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孤高の再現魔法使い  作者: 潮騒
第二章
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格が違う



 モノスは少し上空から起き上がった望を見つめる。その目にはもはや何の感情も込められていなかった。


「起きたか……。だが、お前にはもう戦う気力も魔力も、体力も無いだろう。今、諦めるというのなら楽に殺してやるぞ?」


 その言葉を、望は鼻で笑った。


「諦める?そんな事するわけないだろ。俺にはやらなきゃいけないことがあるんだ。それが終わるまでは……俺は死ねない」

「そうか……。なら、仕方ない。絶望して死ね」


 モノスは再び先ほどの魔法を放とうとする。しかし、急にプレッシャーが変わった望に驚き、発動を一旦止めた。


(なんだ……?このプレッシャーはまるで……いや、あり得ないッ!それなら、俺が神魔になったタイミングで使えばいいだけのこと。だから、絶対に違うはずなのに……)


 モノスが思考を巡らせている間に、望は雰囲気だけでなく見た目も徐々に変化していく。


 "それ"は可能性にすぎなかった。しかし、精神世界の中で言われたヒント。そのヒントが可能性を望の頭に浮き上がらせた。


(再現魔法は俺が見たものを再現する。そう、俺が見たものなら全て、だ。それは物体に限らず、現象ですら再現してしまう。それなら、これもいけるってことだろッ!)


「神魔 言霊(スピリット)!!」


 望の周りに現れていた魔力光が一気に弾けた。そして、望の髪の毛と瞳が金色に染まっていく。


「し、神魔ですら使える……だとッ!?あ、あり得ないッ!これは神と同等の力だぞ!?それを普通のユニークが真似して使うなんて出来るはずが……」


 モノスは現実を認めたくないのか、何度も首を振る。しかし、望は神魔を使えている。それが現実であり、事実なのだ。


「いくぞ。『槍の嵐』」


 モノスの周りに風ではなく槍で出来た嵐が発生する。モノスはハッと我に帰ると、その槍の嵐に対抗して言葉を発した。


「『大竜巻』!」


 とても大きな竜巻が槍の嵐とぶつかる。すると、ほぼ同時に両方とも消え去った。


「『神雷』」


 望が呟くと、モノスの頭上から大きな雷が落ちる。モノスはその雷をモロに食らって地面に墜落した。


 今の望は『神魔 言霊』を発動していると同じ。故に、モノスが使用していない言葉でも、望は自分で考えて使うことができる。今の『神雷』がその例だ。


「くっ……『光速の斬撃』!」

「『絶対防御』」


 望に迫る光の速さの斬撃が何かによって弾かれる。その様子を見ていたモノスは驚きで目を見開いた。


「なぜだッ……!?それは概念の範疇じゃないのか!」

「……?何を言ってるんだ?」


 急に声を荒らげるモノスに望は首を傾げる。何かに対して怒っているようだが、望にはよく分からない。


「おい、エリオラ!答えろよ!」


 尚も怒り続けるモノスに対して、望は言葉を発した。


「『超重力』!」


 モノスは周りに発生した超重力に押し潰される。肺も押し潰されているので、うまく呼吸をすることができない。


「が……は……て、『転……移』ッ……」


 ギリギリで言葉を発したモノスは瞬間移動で超重力の空間を抜け出す。


(あ、あり得ない……ッ!なぜオリジナルの俺よりもコピー品のあいつの方が強いんだッ!)


 肩で息をしながら、モノスは宙に浮かぶ望を見つめる。そして、自身最大の言葉を放った。


「砕け散れッ!『制裁の鉄槌』!」


 モノスの頭上にとても大きな鉄槌が出現する。その鉄槌がぐわっとその身を上げると、次の瞬間には望に向かって勢いよく振り下ろされた。


「『消えろ』」


 それはあっという間の出来事だった。今にも望の頭にぶつかりそうな鉄槌が音もなく消え去ったのだ。これには、モノスの顔に絶望の表情が浮かぶ。


 言霊魔法にもルールがある。基本的に、自分以外のものに干渉する言葉は使えないというのが、その一つだ。モノスが今まで発していた言葉は、その言葉通りのものを出現させるだけであり、魔法発動の段階では他のものに影響を与えているわけでは無い。


 唯一例外なのは『吹っ飛べ』という言葉だが、これはそこまで他のものに干渉しないから使える。しかし、今望が使った『消えろ』は指定したものを消し去るという、大いに干渉する言葉である。それは、言霊魔法のルールを無視したものであり、発動できてしまったが故にモノスは絶望の表情を見せたのだ。


「悪いな、俺とお前では格が違うらしい」

「ぐ……ッ!『転移』ッ!」


 モノスは勝てないと思ったのか、『転移』を使ってこの場からの逃走を目論む。だが、『転移』を使えるのはモノスだけではない。


「逃がすわけないだろ」

「ひぃッ」


 モノスが移動した先に、望もほぼ同タイミングで転移してくる。モノスがどれだけ『転移』を使おうと逃げることはできなかった。


 そのうち、モノスから最初のような眩しいほどの輝きが失われていった。


「まずいッ、力が……」


 その輝きはモノスの持っていた力同然だ。当然、力がなくなれば輝きも失われる。


「終わりみたいだな」


 モノスの背後に望が迫る。いつのまにか、モノスの髪も瞳も元に戻っていた。


「ま、待て……ッ!少し話そうじゃないか!話し合えば分かり合え……」

「その必要はない。お前は好き勝手やりすぎた。その報いを受けろ」


 望は右手を上に向ける。そして、最後の言葉を放った。


「『天罰の神槍』」


 望の右手の先に鉄槌よりも更に大きな槍が現れる。そして、槍を投げる動作をすると、大きな槍はその動きに合わせて勢いよく放たれた。


 ゴゴゴ……という音と共に槍はモノスに向かっていく。神の力も魔力もないモノスにそれを防ぐ手段はなかった。


「ぎゃぁぁぁぁぁ!!!」


 モノスの大きな叫び声は槍が地面に突き刺さった時の轟音により掻き消された。望が魔法を解除すると、槍は綺麗さっぱり無くなり、大きなクレーターのみが残った。


「ふぅ……なんとか勝てたな」


 望は呟きながら神魔を解除するのだった。


 


お知らせ


誠に勝手ですが、これからも水曜日連載にします。時間の都合上、どうしても毎日連載が無理になってしまいました。すみません。


もし面白いと思っていただけたら、評価、ブクマなどなどよろしくお願いします。作者がリュージュをします。

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