ある人間の日常8
「洸太くん、沙百合さん。こんにちは。」
「みずき!」
「洸太!年上のお姉さんを呼びすてにするんじゃないよ!まったく・・水樹さん、今日はお時間頂いてありがとうございます。」
今日は院長が学会に出席するために、午後は休診だった。
なので、洸太くんと沙百合さんと会う約束の日にしたのだ。
「沙百合さん、いいんですよ。洸太くんは私のお友達ですから。」
「そうだよなっ!」
洸太くんがニカっと笑う。
「あんたは、全く・・調子いいんだから・・・水樹さん嫌だったら言ってくださいね!」
「ふふっ、ありがとうございます。」
なごやかに話をしていると、沙百合さんがふと私の後ろに目を向け、少し気まずそうに聞いてくる。
「あの、ところで、こちらが?」
「あ、ご紹介が遅れてすいません。あの・・同じ職場でドクターをしている伍代先生です・・」
「こんにちは、伍代澄と申します。どうぞお見知り置きください。」
「あ、そうでしたか、田手沼です。よろしくお願いします。水樹さんには本当にお世話になりまして・・」
そう、なぜか伍代先生も一緒についてきている。
クリニックを出る前に、伍代先生に話かけられ、この後の予定を聞かれたので素直に答えた。
別に隠すことでもなかったから、友達に会いにいくのだと伝えると、なぜか着いて行きたいと言われた。
もちろん最初は断ったが、(洸太くんも沙百合さんも気まずいだろうし・・・)絶対に邪魔はしないと言い含められて渋々ではあるが、着いてくることを了承した。
沙百合さんには事前にメールで伝えてはいたが、疑問は多いだろう。
<何でか最近伍代先生が近くにいることが多い気がする・・・なんでだろう>
「ごだいせんせー?お医者さんなのか?」
「あぁ、そうだよ。君の名前を教えてくれるかな?」
「俺、田手沼洸太!よろしくな!」
「そうか、洸太くん。よろしくね。」
<さすがは洸太くん、医者にも臆することなく話しかけている・・コミュニケーション能力がとても高い・・>
「水樹さん、」
沙百合さんがコソコソと話かけてくる。
「はい?」
「伍代先生って水樹さんの恋人なの?」
「えっ!!」
大きい声が出てしまった。
伍代先生と洸太くんがこちらを振り向いたので、引き攣った笑顔で会釈だけする。
「いやいやいや!まさか!違いますよ!とんでもないです!」
こちらもコソコソと答える。
「えー、でもただの同僚のプライベートに着いてきたりするかしら?」
それは本当にそうなんですが・・・
この前ちょっとした事件があって、そこから伍代先生は私の近くにいようとすることが増えたと思う。




