第17話 向こうの大陸
以前 リンが
「耐水性の容器が欲しい!
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防水塗料が欲しい! 柿渋の完成を待ってらんない!
↓
そうだ ビチューメンを手に入れよう!」とばかりに 海の向こうの大陸に行ったことがある。
そこは 地獄の業火が燃え盛る地であった。
そう、今の人間たちの前の文明が行きつくところまで行って、世界大戦をおっぱじめて、核弾頭が飛び交い、着弾した核爆弾があろうことか地脈を刺激して火山の大爆発を起こしたり、天然ガスや石油の埋蔵地帯を覆う地表を吹っ飛ばして地の底の化石燃料に引火して今もその穴から炎が噴き出し続けるなど、しっちゃかめっちゃかになった大陸である。
ついでいにいうと この文明と大陸に リンやフェンがかかわったことはない。
リン達が到着する前に、この戦争は終わり、この文明は滅んでいたから。
そして リン達が降り立った、こっち側の大陸では 新たな生物が生まれ やがては新人類が育ち始めたのであった。
一方 世界大戦によりはるか昔に文明が滅亡した大陸の地表は、各種爆弾の影響でずいぶんと薄くなっていた。
それゆえ 何かといえば地表が破れてマグマが噴出していた。
さらに悪いことに、地中に飲み込まれた 核融合炉etcがわけのわからん反応を起こして、今でも 時々思い出したように複雑な反応で爆発を起こしては 地中から星全体にゆさぶりをかけていた。
このあたり なにがどうなっているのか さっぱりわからない。
しかし あの大陸では面妖なことが今もしょぼしょぼ続いており、
放置していては あまりよろしくなかろうということは フェンのかつての知り合いたち=この星の超人外ともいうべき方々との間では話題になっていた、昨秋の湯気の地の爆発以後。
(そもそも この星の始原で憩っていた魂たちは、湯気の地の爆発も、あの大陸の過去の大戦の名残が何らかの形で関係しているのではないかと 疑い始めていたのだ)
というわけで、フェンは、ドラちゃんを向こうの大陸に連れていき、アイスブレスの練習をさせようと考えたのである。
ドラゴンが絶対零度のアイスブレスを吹くことを覚えれば、今後どんな大火が地の底から湧いて出ようと 対応できるだろう。
アイスブレスの練習に ドラちゃんがどれほど冷気を振りまいても、
地表がマグマ化している土地では害はないだろう。
むしろ ドラのアイスブレスで あの大陸の一番熱い部分が冷えれば、この星の地表に接する大気の流れも改善するのではないかとフェンは考えていた。
もちろん気流が変われば気候がかわり こっちの大陸で暮らすこの星の生き物にも影響が出るだろうとは思ったが、(そこまで知るかよ)がフェンの考えであった。
(どのみちこの星に生き残っているのは 少々のことではへこたれない魔法の影響を受けた生き物なんだから。本人が魔法を使えずとも 先祖が魔法で強化された生き物の末裔だから それなりになんとかなるだろ)。
というわけで フェンはドラと一緒に あっちの大陸に飛んで行った。




