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ベル暦3年:子供時代の終わり  作者: 木苺
人間模様・他
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第20話 魔力と魔力の器

ライトが自室でレオンと話していたころ・・


リンを抱えて談話室からねぐらに戻ったドラ。


ドラはリンをしっかりと抱えたまま尋ねた。

「だいじょうぶ?」


「かろうじて」


「ごめんね。僕にできることが少なくて」


リンは 一瞬ドラの胸に頭をよせかけ、それから身を離した。

「お茶を入れるわ」


「お湯を沸かすのは僕にまかせて」

そういって 最近覚えたばかりのお湯魔法を使うドラ。


その間に茶器の用意を整えるリン。


二人でオレンジの香りをする紅茶を飲んだ。

 細かい魔力コントロールの練習のために、ドラがオレンジの皮を刻んで乾燥させたものが入っている紅茶。


「なかなか良いお手前で」リン


「それにしても さっきの話 どこまでライトに伝わっていたのかな?」ドラ


「それはもう 昨年のように私が感情的に未熟だという受け止め方でしょ」


「それでいいの?」


「攻撃魔法で扱う魔力の量が多すぎて リミッターを外したから

 今度は日常生活に支障が出てるなんて説明したら さらに面倒なことになるよ。


 ライトは自分の考えで私を押し包むのは毎度のことだし、だから私の生き方はあなたとは違うのよと説得する忍耐心からくるストレスが 私の魔力爆発を引き起こす!

なんて言ったら 彼がまた悩みだすでしょう。


 おまけに その話を漏れ聞いた領民が 今度は 私を時限爆弾並みに考えて 日常生活に不安を抱くと まためんどうが連鎖的に加速しておきそう」リン


「だいたい 人間の器に収めきれない魔力を いつでも取り出せる状態で押し込めているのだもの。

そんなの寿命をちぢめるだけだってフェンは怒ってた」ドラ


カップを右手でもちながらも、席に着いてから ずっとリンの左手にドラの左手を重ねながら話すドラ。


「こうして 魔力をあなたが吸い上げてくれるおかげで ずいぶん助かる」リン


「おかげで僕も魔力をたっぷりもらって成長できる。

 運送代金として家畜をもらう必要がなくなった」にっこりするドラ


「それって 食べる楽しみを奪っちゃってる?」申し訳なさそうなリン


「フェンが、吸収したエネルギーを、体を維持する分と体を成長させる分に、分配するやり方を教えてくれた。

 それに成長させた未来の体が消費するエネルギー量を計算しながら、

 吸収したエネルギーを、今消費したり 将来の体のためにストックするといったバランスのとり方も教わってるから大丈夫。


 むしろ そういうことを習わない普通のドラゴンより

 幼い時から良い先生と良いエネルギー補給を受けている僕は かなり恵まれているかも」ドラ


「そう言っていただけると 救われます」


「それより リンちゃんこそ 自分を大事にしてね。

 無理に人間としての体を維持しなくても、フェンのようになる方法もあるのに」


「まあねえ。

 だけど 人間として15年も頑張ってきたのに。

 これからも新しい展開があるかもって時に 人間やめるのももったいなくて」


「ぼくは 人間でお母さんのリンちゃんも どんな存在になったリンちゃんも全部好きだからね!」そう言って ドラは ミニドラゴンの姿になった。


「だから リンちゃんが 夢を見て 感情が刺激されて爆発を引き起こしても周りが大丈夫なように 今夜も結界を張っておくから安心して寝てね。


 ほんとは フェンのようにリンに寄り添って眠って 穏やかな眠りに導いてあげられるといいのだけど」


「アハハ、フェンの夢は 宇宙を飛び回って愛をささやくことだから

あれはあれで大変なのよ」


てしっと 遠くからフェンが念力でしっぽをふるった。

「わしはまだ 愛をささやいてはおらん!」この声は ドラにも聞こえた。


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