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冥闇不道のアポストル  作者: 茅井 祐世
第一章 覚醒
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第三話

 聖杯から、ほとばしい光が放たれていた。誰もが光の創霊力(アフレイタス)かと思うくらいに。眩しさをこらえ、目を向けると、そこには聖杯すら燃やし尽くすかのような火球が、激しく瞬いていた。


「素晴らしい…ここまでの火を見るのは生まれて初めてだ」


「クランヌ村初じゃないか、火の創霊力(アフレイタス)は」


「騎士団の人間でもここまでの火が出たなんて聞かないぞ」


 周りの大人たちが口々にリンを讃え、畏怖する。司祭とリンが話しているみたいだが、周りの喧騒で聞こえない。ダインは、自分が目の前の幼馴染に置いて行かれてしまったような、言いようのない寂しさに身を貫かれる思いだった。


 リンがちょこちょこと小走りに戻ってくる。ダインは話しかけようと思ったが、彼女の表情はどこか浮かない。どうして?あんなにすごい創霊力(アフレイタス)を発現させたのに。

 

「ねえ、リン…」


 ダインの声は遮られてしまった。当たり前ではあった。しかし、リンの事で頭からすっかり抜け落ちてしまっていた。


「では最後、ダイン」


自分の番だということに。


 周りの目が自分を見ていないことに気づいた。火の創霊力(アフレイタス)の発現。村始まって以来の神童。誰も、自分を見ていない。ボソボソと続く話し声も、視線も全てがリンに集まっていた。


 前へ出る。トマス司祭はいつものように優しく微笑みかけてくれる。それが救いだった。ダインは、聖杯を見る。ゆらめく炎のような模様が刻まれた、美しい器。今までは、遠くからしか眺めたことがなかった。思ったよりとても大きい。片手ではとても持ち上がりそうにない器。中には半分ほどの量、蜂蜜酒が注がれている。ダインはそっと手を伸ばした。


 イメージしたのは、力の奔流。聖杯からとめどなく溢れ出す、自分の力。体を流れる血液が外を疾るような感覚。


 だが、聖杯に変化は起こらない。


 何も起きない?僕は「能無し」?


 めまいがした。全ての光が塞がり、目の前が真っ暗になった。リンと並んでこの先生きていくことはできないのか。


 そう思った時、パチ、と音がした。聖杯の表面をなぞるように、火花のようなものが光った。


「雷…」


 トマス司祭が声を漏らすと、さっきとは違うざわめきが起こった。


 「雷?」「なんだそれ?」「聞いたこともない」…


 立て続けに起きるイレギュラーに困惑は最高潮となった。トマス司祭が何か言って、その場は終わりとなったが、ダインは聞き取る余裕もなかった。




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