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ベル暦3年:子供時代の終わり  作者: 木苺
未来・ほか
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第48話 スレインのその後

スレインの完全浄化が終わったとき 残った人々は5000人。

単身者も含めた約1000世帯であった。


どの職業においても魔力持ちが多いスレインの人々であったが、

リンに救援を求めるまでの王都守備戦で 互いに魔力を融通しあい

最後には、体力を魔力に変えてまで王都の守備結界を張っていたので

リンの結界に助けられ、体力と健康は回復したが、魔力は戻らなかった人がほとんどであった。


浄化の終わった王都は 虫食い状にがれきの穴ができていたので、人々は王都を離れ

農業・畜産で言い来ている場所を開拓することを望んだ。


そこで 比較的陥没穴の少なかった スレインの西側にドーム型の結界を張って

その中で 5つの村を用意した。さいころの「5」の目の形に配置した。

条件はリンド地域と同じだ。


人々は 互いに気の合うものどうし、全体のバランスも考えつつ別れた。


ドームの中心に、15歳以下の子供とその家族や教師・病院関係者&ご老人が暮らす村を作った。

学校・託児所などの集約化のためである。


中心の村の周囲に、作られた4つの村では、未婚の男女が年齢別にできるだけ釣り合うように 互いの相性も含めて配置した。


同じ村の中でお付き合いしやすいようにとの配慮したのだが、結果的は村内婚と別々の村の人同士のカップルは同じくらいの数になった。


日用品など 王都から持ち出せるものはすべて運び込んだ。


リンは結界の周囲に木を植え、その外にさらに結界を張った。

外側の結界は浄化結界 人の出入りを阻むもの


3年たって木がある程度育ったら内側の結界を外すので、あとは上手に木の手入れをしてその恵みを受け取るように そして必ず種まきをして植樹をしていくようにと言った。


10代の者の中には 身近に木を見るのが初めての者もいた。


念のため 狼や獣を狩ることを禁じた。




ベル歴4年、バクーはスレイン宰相の補佐として村の中心に入った。

彼はベルフラワーで学んだことを活かして、人々を引っ張っていった。


ベル歴5年 王都を離れてからは引退して引きこもっていた魔術師長がひっそりとなくなった。


ベル歴6年 バクーはスレイン郡の群長となる。

      以前の宰相はすでに引退しバクーの扶養家族となっていた。年末に死去


スレインの人々は結界内で緩やかに拡散していき 中心に学校・病院・登記所を残して、日常は家族単位もしくは数人の気の合う仲間単位で暮らすようになった。

並木は やがて 林となり森となり 人々の命の糧となった。


木々の成長ぶりを見ながら リンは緩やかに動植物を結界内に送り込んでいった。


人々は 家畜の乳や卵は食べても肉は食べず

家畜と作業したり移動するときは、その都度丁寧に 家畜の協力をお願いするようになった。


スレインの人々は 魔法は使えなくなったが、念話で動物たちと通じあえるようになった。


スレイン村の第3世代の子供達の中には 木に宿った精霊と話せる者も生まれた。


人々は 切り倒してよい木、だめな木を精霊たちに尋ねるようになった。


一方精霊たちの助言を受けて 植物を育てる技に長じ、1本の植物からより多くの実りが得られるようになった。


人々は群全体で3年分の食料の備蓄はしたが 備蓄分以外は 毎年全員で分け合って食べきれる分しか作らないようにした。


年齢構成の変化により血族はくっついたり離れたりした。


子供達が小さい間は家族で郡の中心ですみ、独身時代は辺縁に行くなど、引っ越しも転職もしょっちゅうであった。


最後まで家族と暮らす年寄りもいれば 郡の中心の老人ホームや各村にできたグループホームホームで生涯を終える者もいた。

ホームからの連絡を受けて駆け付けた家族に看取られる人も多かった。


互いを思いやりながらも 緩やかな結びつきの人々だった。

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