第22話 コカトリス事情
・ベル歴1年8月、ベルフラワーの人々の栄養確保と労働力確保のために、リンは野生の王国に行って黒牛と白黒牛(搾乳)・コカトリス(採卵)を連れてきた。
当初は 牛もコカトリスも念話も通じない魔物であった。
しかし ベルフラワーで暮らすうちに、人語を解するようになり、リンと念話で話すようになった。
・リンは コカトリスの雌3羽・雄1羽をつかまえて番になることを期待していたが
雌コカトリスによると雄はおじいちゃんすぎるということであった。
ベル歴2年7月
有精卵を産みたいと言い出したコカトリス、その名を日向と名付けたのだが、その日向と老雄コカトリスを連れてライトがドラの背にのって野生の王国に行った。
雄はそのまま野に放ち、日向はしっかりと受精してから ライトと一緒にベルフラワーに戻った。
ちなみに 日向たちによると、コカトリスの自然繁殖はこの200年間絶えており
日向たちは 養鶏所から集団脱走して野生の王国に来たらしい。
そして ベルフラワーに来た雌3羽は 雛の状態で養鶏所から逃げ出して 自力で大きくなったので 自称「野生種」なのだそうだ。
・ベルフラワーに来たコカトリス達は 最初修道院の空き地の鳥小屋に住んでいたが
いろいろあって 今は 食堂の2階の屋上に住んでいる。
・日向の産んだ有精卵は5個
9月21日にリンが屋上のコカトリス達を訪問した時には、日向の息子2羽が以前からいた雌2羽を受精させたあとだった。
なんと成長が早いことだろう。
人語を介するコカトリス達は名前を欲しがったので、元からいた雌のコカトリスの名前は たんぽぽ・れんげと決まった。
タンポポ・レンゲの希望で 日向の子である若雄コカトリス2羽は空間収納されることになった。
(日向の子である若雌3羽はまだ人語が分からないので 名はない)
・タンポポ・レンゲもそれぞれ5個づつ有精卵を産み 雛をかえした。
抱卵から子育てに励むタンポポ・レンゲの代わりに、日向の娘3羽が無精卵を産み始めた。
日向は 一時産卵をお休みして、タンポポ・レンゲの子育て支援に回った。
・タンポポ・レンゲの希望により、彼女たちの息子たちは若鳥になるとすぐにマジックバック入りすることになった。その数6羽。
(日向の息子とあわせれば、現在リンのマジックバックに若雄コカトリス8羽がいる)
(タンポポ・レンゲの子である 若雌は合計4羽)
ベル歴3年3月
昨年抱卵体験をすませた日向たちは 今年は受精せず のんびり交代で無精卵を産み続けたいという。
日向の娘たち3羽のうち2羽は人話を理解しはじめたようだ。
日向は この二人に小春・ぽかぽかと名付けた。
タンポポとレンゲの娘4羽はまだ人語を解しないが、最近無精卵をせっせと産み始めた。
(今までは産卵室を交代で使っていたようだが、建て増しをしたほうがよさそうだ。)
そこで 母鳥たちの意向により、雄の若鳥たち8羽と 日向の娘のうち人語を解さない1羽を 白黒牛と一緒に野営の王国に送ることになった。
小春とぽかぽかは 受精のために野生の王国に同行したいといった。
(若雄コカトリスを野に放つのは、繁殖欲が強く乱暴な雄たちとの同居を、雌コカトリス達が拒否したからである。
そして有精卵を産みたくなると、わざわざ野生の王国にまでお見合いに行くのは
優秀な雄と番って優秀な子を産み育てたいからだそうである。
・・
「私たちは 仲間の親族関係がちゃんとわかるんですけどねぇ」日向
「雄たちときたら 見境なしで 親や姉妹にまで手を出そうとするから 同居は絶対無理です!」
タンポポ
「私たち 研究所にいたとき 人間からバカにされましたもん。
近親婚により 弱い個体しか生まれなくなって絶滅した馬鹿どり って。」レンゲ
「えっ?その頃から 人語がわかってたの?」リン
「人語はわからなくても 繰り返し聞かされた言葉は覚えてましたし
ここに来てから ホルスさんたちに その言葉の意味を教えてもらいました」日向
「だから 私たちは 番う相手を自分で選んで 強くて賢い子を育てるんです!」レンゲ
「でも 絶滅したのに なんで復活したのか聞いた?」リン
「こっこっこっ 『抽出遺伝子で再構築した』って意味わかります?
ホルスさんたちにも わからなかったことばなんですけど」 日向
「えーと 遺伝子というのは 卵の素みたいなやつです
それを 人間たちは持ってたので まず卵を作ってから 雛にしたってことですね」リン
(コカトリス達の気持ちをおもんばかって あえてあいまいかつ簡略化した説明でごまかしたリン)
「なるほどー
あそこの研究室には 気味の悪い生き物も 変な生き物もいっぱいいました。
あの人たちは どっちかというと乱暴な子が好きだったみたいで・・」タンポポ
「私たち すっごく居心地悪かったんです」レンゲ
「だから なんか騒ぎが起きたときに みんなで逃げることにしたんです」日向
「だから 乱暴な子と一緒に暮らすのは もう絶対に嫌です!」タンポポ




