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ベル暦3年:子供時代の終わり  作者: 木苺
追記編:その後の若者たち
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海のお祭り1:水泳教室

レオンとライトが提案し、ベルフラワー領全体で企画した「海のお祭り」


その第一回のテーマは、「海での移動」(水泳教室・水難対策つき)だ。


「水にはまったとき 一番大事なことは「浮いて待つ」

 そして2番目が「危険を避ける」だ。」



フェン先生が 偉そうにふんぞり返って講義をする。


「待ってても 誰も助けに来なかったらどうするんだよ!」アラン


「だから 出かけるときには 必ず目的地・経由地・帰宅予定時刻を出発時刻つきで目立つところに張り出すか、当番に報告して出るんだろうが!」フェン


「しかし なんかの事情で助けが来るまでに半日以上待たなきゃいけないときは?」

リック


「だから 2番目が「危険を避ける!」だ。

 あわてて水の中でもがけば 間違いなくおぼれる。

  体力を消耗したり なんやかんやでな」フェン


元森男たちが 川底の砂地に足を取られた時のことを思い出して ばつの悪そうな顔をした。

「たしかに おれたち、立てば顔の出る浅い運河で 転んで起き上がれずおぼれかけたよな」イノシシ


「だから まず 「浮いて待つ」体勢を整えて、気持ちを落ち着けてから

 次の対策をとるんだ。」フェン


「というわけで 今回は 全員参加の水泳教室からはじめま~す!」

ティティが陽気に声をかけた。


・・(水泳教室)・・

 今回は 子供たちだけでなく 大人も達も全員参加だ。


 「浮き身」が取れるようになったら、今度は水中での移動=水泳もしくはそれにかわる活動の練習に移る。



・ドワーフは骨太の筋肉質で どうしても体が沈みがちなので

 巨大魚の浮袋を腰にくくりつけて、海上に出ることになった。


「なにも そこまでして わしは海に出たくない!」

ドワーリンは頑固に抵抗した。


「ご老人は それでもかまいませんが、若いドワーフたちが 人間といっしょに海遊びできるように、  ドワーフの体型に合わせた浮袋や浮き胴着を作成するのに協力してくださいよ」メリー&リン


「むむむ なんでも人間基準を押し付けよって!!」

と言いながらも サイラスたちが海遊びに乗り気なのを見て

ドワーリンもサンプルになるべく協力することにした。


実際 水中で体に負担なく浮いていられるように、「浮き」を体につけるのは なかなかむつかしいことだった。


浮袋の形状・大きさ、一人一人の重心と浮力のバランスをとって浮袋をつける位置を計算する。

姿勢が変われば 重心の位置も変わる。


しかも 荷物と違って人が浮くときの必須条件がある。

 そう、必ず首から上が海面に出ていること!

 運悪く 水中でうつぶせになったとしても自力であおむけになれること

 というよりも基本 水中で立った状態で首から上が水面上に出た状態で浮き続けなければいけないのだ!


姿勢を柔軟に変えることのできる若者は、

肉体の形状をもとに最も水中で安定するであろう姿勢を計算して割り出した体勢をとって浮くこともできたが、

体が硬くなった人には 無条件で 首から上が水上に出た状態で浮くよう、浮き胴着を調節しなければいけない。

言い換えるなら 気絶していても、身動きできないほど衰弱していても、おぼれず救助を待ち続けられる体勢=水中で首から上が完全に出た状態で棒立ちになって浮かんでいることのできる浮き胴着、

それが救命胴着である。



というわけで、浮袋や浮き胴着の開発に関して、ドワーフたちの貢献は大きかった。


なにしろ 泳げる人間は、自分で「浮く」姿勢を無意識にとってしまうので

水中で気絶した人間でも浮いていられる浮き胴着開発の被検体にはなれない。


イノシシたちのように 水に恐怖を感じるようになってしまった人間たちは・・被検体にできない


というわけで 本質的に水に浮きにくく、しかし大胆なドーリやドワーリンその他の面々は

貴重な被検体でもあり有力な協力者でもあった。


しかも・・レモンのように浮き輪で楽しく泳げる人から、ドワーリンのように金づちそのものの人まで

水中能力もバラエティに富んでいたから・・


「もはや 水泳教室なのか 我々を使って浮き胴着の開発をしているのか わからんな」

ドワーリンはぼやいた。


(胴着製作中のメリー達は、あれやこれやの試行錯誤に辛抱強く付き合ってくれているドワーリンとドーリ達のために、

今後大麦とホップの栽培に力を入れてビールを作って、今回のお礼にしようと心に決めた)

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