第1話 襲来 (梅の香漂う立春)
梅の香漂う立春
春分と冬至の真ん中の真ん中の日が立春
その立春の前日が節分《節分》
人間の生活が自然の恵みに依存していることが明らかだった時代は、季節の移り変わりを知ることが、植物の実りを採取したり、あるいは種をまいて収穫する農作業の計画を立てる上で非常に重要であった。
そして 生き物にとって季節の指標として一番大切なのは寒暖の差、
この寒暖の差は、日照時間と惑星と太陽との微妙な距離の違いによって生じる。
というわけで 太陽高度の観測と日照時間の計測=天体観測が始まり、
春分・夏至・秋分・冬至が発見されるに至った。
一般的には 春分と秋分は昼と夜の長さがほぼ同じ日
夏至は 昼が一番長くて、冬至は夜が一番長い日。
俗に「冬至十日前は あほでもわかる」というように
最近、日の入りが早くなったなぁ(わぁい 外仕事を早く切り上げられるぅ♡)と感じると冬至がやってくる。
天体観測が発展して天文学という学問の分野になってくると、「黄経0度=春分点」などという定義も出てくるのだが、日常をポヤポヤ~と暮らしている分には そこまで気にしなくても毎日は回っていく。
ただし 植物の中には日照時間によって開花結実・成長が定まる種類も多いから、この太陽が惑星を照らす時間スケジュールを把握しておくことは重要である。
といっても、火山灰や 季節的に長雨や台風に襲われる地域では、
天の運行スケジュールよりも 空(雲)の影響により日照時間が左右される影響の方が大きいので、天文学が先に発達するか、気象観察・観天望気が重要視されるかの地域差はある。
そしてベルフラワーは、1年が360日 1か月は30日で曜日がない。さらに
12月30日 冬至
2月15日 立春
3月30日 春分
6月30日 夏至
9月30日 秋分 と固定されていいるので、何かにつけて便利だ。
さて 宵闇の中を漂う梅の香りに身をゆだねウトウトしていたリンのもとに緊急通報が入った。
北方森林地帯を「食えない獣」が大量に移動中! と。
この「食えない獣」というのは、ゾンビ・毒持ち魔獣など、生きとし生ける者すべてに禍をもたらし大地を荒廃させる「ろくでもない」存在の総称である。
その起源は?
いろいろあって、共通するのは、『悪しき魔法を使う人族』が関与しているということである。
人族と言いうのは、一般的には人間・エルフ・ドワーフなど人型を取る生き物のことであるが、最近では人族と『人族が人工的に作り出した2足歩行の生き物』の総称となっている。
つまりゾンビもスケルトンも人族に仲間入りしてしまった。
さすがに 幽鬼・幽霊の類を人族に入れてもよいのかどうかは微妙だが、
「人由来の存在なら人族でいいんじゃない」というのが、リンたち宗教にこだわりのない実務家・研究者達の意見である。
(参考)
春分について
http://koyomigyouji.com/24-shun.htm