第10話
核戦争後の荒廃したパラレルワールドでの本編『光と陰ー織りなす夢の形』のスピンオフとなります。
主人公ジョー・テンペストはその世界で生まれ育った18歳の男の子。
ふとしたきっかけで未知の体験をしていくことになる異世界転生の物語。
まるで導かれたかのように古びた不気味な館に引き込まれ妖精達と出会う。
その妖精達との共同生活を通して、打ちひしがれたジョーの心に徐々に変化があらわれるのであった。この旅の行き着く先はなんなのだろうか?
ジョーにもわからず妖精達と一緒に望みを叶えていく・・・
特殊能力を授かったジョーはエルフと獣人達との冒険に出るのだった。
あの悍ましいモンスタースパイダーが消えた今、この巣にはとりあえず主人はいないようだ。
「エリーゼはどこにいるんだろう??」
と、ベタつく巣を掻き分けて進んでいくと行き止まりになった。そこは蜘蛛の寝床のようで壁面に卵が綺麗に並んでいた。そしてその卵の前にまるで生贄のようにグルグル巻きになったエリーゼが転がっていたのだった。
「あっ エリーゼ!! 大丈夫か??」と焦って駆け寄った。
どうやら息はあるようだ。『よかった!!』
「今この蜘蛛の巣をとってあげるからね!」と言って、ベタつく太い糸をブルーが持っているナイフで切り払っているとエリーゼの意識が戻ったようだ。
「あ、ご主人様、よかった〜 助けにきてくれたんですね!有難うございます!! 襲われた時に頭を打ってしまったようで気絶してしまいました。」
除去し終わった後に思わずジョーは心配のあまりエリーゼを固く抱き抱えてしまった。
「本当に大丈夫?? 頭はどう?」と触ってみると頭部に出血があるのを発見した。
「とりあえず、戻ったらブラックに治癒してもらおう!と言って
憑依していたブルーも分離し、エリーゼと4人で馬車に戻って行った。
「ねえ、ブラック、エリーゼが頭を打って出血があるから、ちょっと治してもらえるかな?」
「わかったわ。エリーゼ、こっちにきなさい!」
「いやー すごいパワーを使ったようですっごく疲れたよ・・・だけどテイムできた。」
「それはおめでとう! あなたの最初の僕だね。名前をつけておくと呼び出しやすいと聞くよ。
やっぱり固有名詞があればイメージつきやすいってことみたいだけどね。」とブラックがついでに教えてくれた。
「そうなんだね。名前か・・・どうしようかな? じゃ足が8本あるからオクタゴンにしようかな!?」
エリーゼとしては、自分を襲った巨大蜘蛛が主人のしもべ君になったと言うことに対して嫌悪感を感じていて複雑な心境であった。
ブラックが、「ここのエリアボスはこいつだったんだろうね。まあ、ジョーとしては初エリアボスクリアということで今夜はお祝いだね!」と言って自分のことのように喜んでいる。
そして、この後も魔獣のようなものを見かけたが、こちらを襲ってくるというレベルのものではなかった。
「とりあえず、あの死臭がする森は抜けたから、陽が落ちる前にここで野宿することにしよう!」
焚き火を囲んで楽しく団欒をしながら食事をとっているとジョーがいきなり立ちあがった。
「みんな聞いてくれ!俺、よく考えたんだけど、俺が弱いせいで今日はエリーゼが死ぬかもしれない事態になったと思ってる。冒険者のくせに他人に頼り切っていて情けなくなったよ。もっともっと俺が強くならなければ冒険者をやる意味はないし、君たちもいずれ失望すると思う・・・
だから、エルフの森に着いたら、一定のレベルに達するまで訓練期間にしたいと思ってるんだ。
みんなはどう思う?」と今までになく真剣な表情で訴えている。
するとブルーが、「私はご主人を鍛えるのは名誉だと思っております。確かにこれからどんな強い敵が現れるかわかりませんのでそれに備えるのは意義があるかと。」と賛成してくれた。
そしてホワイトも、「そのように真剣なのであれば、その期間に住む空間を提供致しましょう!」
「まあね、貴方は以前の主人より武力や魔法が全くだめだからね・・・いくら私たちが無敵だとしても限界はあるわね。」と賛同した。
「私も今回油断してしまいました。もう少し警戒していれば・・・ だから、私もご主人様と一緒に強くなりたいと思います。皆さんもご強力お願いいたします!!」と言ってくれたのだった。
「みんな!有難う!!俺、強くなって魔獣なんかにビビならくなってみせるよ!」と今までの彼の人生では垣間見ることができなかった真剣な表情になっていた。
「まあ、それに関して進言すると、エルフの国に着く前にやった方がいいかと思うよ。」とブラックがアドバイスすると、
「わかった!じゃ、そうしよう!明日からだ!みんな俺とエリーズを鍛えてくれ!!よろしく頼む!!」
そして、朝になり、一行はしばらく定住するのに良さそうな土地を探した。
「ここだったら、魔獣達もくるから実践できるし、水も燃料になる木も、また食材も手に入るな。ここにしよう!」
ホワイトが、外の空間と隔てるテントのような物体を出してきた。
彼女達が所有しているストレージのようなものを巨大にしたもので、外からみると森に擬態化しているためそこに居住空間があるということがわからなくなっている。
内部にはベッド、テーブル・イスなどの機能を果たす物がすでに装備されていた。
そこに居を構えたジョー達は数ヶ月に及ぶ修行をして行ったのであった。
今回のジョーの修行はブルーとブラックが中心になり剣術・4大魔法を習得していった。
またエリーゼもホワイトから弓と風魔法を習得しブルーには剣と槍を中心に鍛えてもらったのだった。
ジョーは前世も含めて、こんなに真剣な修行をしたことがなかった。
内心辛くて逃げ出しそうな気持ちにもなったのだが、『言い出したの俺だ!』と言い聞かせ、
剣術では、ロングソードによるスタイルと両槍を使う接近戦を想定した訓練を受け、それをエリーゼが弓でフォローするという戦術となり、
また、魔法では、火魔法・水魔法・土魔法を強化し、エリーゼが風魔法でフォローするフォーメーションとなった。
今までにない気合が入った訓練の成果としてジョーとエリーゼは見違えるほど強くなり、また体型や表情も別人と思えるぐらいに成長していったのであった。
6ヶ月を過ぎた頃、3人の精霊が合議しこの修行はコンプリートしたという見解になった。
「ジョー、そしてエリーゼ、よく頑張りましたね!私達ができることは全て習得して頂きました。
あとは実践によりレベルを上げていくしかありません。これでお2人とも卒業です!
おめでとうございます!!」とホワイトは2人の並々ならぬ努力を労ってくれた。
「ああ、みんな有難う!!これで俺たち最高になったな!」と発する言葉の重みも以前と違っている。
「では、これからみんなでエルフの国に行こうじゃないか!!」
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