪んで 何これ?と思ったらマリアの国に着いたって感じなの。」
「なんか、不思議ね・・・でも、人攫いはそこをいつも通ってたのよね?」
「そうだと思うよ。」
「でも、どうやらこのツェッペリンでは行けなさそうね!?」
「そうだね、洞窟を通らないと行けないみたいだからね・・・」
「あっ あそこに島が見えてきたわね!」とマリアが叫んだ。
「本当だ!綺麗な小さい島だね! 寄ってみようよ!」とアベルが言った。
「ねえ、ジョー! エリーゼ!!」
ジョーはビクッとして目を覚まし、何事だ?という表情である。
エリーゼも眠そうな目を擦って起きた。
「ねえ、ちょっとこっちに来て! あそこに小さい島が見えるの。寄ってみない?」
「あ、ほんとだ! 綺麗な島だね!!いいね!」
マリアはバルーンが風を受けないように丸めて調整しアンカーを降ろした。島には接岸はできないためインフレータブルボートで必要な荷物を積んで渡ったのだった。




