海のお祭り2:海での移動
・ドワーフは骨太の筋肉質で どうしても体が沈みがち
だから一人一人の体にあわせて用意した浮き袋や浮き胴着を着用して、
道具を使って海を移動することになった。
まず最初に考えられたのがサーフボード。
以前リンがサーフィンしながら巨大魚を仕留めるときに使ったあれだ。
・サーフボードの基本はパドリング。
ボードの上にうつぶせになって 手で水をかいて波に乗りに行く。
もちろんパドリング用の手袋(人工水かき)も作った。
「むむむ 身体が痛い。
この歳になって 上体を大きく開いたり、反るのはきついぞ」ドワーリン
「だったら 立ち漕ぎ(スダンドアップパドル・別名サップ)しますか?
それとも カヤックのほうが安全かな?」リン
「何を基準に安全を主張するかな?」ドワーリン
「1 浮袋を身に着けて 海の中に投げ出されてもとりあえず浮く!
浮いて待つ これ基本」リン
「しかし その浮袋のせいで体の動きが制限されて困るんだが」ドーリ
「一言でいえば邪魔だ!」ドワーリン
「だから 現在 救命胴着=着用中の体の動きを制限せず
いざという時にはすぐに膨らむ救命用の浮き胴着を開発中です。」メリー
「緊急時に速やかに膨らむ仕掛けを、最小限の魔力で作ろうと
魔法と技術の組み合わせを試行錯誤してます。」ジョン
「そのために 僕達、開発中の胴着を着て水に飛び込んでデータ集めに協力してるんだよ♬」ディー
「耐久性のある胴着にするための素材も開発中よ^^」ティティ
「2 カヤックはダブルブレードパドル、つまり棒の両側にパドルが付いているので 持ち替えずにこぐことができる。
つまり パドルを落としにくい。
(パドル(しゃもじのように平たくなった部分)が棒の片端にしかついていないシングルパドル、
いわゆるボートのオールのようなものは、両手に1本づつオールをもってこぐか、
サップのように、1本のパドルを右に左にと水中に差し込みなおしてこがなければいけない。
棒の両端にパドルのついたダブルブレードパドルなら、
1本のパドルの中央を両手で持って腕を返しながらこぎ続けることができる)
しかもカヤックなら 船体がひっくりかえっても
体が船から放り出されることが少なくて
自分で船をゆすって(エスキモーロールで)すぐに船ごと体勢を回復して起き上がれる。
3クローズドデッキ、つまり細長い筒の中から体が出ている感じだから、
船の中に波しぶきが入りにくくて沈みにくい。
急に雨が降ってきたり、波が荒れた時に一人でボートをこいでいると、
船底の水のかいだしが、大変なのよ。
もちろん そんな天気に船出すなって話だけど、天候の急変・波の急変はいつだってありうるもの
川下りのときは 当たり前のように水が船の中に入ってくるしね。」リン
「やれやれ 年寄りを海中に引きずり込むよりも 砂浜でビールを飲ませてほしいもんだ」
ぼやくドワーリン
「父さん カヤックには僕と一緒に乗りましょう。」ドーリ
「ふむ お前はまだ若い。
わしに気を遣わず楽しむがいい」ドワーリン
「いやあ 僕も今更泳ぎのけいこなんて気が進みませんが
海の中をのぞくのは楽しそうだから
いざという時のための泳ぎとカヤックの操船だけ覚えて
ふだんは 誰かに乗せて行ってもらうつもりです」ドーリ
「ふむ 仕方がない お前につきあうとするか」ドワーリン
・というわけで ドーリとドワーリンは救命胴着をつけてカヤックの稽古だ。
ちなみ ドーリのいう「泳ぎ」とは、浮き胴着改め救命胴着をつけた状態で、
立ち泳ぎの手さばき・足さばきを覚えたことだ。
これが はたして何の役に立つかは さすがのリンもわからなかったが・・
「そもそも 救命胴着をつけて浮いているのだから 体力の消耗を防ぐためにじっとしていた方がいいのでは?」とジョンもレオンも思ったが・・
「泳いでいる気分になるし、手足を動かすのが面白いから。
もし胴着がなかった時も少しは浮いて入れられるように 立ち泳ぎの形だけでも覚えたい!」
と ドーリは主張した。
そして、水中にもぐったフェンに足の動きをチェックされながら
ジョンやレオン・ライトと一緒に立ち泳ぎの練習をしたのであった。
空中に魔力で浮き上がって 立ち泳ぎの足さばきを実演するリンを見ながら。
・一方レモン・ライザ・カノンたちは すぐにサーフィンを覚えて 波乗りを楽しんだ。
といっても 「腕の短いのは パドリングにおいてハンディだわ!」と言って、
ダブルブレードパドルを使って漕ぎながら沖に乗り出していく。
「重心が低いから 立ち漕ぎでも安定するのよ♡」ライザ
「それに背が低いから ダブルブレードパドルを使うのに わざわざ座る必要もないな」オルフ
「俺はやっぱり座ってこぐぞ」サイラス
「二人でボードをこいで沖に出て 二人乗りサーフィンだ!」ノーリ&サイラス
・レモンやライザたちが軽快に波を乗りこなし、
ノーリたちが 矢のように海上を突き進んでいくのを見て
人間の子供たちの血も騒いだ。
そこで 海岸線に沿って100m泳いだり、
クロールで沖の目標ブイまで突き進み 平泳ぎで岸まで引き返す、
背浮き1時間、横泳ぎや顔を水につけない平泳ぎで1キロ泳ぐなどの課題をさっさとこなすことにした。
昨年泳ぎを身に着けたレオンやジョンは、ライザたちと一緒になって波を乗りこなし 技を競い合った。
水上監視員はドラ・フェン・リンだ。
フェンを載せたドラが海上を飛び回り、フェンはまんべんなく四方に目を配る。
万が一にも海の生物と遭遇して思わぬ事故が発生しないように。
一方リンは のんきにボードの上に寝そべったり胡坐をかいて待機
何かあった時には すぐ出動する態勢は整えながらも。
ティティが ボードの上に立つのが怖くておろおろしていたら、
サイラスが一緒にボードに乗って彼女の手を取った。
いつのまにやらメリーはノーリと一緒に波乗りをしている。
・ライト・フォークを中心に盆地住まいの男達はレガッタに挑戦だ。
いずれ地引網をひいたり、漁に出るつもりで 二組に分かれて、
息をそろえて船をこぐ練習を中心にしていた。
なぜ 二艘に別れてではなくて二組に分かれてなのかと言えば
早い話がレガッタ用の船が一艘しか作れなかったからだ。
船づくりの詳細について述べるのは 別の機会に譲るが、
今回の海遊びで使った 船やボードを用意するために
ドラちゃんが 木材の乾燥を手伝わされたことだけは書いておかねばならないだろう。
というのも ジョンとレオンの乾燥魔法の技が未熟すぎて
板全体を程よく乾燥させられなかったからだ。
「手漕ぎ船と言っても いろいろな形式があるからなぁ。
平たく荷物を運べるもの。
柳の葉のように細くてスピードの出るもの
帆柱を立てることができもの
どのタイプのものから作っていけばいいのか迷うな」カックン&アロウ
「これから 木材加工の仕事が増えて 俺たちの需要も増えるといいな」タッキー
「まったくだ やっと俺たちも 専門職だ!って胸を張れる技術を磨くチャンスが回ってきた」リック
「おい おまえ 皮なめしの仕事はどうした!」ドスコイ
「皮なめしも 皮や木の染色も 木を材にしあげるのも 盆地ならではの仕事はなんだってやるよ」
リック
「そうそう 素材加工の専門職を目指すさ」アラン
「やれやれ 海と森の専門職ねぇ」ダレン
「なんか それかっこいい 僕達のトレードマークにしよう!」タッキー
「おまえ 相変わらず 言葉の使い方が雑いな」リック
「皆さん おしゃべりはほどほどに 櫂をそろえて!」艇長を務めるDDが 掛け声をかけた
「いーち に! いーち に!」
(参考)
・SUP・スタンドアップパドルボードについて
https://www.dod.camp/journal/archives/14871
写真つきでその魅力を紹介しているサイトですが、
現在、SUP遭難に対する海難救助数が激増中であり、
SUPの危険を指摘する海保からの指摘も多数上がっております
SUP事故の救助数の激増により 海保の本来の仕事(不慮の事故による遭難船舶の救助等)が
圧迫されている現状を考えれば、筆者としては日本でのSUPの利用に反対の立場をとっています
泳ぎの達人でサーフィンのエキスパートが気晴らしにSUPするならともかく・・・
潮に流されたり単身海中に投げ出されても
一人でそれを乗り切れる実力のない一般人がSUPするのは 迷惑行為に他ならないと思います。
「売らんかな」の危険な遊具の魅力を説く 無責任な販売業者に 載せられないでほしいと思う
(ベルフラワーの住民は全て自己責任で、何が起きても仲間内で助け合ってますので
他人に救助されることを前提にして遊んでいる日本人たちとは立場が違うので悪しからず)
・サーフィンのパドリングについて
https://surfinglife.jp/technic/19521/
基礎的なことが 写真をもとにした図解でわかりやすい
練習にあたっての周りへの配慮点(マナー等)もさりげなく 書かれている。
・カヌーとカヤックの違いについて
https://activityjapan.com/feature/canoe_kayak_difference/




