第58話 ティティとリンのお泊り会
(若者たち2/4)
食堂での雑談のあと
今夜はティティとリンが女子宿舎でパジャマパーティだ。
そのために ティティは一晩だけエレンと部屋を交換してもらった。
「今迄ずっと子供部屋だったから 今夜は大人の部屋で寝てみまーす」エレンはそういって枕を抱えてティティの部屋に移動した。
「別に枕をもって移動しなくてもいいのよ」ティティ
「気分の問題♫ それにお姉ちゃん。興奮すると枕をたたくじゃない。
だから 自分の枕をもって移動しまーす」エレン
一方リンも my枕と上掛けを持ってやってきた。
「おじゃましまーす」リン
「いらっしゃいませ~」ティティ
二人は仲良く子供部屋の広い寝台に並んで腰かけた。
「去年まで 私もこの部屋でエレンと寝てたのよねー。
久しぶりにここにもどってきて ちょっと懐かしい」ティティ
「こうして 相部屋でくつろぐのってはじめてだから ドキドキする」リン
「いいなあ 今までずっと個室だったの?」ティティ
「うーん まあ・・」
「なによ はっきり言いなさいよ」ティティ
「あー、母が晩年精神的に不安定になってね、夜はけっこう看護で眠れなかったのよ。
母のいない所に私が居たときは それこそ敵陣真っただ中って感じで、
夜中に襲われないように常に気を張り詰めていたしね。
昔はドラちゃんも小さかったから っていうか卵のころから、修道院を建てるころまで、ドラちゃんが誘拐されないようにいつもそばで警戒しながら夜を過ごしていた時も長かったし。
今は ドラも立派なドラゴンになったので、私も安心して夜を過ごせるようになったけど」
「それでも ベルフラワーに来てからも ずっと障壁を張り続けていたし、
熟睡したことはなかった。
最近ようやく ドラとフェンが時々交代してくれるようになったから 私も眠ることを覚え始めたのだけど・・今はまだ「くつろぐ」ことを覚えている最中なの」リン
「そ そうなの?
じゃ ライトと一緒の時も くつろげなかったの?」ティティ
「私は私のほうの事情でくつろぐどころではなかったし」リン
「そんな私を見て ライトはいっぱい質問してくるし
大変だったわ」リン
「最初のころ リンのほうがライトに気があるんだと思ってた」ティティ
「確かに彼は目立っていたし 陽気な受け答えがいつも返っってきたから、彼のほうを見ていることもあったかもね。
でも 気が付いたら 彼のほうからの 押せ押せがすごくって 圧倒されてた。
しかも それが一段落したかなぁと思ったら なんか未知の世界にぐいぐい引っ張られる感じで
ストップ!私はまだほかにやりたいことあるの!って叫ぶと、
今度は よしよしと小さい子の枠の中に押し込めようとしたり
前に進もうとすると 待て待て置いていくないくなと引き留められる感じで
なんやかんやと目まぐるしくも勢いがありすぎて・・」リン
「でも なんで 最初に『あなたなんか嫌い‼』って言わなかったの?」ティティ
「私 誰かに嫌いなんて 言ってはいけないと教えられていたから言えなかったのよ。
でも『あなたの行為は迷惑です。嫌です。』ってちゃんと言ってたのに 全然伝わらなくて苦労した。」
「確かに 最初の頃は、なんか派手なけんかをしていたわよねぇ」ティティ
「みっともない真似をしてすみません」リン
「確かあの時も あなたそんな風なことを言って謝ってたわよね。
それで 私 あなたって変わってるって思ったの。
『嫌なことされて嫌って言うことが まわりの人に迷惑をかけている状態なんだ』なんて気を使うなんてって」ティティ
「うわぁ~~~
まあ 確かに 最初のころ あなたが私のことを胡乱な目で見ていたのは知ってたけど」リン
「気づいてたの?!\(◎o◎)/!」ティティ
「気づかないはずないじゃない。
あなたが何をどう思っているのかはわからなかったけど
あなたが私に対して わだかまっていたことくらいはビシビシ感じてました」リン
「げっ こわー~ だのに何も言わないなんて
ライトには あんだけ言いまくってた人が」ティティ
「あなたは ジョンといろいろ話していても 私には何も言ってこなかったでしょ。
それに 私の前では あなたは他の人ともあまり話さなかったから
『私と距離を置きたいのかなぁ。だったら こっちから近づいても悪いかなぁ』と思っただけ。
『いずれそのうち 仲良くなれたらいいな』とは思ったけど
こっちから話しかけるきっかけも見当たらなかったし、私もいろいろ忙しかったから。
その点ライトは 自分のペースで ことごとく突っ込んでくるから
ぶん殴って領外に放り出すか、あきらめの心境で「私の進路をふさがないで」と言い続けるしかなかったのよ」リン
「ごめんね。
あの頃 よそよそしくて。」ティティ
「いいのよ。あの頃は お互い ベルフラワーでの新しい暮らしに精一杯だったんだから」リン
「とにかく これから ライトがあなたを悩ますようなら 私にも相談して。
私も協力する。
性別に関係なく 自分の人生を考える時間が必要!って意見に私は賛成よ。
『女の人生は男と結婚してから決まる』って言わんばかりのライトのやり方には私も反対。
だから これからは ライトに悩まされたら 遠慮なく私の部屋に逃げてきていいから。」
ティティの言葉に はにかむリン。
そんなリンを見ながら ティティはさらに言葉を続けた。
「レオンみたいに ここの男性たちも ライトとあなたのとの関係を見て
自分達の「男女の付き合い」に関する考え方を新ためてくれたらいいのにって思う」
「私は別に女性の代表選手じゃないわよ」リン
「それはわかってる。
でも 先頭を走るより2番手で走るほうが 風当りが弱いかなとも思うもの
ごめんね」ティティ
「しっかりしてるわ、あなた」リン
「私だって苦労してきたのよ、これでも」ティティ
「もしかして その苦労話を聞いたほうがいいのかな?」リン
「あはっ それを今夜しないほうがいいって しっかりとテレサとマリアから釘を刺されてる」ティティ
「えっ?」
「あのね パジャマパーティの許可をもらいに行ったときに、
リンちゃんに 私の苦労話をいきなり持ち出したらダメって言われたの。
リンはいろいろ苦労していても そのほとんどは口にしないし
口にするときも 相手が受け止められそうな範疇に限定したことしか言ってないみたいだから
互いの親睦を深めたり、相手の好奇心を満たすために 無理して自分の話をしているところもあるから、『あなたの苦労話を聞いたから 今度は私の話を聞いてね、みたいなことをしてはダメ
ってしっかり言われたのよ。
だから いつか リンがもっと元気な時に 私とジョンの話を聞いてね。
今は遠慮しとく。」ティティ
「なんか みんなにいっぱい気を使わせちゃってごめんね。
でも あなたとジョンの話は 私が昼間元気な時にしてもらえると嬉しい」リン
「そうね
りんにとっては 私と一緒に並んで眠ることから もうドッキドキの大事件なのよねぇ」
ティティはリンを冷やかした。
「あはは そうなんです。
どうかよろしくお願いします」リン
そして 二人で並んで横になった。
「ねえ 」遠慮がちに声をかけるリン
「なに?」まだ全然眠る気になってなかったティティは答えた。
「私ね つい最近ライトに言ったのよ。
私が欲しかったのは 家族だって。
ボーイフレンドでも恋人でも婚約者でもなくて 家族が欲しかったって言ったの。」リン
「それで?」ティティ
「ライトはだんまりだった。意外なこと言われたって感じで」リン
「あれだけ親しく付き合ってたみたいなのに
最初から最後まですれ違って 根本的なところがわかってもらえてなかったってショックよね!」ティティ
「うん」リン
「そこは 一発ぶっ飛ばすところだったんじゃない?」ティティ
「いやもう 今まで 散々喧嘩したから もういいよ」リン
「お疲れ様。
もしかしたら 私とジョンも すでにすれ違ってるのかなぁ。
昔は ずっと一緒に居るんだって思ってたけど
今は 一緒に居ても 見ているものが違うのかもって気がしてきたの」ティティ
「うん」リン
「性別に拘らなければ 女同士でも こういうことってよくあることなのかな?」ティティ
「かなって?」リンがいぶかしそうに聞いた。
「だって 私 アレクシアおばさんの所では 女性では2番目の年長者だったのよ
同年齢の女友達が居なかったのは 私もリンと同じよ」ティティ
「そうか。大変だったわね」リン
「うん」ティティ
「共通点のある似たような年頃の女の子と出会てラッキー♡って喜ぼうか?二人で」リン
「ふふ」ティティは笑って「いいわよ」と言った。
「じゃ ハイタッチしない?」リン
「OK」二人は起き上がって向き合い ハイタッチを交わした。
今夜20時に 2回目の投稿(2話分)をします




