第11話
核戦争後の荒廃したパラレルワールドでの本編『光と陰ー織りなす夢の形』のスピンオフとなります。
主人公ジョー・テンペストはその世界で生まれ育った18歳の男の子。
ふとしたきっかけで未知の体験をしていくことになる異世界転生の物語。
まるで導かれたかのように古びた不気味な館に引き込まれ妖精達と出会う。
その妖精達との共同生活を通して、打ちひしがれたジョーの心に徐々に変化があらわれるのであった。この旅の行き着く先はなんなのだろうか?
ジョーにもわからず妖精達と一緒に望みを叶えていく・・・
特殊能力を授かったジョーはエルフと獣人達との冒険に出るのだった。
この半年の間 ジョー達が行った荒修行はパーティーメンバーの結束をも強固なものとした。
今では信頼の証として精霊達からも『ジョー』と言われている。ただ、やはりエリーゼだけは『ご主人様』がツボに入っているらい。
そして、この機会にホワイトが生誕1000年を迎えたことにより、空間を司る魔法の最上位『空間移転魔法』を発動することに成功したのだった。ということは、行った事がない場所にも瞬間で移動が可能になったということになるのだ。ただしかなりのHPを消耗するため今のところは緊急時のみらしい。これによりジョーもその最上位魔法を今後取得可能となったのであった。
さて、一行は馬車でエルフの国に向かっているところだ。
「ねえ、エリーゼ、エルフの国ってどんな街なの??」
「そうですね、人間の街とは全然違う感じですね。神樹を中心に大きな木々の中に家々があって
あまりストリートみたいな通りはないんです。結界で守られていることもあり一見すると街に見えないどころか自然の森に見えるんです。
そして、エルフ達は神樹の精霊達に囲まれて精霊のパワーを得るのです。もちろん防衛しなければならない時には戦いますので、そういった精霊の力を借りて魔法のような技も使えるのです。」
「そうなんだね。僕らは受け入れてもらえるかな?」
「きっと私がいるから大丈夫だと思います。」
半年を経て、この2人の関係は側から見れば恋人同士にも見えるようになっていた。
しばらく走ると大樹に囲まれた神秘的な湖が見えてきた。するとブラックが、
「この辺り精霊の力を感じるわね。そろそろエルフの国に近いわよ!」と言った。
「私も懐かしさを感じます。」とエリーゼも反応しているようだ。
すると武装した森番のエルフが数人木の上から降りて姿を現した。
「お主ら! ここからはエルフの森だ。よそ者は通すわけにはいかん!行き先を変えてくれ!」
と言って行く手を阻んだ。
「私はエルフです!」と言ってエリーゼが馬車から降りてフッドを取った。
「なぜエルフが人間と一緒にいるのだ?」と厳しい口調で聞いてきたのだが、
「私は獣人族との戦争で村が亡くなり奴隷になりました。それをこの方が救ってくれたのです。
今回は私の里帰りを兼ねて長老様にご挨拶に伺いました。」と丁寧に説明した。
「なるほど、では、危険物確認をする。」と言って馬車の積荷や武器類を細かく確認したのち、
ジョーらの馬車を先導し村に向かっていった。
太古の昔からある太い木々が並ぶ深い森の中に到着すると、どこからともなく衛兵らしきエルフが出てきて
馬車を取り囲んだ。
ジョー達はあまりにも多い武装した衛兵に一瞬驚いたのであったが戦意がないことを見て取れると安心した。
ジョーとエリーゼが馬車から降りて自己紹介をすると奥から長老らしきエルフが現れた。
「エリーゼと言ったかな?お主は大変な思いをしたようだな。あの時は我々は西の森にも植民をして行ったのだが防衛が手薄になっていたのじゃ。そこを獣人たちに襲われてしまった・・・本当に申し訳なかった。
全滅したと聞いたが、お主だけが生き残ったのだろうか?」
「いえ、若い娘達数名が獣人の捕虜になり奴隷として売られました。私はその中の1人です。ですが、こちらのジョー様に拾われて命拾いをした次第です。とても良くして頂いているので、今ではそんな悲惨な生活を忘れることができました。とても感謝しております。」
「長老!私がジョー・テンペストと申します。エリーゼは僕の大切なファミリーです、ですので今回は里帰りを兼ねてご挨拶に伺いました。これから僕たちは冒険者として生きていこうと思っていますので、どうかエルフの森の通行許可を頂ければ幸いです。」
「なるほど、そういうことであったか。失礼した。では、ささやかながらお二人を歓迎するとしよう!」
と急遽歓迎会をしてもらうことになったのであった。
「もういいぞ!」筋骨隆々な族長らしきエルフが叫ぶと、森の至る所からエルフ達が現れた。
そして、子供達がエリーゼめがけて寄ってきたのであった。
「ねえ、お姉ちゃん! 外から来たんでしょ? 外の世界の街ってどんなところなの?」などや
「獣人って怖いの?」など
色々と聞いてきて、やはりこの森からは出ることは許されていないことが窺えた。
そして、ジョーらは族長とエルフの森の幹部達から宴に招待された。初めて見るエルフの住居、そこは
大きな木の幹の部分が膨らみその中が居住空間になっているため外からは変形した木々に見えるのである。
また器も然り宴の酒の肴も森で取れる食材でオーガニック料理である。弦楽の調べがゆっくりとが流れる中、
族長が、「ところで、ジョー殿、お主は冒険者と言っておられたが戦闘には慣れておられるのか?」聞くと、
「はい、魔獣であれば。」
「実は、最近魔獣の勢力が増してきていて、度々襲撃があり犠牲が出るようになってきておるのじゃ。なんとか奴らの勢力を削ぎたいところではあるのだが、恥ずかしながら戦士が足りておらず劣勢を強いられているのじゃよ。」
『魔獣が増えている・・・ これはもしかしたらエリアボスのモンスタースパイダーを殺してしまったからなのか?? いや、それだけで状況が変わるものなのか??』とも思った。それを思ったからか?エリーゼに縁があるエルフの里であるからか?理由は定かではないのだが、ジョーは、
「そうですか。では、私たちが滞在中であれば加勢致しましょうか!?」と言ってしまった。
「まことか?それは助かる!ぜひお願いしたい。では、住居も用意させて頂くので心ゆくまで居てくだされ!」
ということで、彼らが森の警備をするにあたっての感謝の意としてエリーゼと住める住居と食事もお世話になることになったのであった。




