第34話 アンデッド
どこの物語世界にも お化け・魑魅魍魎・あやかし・幽霊・アンデッドなどなど色々出てくる。
ベルフラワー産のアンデットは 神話とは全く無関係、
ほかの物語世界とは異なり、100%人間が作り出した「悪しき」存在
自然の摂理を踏みにじる人工物である。
なにしろ 生きものを素材として生産しているのであるから。
以下に、このベルフラワーのアンデッド達の製造法と分類を記す。
(出典は セバスがリンの前に差し出した書類の山とリンの経験である。)
①アンデッド:生物の命をいじって作り出された人工物の総称
・肉体系アンデッド (物理攻撃がある程度効く)
ゾンビ:動く腐乱死体
不死者:生前の意識を保っているゾンビ
グール:生者を食う死んだ獣
Living Dead(生ける屍):死んだときの姿で動き続ける
生前の意識を保っているもの~混濁~意識が停止したものなどいろいろある
かつて 魔法使いが不死を求めて自らの肉体をLiving Deadにした。
しかし、自らLiving Deadになった者たちは、
Living Deadになると 生きていた時代の快楽が得られぬことに気づき、
欲求不満・焦燥・喪失感にさいなまれ 様々な形にゆがみや狂いを生じ
死を望んでも得られず・・・・幽鬼となった。
キョンシー:術者によって動かされる死体
通常 額に術者のお札が張られている
お札がはがれると やみくもに生者を襲いだす
・霊魂系:生きている人間から引きはがされた魂のアンデッド
生前の意識の状態はLiving Deadと同じく多様である
物理攻撃がきかない
リッチ:魂の引きはがしが不完全で、ゾンビ化した肉体をひきづる魂
ゆえに 肉体部分を攻撃しても全く意味がない
レイス:肉体から完全に引き離された魂
非物質状態で生前の形をとることもできる
バンシー:引きはがすときに傷ついた魂で泣き叫ぶ
激しく傷ついた魂ほど その鳴き声は破壊的
スケルトン:引きはがされた魂が骨にとりついたもの
必ずしも元の自分の骨である必要はない
・悪鬼:Living Deadの中でも特に魔力が強くレイス化したもの
幽鬼:魔力の強いLiving Deadが死を願って自らの肉体を滅ぼしたものの 不死化した魂は
死ぬことができず幽鬼となってさまようことに。
・魑魅魍魎:人間以外の生き物からつくられたアンデッドの総称
②術者について
・ネクロマンサー(死霊術師):死者を使役する者
かつては死体を直接操るキョンシー使いが主流であった。
その後 生物をゾンビやグールに加工して使うようになった。
・悪霊:人間だったネクロマンサーの成れの果て。
悪しき魔法を使い続けるうちに、レイスやリッチなどに変質してしまった。
③肉体系アンデッドと霊魂系アンデッドの関係
グールやゾンビを作るときに失敗するとリッチになる。
被検体の持つ魂が強く、魔法使いの術を振り切って逃げきることに成功すればレイスとなる。
ゆえに レイスは通常人間に対して強い恨みを持っている。
レイスとなった魂は Living Dead同様、壊れていく。
施術者が未熟で、魂が壊れて飛び散るとバンシーや魑魅魍魎となり、
骨にとりつくとスケルトンとなる
不完全な魂が残った肉体は 腐乱してドロドロになったゾンビ(流体)となる
④魂と意識
・魂とは存在の中核をなすもの
通常は生命エネルギーを持った肉体=生体の中にはいっている
・肉体に死が訪れたら魂は
1.死体とともに朽ち果てる
2.死の瞬間に肉体から抜け出してさまよう。いわゆる幽霊の類
3.死を覚悟した時に肉体から抜け出し、始原の世界で浄化されたのち転生する
のいずれか。
この肉体と魂とエネルギーの関係に人為的に干渉するのがネクロマンサーである
・意識とは 生体の記憶がエネルギーと結びついたもの
苦痛は生体エネルギーの乱れを引き起こし 記憶を飛ばしてしまったり変性させてしまう
⑤アンデッドと術者との関係
かつては、魔法使いが自分で、命あるものをアンデット化して使役していた。
しかし ネクロマンサーが悪霊化し、最後はレイスやリッチに変質することがわかってからは、
アンデッド工場で、アンデッド製造を専門とする者と、工場産のアンデッドを遠隔操作する者とにわかれた。
すなわちネクロマンサーが悪霊化するのは、アンデッド生産時に被害者が放つ怨念・呪いの影響だと考えられたからだ。
しかしながら、被害者の怨念はアンデッドにされる時も、アンデットになってからも関わるものすべてに影響(呪い)を及ぼしていた。
それゆえ アンデッドの遠隔操作に特化しても、ネクロマンサーのアンデッド化は止まらなかった。
むしろアンデッド生産工場に多数の術者(魔法使い)・従業員(一般人)が投入されたために、アンデッド化する魔法使いと一般人が増えただけであった。
しかも アンデッドの呪いを受けた人間は、一般人・魔法使いの区別なく周囲の人間をもアンデッド化していった。
こうなると アンデッドの呪いのウイルス化と言ってもよい状態である。
ベルフラワーでは ゾンビやグールにかみつかれた人間や動物がアンデッド化することはなかったが
ゾンビやグールにかまれると疫病で死ぬ。
またその死体が感染源となって生き物の間に疫病が広がった。
=ゾンビ&グールの病原体化
アンデッドは 肉体系も霊魂系も、遅かれ早かれ 制御なく人や獣を襲い、襲った相手をアンデッド化していく存在である。
それゆえ リンは アンデッドの存在を感知したら無条件で焼却後浄化を行なうことにした。
正気を失ったアンデッドはもはやウイルスに等しく
わずかでも正気のあるアンデッドにとっては 完全なる死は苦痛からの解放=慈悲であった。
さらに リンド・スレインが存在する星は、アンデッドを根絶するか 生けるものすべてがアンデッドになるか、究極の2択状態に陥っていたのである。
※ 本日 夜8時 2回目の投稿をします




