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ベル暦3年:子供時代の終わり  作者: 木苺
未来・ほか
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第47話 リンド国のその後

リンド国の田舎には スレインから逃げ込んできたアンデッド生産関係者が多く住んでいたが、アンデッド工場は王都に集中していた。


というか1昨年までリンが毎年リンドのアンデッドとアンデッド工房を浄化していたので 土地がスレインに比べればきれいだったのだ。


というわけで 王都外の土地では、浄化の炎は2週間で鎮火した。


一方王都の地下全体に アンデッド工場や闇ルートが広がっていたため、鎮火の見通しが立たず、王都の地上は フライパンの蓋のように熱く、やかんの口のように熱気を噴き上げる穴があちこちにあいた。


王都の建造物はどれもしっかりとした作りだったので、建物は残っているのだが とてもではないが住める状態ではない。


リンドの人間たちは話し合って、スレイン寄りのある村を拠点に開拓生活をすることにした。


開拓に必要な家と道具類はあらかじめリンが用意すると言った。

しかし 今後一切 協力しないから自分たちで頑張るようにと告げた。


村人たちは300人の傷病兵は足出まといだと言った。


「ならば自分達300人はここに残ろう」とシンドバッド元将軍はあっさりと言った。


「アンデッドとの戦いで手足を亡くされたあなた方を置きざりにすることはできません!」

バンデッド隊長と彼の配下の60名の男女が将軍たちと一緒に残ると言った。


近衛女性50名中40名までが居残ることに村の男たちは難色を示した。


しかし屈強そうに見える近衛兵30名や元気そうな聖職者たちが自分達と一緒に来るのなら 後でなんとかできると考え直して 村人や市民たちは出て行った。


彼らは年寄の市民たちや子供や、その者たちと離れたくないという家族も後に残して移動していった。



開拓予定地で待っていたリンは、到着した者たちに最後の意思確認をしたのち、彼らを強い浄化結界ドームの中に閉じ込めてしまった。


真面目に開拓をすれば飢えることはない。

ドームの中で子々孫々生活していけるだけの土地は与えた。


心正しい者のみはそこから出ることができる結界でくるんだのだ。


近衛兵(男30人 女5人)と一般女性が10名が結界の中から出てきた。


 離脱した近衛兵たちは、村人や市民たちがきちんと目的地まで一直線に進んでいくように誘導し、途中で落ちこぼれたり気を変えた人を助けるために同行していたに過ぎなかったのだ。


開拓予定地に残ったメンバーの中にはセバスやコーチャンもいた。



一方 シンドバッド将軍とともに残った傷病兵や老人・子供・親子らは、リンが用意した馬車に乗って別の開拓村に移動した。

傷病兵とはいえ、義手や義足を使って ゆっくりとした動きではあっても身の回りのことはほぼほぼできる人たちであった。


この者達もまた 強い浄化結界で囲まれた開拓地で新生活を始めることになった。


「女王陛下も人が悪い、我ら500名とあのもの達600名を分けてしまうとは」シンドバッドは笑った。


「後々もめるより、同じ理想を持つ人たちで固まったほうが開拓しやすいでしょ」


「とにかく やれるだけのことはやりましょう」バンデッド


「地力が復活するまで これから50年は結界の外に出れないから覚悟してね。

 真面目に働けば 食べていけるだけの生産力をどちらの開拓地にも与えました。

 50年後には 心正しき者のみ ここから外に出ていくことができるでしょう。

もちろん何世代もここに残っても大丈夫です」


「結婚問題が心配です」若い女性がつぶやいた。


「両性の合意と子育て可能かどうかをよく考えて行動されますように」

「時々は様子をみにくるけどあてにせず頑張ってください」

  そう言ってリンは別れを告げた。



「子供の一人が結界に手を伸ばして言った。

これに触るとすごく気持ちが良いよ」


「どれどれ」両親も結界に触れてみた。


「ほんとうだ。気持ちがすっきりとする!」


老兵も結界に触れてみた。

「体のこわばりがとれるようだ」


この開拓地では、1日の仕事が終わったあと結界に触れて心と体を安らげてから眠るのが習慣となった。


傷病兵たちはキャンプ設営のプロであった。

村人はもともと農業畜産のプロだった。

思ったよりも生活はスムーズだった。

何しろ近衛兵たちは 肉体労働と医療と調理も含めた日常生活もろもろのエキスパートであったから。


右手しかなくても 左手しかなくても 二人が協力すれば一人前の仕事ができた。

 要は創意工夫と協調性、そして共有できる経験の有無が重要だったのだ。

※今日からは 基本1日1回 朝7時投稿の予定です

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