表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
ベル暦3年:子供時代の終わり  作者: 木苺
追記編:その後の若者たち
79/84

海のお祭り3:素潜り

年上の女性達、テレサ・マリア・ミルーや萌など女性研究者たちは、潜水の練習をした。


一つには 若い子や野郎どもと競いあって、序列をつけられたくなかったからだ。


さらにまた、海の生物の生活ぶりを見るには、釣ったり 地引網を引くよりも

海にもぐって 観察するほうが適していたからでもある。


さらにマリアとテレサは 船や漁網の完成を待つよりも 自分達で(もぐ)って海の幸を採って食卓を(うるお)したいと考えた。


というわけで、女性達は水着の開発に団結した。

ゴムを採集して加工したり、

特殊な繊維の原料をリンが海の向こうの土地から採取してきたり。


それゆえ 特殊繊維で作った女性用水着は、着ることができなくなったら 溶かして繊維を再生することになっている。


さて、女性たちが体のラインがはっきりとわかる水着を着用して、初めて浜辺に出た日は、一部男性たちが大変ショックを受けた。


ライトは 真っ赤になって海に飛び込み、アラン・リック・タッキーもそれに続いた。

ポロンとアシカは、そんな4人をぽかんとして眺め、少し顔を赤らめているジョンと

呆れてライトを見ているレオンの顔を見上げた。


イノシシ・ドジョウ・モグラの3人組は、「ここにエフライムたちが居なくてよかった」とうなづきあった。


フォークとサローヤン達はあらかじめ警告を受け、カッターの練習をしていてその場にいなかった。

「だってそうだろ?赤くなるのは若者まかせて 我々は年長者としての威厳を守らなくてはならないのだから、最初から目の毒になりそうなものは見ないでおこう」

というのが 彼らの総意だったのだ。


そもそもベルフラワーの女性達が着用している水着というのは、スウェットスーツ型で そんな大騒ぎするデザインではなかったのだが。


想像力過多のライトたちは、海の中で

 「ライトさん ナイアードのときは水への感謝をささげましたが

  今回は 何を頭に思い浮かべればいいのですか?」タッキー


 「今現在 俺の頭の中にあるのは 条件反射のように騒いだ自分がバカだなぁという思いだけ」ライト


 「わかめ 昆布 ハマグリ あわび あとなんでしたっけ もぐってとってくる海の幸は」リック


 「アオサ・ふのり・テングサ 別にもぐらなくても取れそうだけど 海草の名前」アラン


 「生麦 生米 生卵 取り乱す俺がバカなんだ」ライト


「まったく お前たちはなにをやっているのだ?」


海中で手をつないで輪になって浮かんでいる4人の真中に 突然タツノオトシゴが

顔を出して念話を送ってきた。


うわぁ! 叫ぼうとして塩水を飲み込んでしまい

そのショックで慌てて気を落ち着けざるを得なくなった4人組


タツノオトシゴは 再び念話を送ってきた

「なにをしているの?」


「あ あの 女の子の水着を見てびっくりしたもので 頭を冷やしに」ライト


「ばかだねぇ 僕達海の生き物は いつも裸だよ。」タツノオトシゴ


「女の人の裸を見て騒いでいると 人魚やセイレーンが来て 君たちを海の底に連れて行くよ」

わらわらと集まってきた魚らしきものたちが 4人のお尻をぴしゃぴしゃと尾びれでたたいたり 膝裏をくす繰りに群がってきた。


「こーら 人間をからかうんじゃない」ドラちゃんが飛んできて 声をかけた。


「このあたり一帯は 人間の海遊び用に使うってあいさつしたよね」

 リンも ボードに乗って飛んできて 海中の生き物に声をかけた。


「聞いた 聞いた。

 でも 妄想している男たちは 保護の対象外ってことになってたよね」

タツノオトシゴたち


「うわぁ あいかわらずだ」ライトは苦笑いをし

「これからは うろたえそうになったら海の底に沈む己の姿を考えよう」とつぶやき

リック達も同意した。


なにしろ 4人の頭の中には 海の底で魚のえさになっている姿が鮮明にタツノオトシゴたちから送られてきたのだから。


というわけで 4人は少々ばつの悪い思いをしながら岸に上がった。


実のところ サーフィンや水泳に興じているうちに

女子の水着姿が全く気にならなくなった。

 それこそ 条件反射のように赤くなった自分達がバカだったとアラン達も思った。


・・

テレサ達は 潜水できるようになると、新開発の水中眼鏡をつけて

海の中を観察して回った。


今はまだ どこにどんな生物がいるかを調べて回っているだけだが、

いずれは 貝や海草の養殖につなげていきたいなと思っている


(参考)

地まき式養殖 https://kotobank.jp/word/%E5%9C%B0%E3%81%BE%E3%81%8D%E5%BC%8F%E9%A4%8A%E6%AE%96%28%E5%9C%B0%E8%92%94%E5%BC%8F%E9%A4%8A%E6%AE%96%29-1172427


ハマグリ人工種苗生産試験

https://www.pref.kumamoto.jp/uploaded/attachment/121454.pdf


アサリの養殖について(ひょうご海ライプ)

https://hyogo.uminohi.jp/program/%E3%81%B2%E3%82%87%E3%81%86%E3%81%94%E6%B5%B7%E3%83%A9%E3%82%A4%E3%83%96%E3%80%80%E7%AC%AC27%E5%9B%9E%E3%80%8C%E6%96%B0%E3%81%9F%E3%81%AA%E9%A4%8A%E6%AE%96%E6%96%B9%E6%B3%95%E3%81%A7%E3%82%A2%E3%82%B5/


貝のオス・メス

http://hnf.fra.affrc.go.jp/event/osakana/2002kai/kai-sitsumon.htm#01


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ