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ベル暦3年:子供時代の終わり  作者: 木苺
プロローグ
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第2話 出撃 (ハチの警備隊)

急報を受けたリンは 直ちにバクーとフォークに連絡を入れた。


といっても無線や電話のないベルフラワーでは、緊急連絡はすべて念話である。


念話はもともと高度な魔法能力がないと使えない特殊能力である。


しかし少数精鋭を目指すというか結果的にその方向に向かってしまったベルフラワーでは、未成年はたっぷりと魔獣肉を食べてリンが魔法を特訓して、各人各様の魔力を養う一方

大人は 各自の素養と役割に応じた念話の受容力を高めていった。


(要点・焦点を絞った念話というのは、ある程度会話力と精神的防御力を高めてからでないと諸刃の剣で危険なのだ。)



正月明けに、「悪しきもの」達の徘徊情報を得たリンは、フェンと二人で風になって偵察するとともに、オオカミ達を入植地外縁に配備した。


スコルの子や孫にあたるオオカミ達は、もともと普通のオオカミよりもちょっと体格がよかったり、ほんのちょっぴり思考力があったり 微妙に長生きといった程度の存在であった。


しかし 群れの中からスコルが選抜し、リンに託したオオカミ達は、

ベルフラワーでリンとフェンの指導と助力により かなり能力を増していた。


中でも、スコルの長女であるスコリーは、リンから探索能力を強化してもらい、盆地の入植地周辺の警護にあたっていた。



一方、本領で育った若いハチ達の中でも血気盛んで闘争心の強い一群ひとむれのハチ達は、通常の蜜や花粉集めではなく、警戒任務に就きたいと申し出た。


そこで、①植物の蜜や花粉以外のものを食さないこと ②決して攻撃せず、探索と蜜や花粉以外の採取は行わないことを誓わせたうえで、警戒任務にあたらせることにした。


というのも この世界では、生き物や屍を食ったり、悪しきものと接触したハチが魔物化して 生物をせん滅した過去があったからである。


それゆえ ハチ達を外に出したくなかったのだが、もともとノームが集めてきたハチ達なので・・血の気が多い個体が生まれるのはいかんともしがたいのである。


だからハチの暴走・悪しき変身を止めるためにも リンは徹底的に行動制限をもうけるとともに、禁を破ったハチは情け容赦なく叩き潰すと宣言した。


「私たちだって、悪しきものに変化して女王バチや同胞を襲う魔物になりたくありません!」

「だから ルールは守ります!」

「もし 仲間が悪しきものと接触しちゃったら、僕達で片付けます!」


「いやいやそれだめ、元仲間でも悪しきものに触れたその瞬間から感染源になるの。

 外観や性質が変わる前に感染源になるの。

 だから 仲間が悪しきものに触れてしまったら、すぐに緊急通報してあなた達は逃げなさい。

 それも 入植地や本領がない方角へ。」


リンの厳しい言葉におののく ハチ達。


「だから 偵察などにいかず、川辺の入植地と本領の中にとどまっているほうがいいわ」

リンは再度 ハチ達にすすめた。


その結果 大多数のハチ達は、警戒任務志願をとりさげたが、それでも10匹のハチは、外に出て探索と警戒をしたいと言った。


こうして 川辺の入植地の、北・西・南を警戒するハチの警備隊が組織されることになったのである。



今回の「悪しきもの襲来警報」は、

川辺の入植地の西側を警戒していたハチ→川辺の警備主任オオカミであるスス→盆地の警備主任スコリー&リン

スコリー→本領警備主任オオカミのアトス

という順番で 念話で伝達された。


そしてリンは 同時にフォークとバクーとアトスに念話を入れた。


最近 本領の手配師といっても仕事や畑の割り振りをする善良な役職についたバクーは、頭の回転の速く総合的な判断力もあるのだが、目覚めがちょっと遅い。


一方フォークは 衛兵時代に体に叩き込まれた型通りの反応は俊敏なのだが、応用力にかける。

いいかえるなら、敵襲や警報で素早く飛び起き防備に着けるのがフォーク

反応は遅いが しゃっきりしたら迅速に臨機応変な対応ができるのがバクーである


だから リンは、念話で「起きろ!」と二人に怒鳴った後は、

フォークに詳細を知らせ、バクーがしゃんとしてフォークに連絡を入れてから

フォークが リンから得た情報をバクーに伝える体制をとっていた。


ちなみに フォークとバクーの間の念話を取り持つのはアトスである。


「まったく こんな伝言ゲームのようなことをして、情報が正しく伝わるのか?」

この体制を組み立てた時 フェンは大いに疑問を呈した。


「そこはそれ 念話伝達のバケット通信と言いますかムニャムニャむにゃ」


とりあえず 何度も試行して、リンが新たな念話使用パターンを開発して

実用化にこぎつけた。


この実験&実習訓練を行っている間、ベルフラワーでは、関係者たちが突然白目を向いて硬直しているという噂がたったとかかんとか・・・・

 (ベルフラワーのメンバーも 噂好きの普通の人間だったということで(;'∀') )



さて 話を戻すと、襲来警報を受けたリンは、素早く本領の防備を固め

人型になったフェンと二人で出撃した。


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