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孤高の再現魔法使い  作者: 潮騒
第三章
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エルフの里



 それから望とリーンの二人で御者を交代しながら進み、エルフの里に到着したのは帝国を出て三日経ってからのことだった。


「この道をまっすぐ進めばエルフの里だ」


 今は森の中の小道を進んでいる。この付近は分かれ道が多く迷いやすいとのことだったので、リーンが御者をしている。


「久しぶりに自然に囲まれた場所に来たわね」

「確かにそうだな。言われてみれば、ここ最近はずっと町にいたし」


(でも、おかしいな。リーンは樹海に住んでるって言ってたはずだけど……)


 望はリーンと話した時のことを思い出す。あの時、彼女はエルフ族は樹海に住むようになったと言っていたはずだと。しかし、この場所は樹海というよりも森林だ。単に望の認識違いなだけなのか、はたまた……。


「もう少しで到着だ」


 リーンがそう言うと、急に辺り一帯が濃霧で満たされる。


「ちょ、ちょっと、どういうこと?」

「霧で何も見えなくなっちゃいましたよ!?」


 急な出来事にティアナとルシアは慌てる。その様子を見て、リーンはクスクスと笑っていた。


「ああ、驚かせてすまない。この霧はいわば検問の役割を果たしているんだ。この霧を通ろうとする者の中に、エルフがいるかどうかのな。もし、エルフがいなければ、またあの森へと追い出される。逆にエルフがいたのなら……」


 霧が晴れる。すると、そこには大きな町のようなものがあった。


「エルフの里がある樹海に入れるということだ」

「「「「おぉー!」」」」


 エルフの里は望が想像した通りの樹海の中にあり、すべての建物が木造で作られている。


「まずは長老の元に……いや、もういるな」


 これまた木で作られた門の前に爽やかイケメン風のエルフが立っていた。周りに他の人はいないので、おそらくあの人が長老なのだろう。


「ただいま帰還いたしました」


 長老らしきエルフの前まで行くと、リーンは馬車を降りて跪いた。


「やぁやぁ、おかえり。よく戻ってきたね、リーン」

「はい。ご命令通り、私が出会った中で最強と思われる方々をお招きいたしました」


 リーンの言葉で長老は望たちの方を向いた。


「どうも皆様、初めまして。私はエルフ一族の長を務めております。ネロ=エンバースと申します」


 ネロと名乗った長老は深々と頭を下げる。そして、ニタリと笑いながら話を続けた。


「リーンから話は聞いていると思いますが、改めてお話をさせていただきたいので、少し場所を変えましょうか」


 そう言って、ネロは望たちを里の中に案内する。


「歓迎はされてないみたいだな……」

「そうね」


 里を歩いていると、望たちは周りのエルフから様々な視線を向けられた。それは興味や嫌悪、猜疑など様々だったが良い感情のものは露骨に少なかった。


「どうもすみませんね。皆、他の種族の方と会うのは初めてなもので……」

「いえ、気にしないでください。その話もリーンから聞いていますから」


 そうしてエルフたちの目に晒されながら数分歩くと、長老の自宅に到着した。


「こちらにおかけください」


 家の中に入れてもらうと、リビングまで案内され木でできた椅子に座るように言われた。


「では早速、本題に入らせていただきます」


 長老はヨルムンガンドのことについて話し始めた。内容はリーンとほぼ同じだったため、今回の依頼内容の再確認になった。


「そうだ。報酬についてまだお話ししていませんでしたね」

「あ、報酬を頂けるんですか?」


 リーンの話の時には言われなかったので、望はネロに聞き直した。


「はい。やはり、討伐をしていただくというのに報酬なしというのはダメだという結論に至ったのです。その報酬ですが、『ヨルムンガンドの素材』、『金貨十枚』、そして『知恵の実十個』でいかがでしょうか?」


 望はチラッとティアナの方を向く。冒険者としての活動が長いティアナの方が報酬の相場についても詳しいと思ったからだ。


「うーん……その知恵の実ってのはどういうものか教えてくれるかしら?」

「知恵の実は食べるとその人の魔力量が底上げされる果物です。魔法使いにとっては喉から手が出るほど欲しい果実ですね」


 それを聞いて、ティアナの目が輝く。やはり魔法主体で戦うティアナは喉から手が出るほど欲しいのだろう。


「それでいいわ!受けましょう!」

「いや、どうせなら十二個にしてもらおう。そしたら均等に三個ずつ分けれるだろ」


 望の冷静な一言にティアナはハッと驚いた表情になる。


「そうですね。二個くらいなら増えても問題ありませんよ」

「ありがとうございます。では、報酬に関してはこの内容でお願いします」


 そして、討伐作戦には望たちだけで挑むこと、エルフの里では空き家に滞在することを話した。


「では、皆さまよろしくお願いします」

「はい、任せてください」



◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇



「宿にはこの空き家を使ってくれ。欲しいものがあれば用意するから気兼ねなく言ってほしい。私の家はすぐ隣だから何かあったら言いにきてくれ」

「分かった。ありがとう」


 リーンの案内で望たちは滞在する空き家にやってきた。中は机や椅子、棚など一般的な宿と変わらない設備があった。


「台所がついてるから自炊もできるわね」

「食材だけはリーンに持ってきてもらわなきゃダメだけどな」


 ひとまず一息つくために椅子に座った望たち。その時に望は気になっていたことを三人に話した。


「なあ、今回の話ちょっとおかしくないか?」




もし面白いと思っていただけたら、評価、ブクマなどなどよろしくお願いします。作者が瓦割りをします。

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