精霊を使役する者
ルドーの周りに炎、風、水、土の四つの剣が現れる。それらの剣はルドーの周りをふわふわと浮いていた。
「お前は炎と風の魔法使いじゃなかったのか!?それ以外の属性も使えるなんて聞いたことないぞ!」
「当たり前だ。人前で使うのは初めてだからな。だからこそ誇っていい。この魔法は俺に本気を出させたという証拠でもあるからな」
ルドーがそう言って手を翳す。すると、四つの剣がそれぞれ一人の方向に向いた。
「行け」
そして、ルドーが呟くと同時に狙いを定めたラバールに勢いよく飛んでいく。
「「「「『輝きの嵐』!」」」」
ラバールは四属性の剣をかき消すために威力の高い魔法を放つ。しかし、それぞれの剣はいとも簡単にその魔法を斬り裂いていった。
「何ッ!?」
「残念だが、その剣は俺が操作しているわけじゃない。俺が使役する精霊が操作しているんだ。だから、それぞれが自律的に行動をするし、勝手に魔法を放つ。お前にそれが抑えられるかな?」
ルドーの言った通り、それぞれの剣が様々なタイミングでラバールに攻撃を仕掛けたり、魔法を放ったりしている。それにラバールはだいぶ苦戦しているみたいだ。
「くっ……」
「お前のその魔法。一つ欠点があるだろ」
ルドーは唐突にそう言い放つ。だが、ラバールは剣の対処に精一杯で何も言えない。
「おそらくお前の分身は本体が発動したタイミングでしか魔法を発動できないんだろう。しかも、同じ魔法しか発動できない。違うか?」
ラバールは何も答えない。それは答えられないだけか、はたまた無視しているのか。
「「「「『光輝の槍剣』」」」」
四人のラバールの手元に槍の穂先を剣にしたような武器が現れる。だが、その魔法は先ほどのルドーの推測を証明しているものでもあった。
「やはりな。自分の魔法の欠点を言い当てられて焦ったか」
「うるさいッ!黙れ!」
ラバールはその剣で四属性の剣を斬り裂こうとするも、カンッという音と共に弾かれる。しかも、弾かれて怯んだところに反撃の魔法が飛んできて、危うく直撃しそうになる。
(剣はダメか……ならッ!)
ラバールは剣への攻撃が無駄であることを悟り、狙いをルドー自身へと変える。
「「「「『光線加速』!」」」」
ラバールの足元に光の輪っかが作られ、そこを強く蹴ると光ほどの速さでルドーとの距離を詰めた。
「うぉぉぉぉぉぉ!!」
「無駄なことを。『精霊剣 クリミナルノヴァ』」
ルドーが手に持った剣をラバールに向かって薙ぎ払う。すると、ルドーの剣の軌跡が白く光って弾けた。
「「「「ぐぁぁぁぁ!!!」」」」
白い光に飲み込まれたラバールたちは大きく吹き飛ばされて壁にぶつかった。そして、三人のラバールは壁にぶつかると同時に消えて、そこには黄色く光る玉だけが残った。
「なるほど、魔法玉を使っていたのか。魔法玉に魔力だけを込めて保管しておき、必要な時にそれを媒介にして魔法を発動すれば、魔法玉に込められた魔力を消費することになる。それなら、お前自体の魔力を消費する事はないというわけだな」
ラバールはまたしても何も答えない。ただジッとルドーを睨みつけるだけだった。
「こっちも終わったわよ!」
シェーネとリーンの加勢に向かっていたティアナが、ルドーに声をかける。魔法使いたちは魔法を食らって気絶していたり、それぞれの魔法で捕らえられたりしていた。
「このままそいつらも倒そうかと思っていたが、どうやら必要なかったみたいだな。反乱分子の捕縛協力に感謝する」
「別にあなたたちの為にやったわけじゃないから頭を下げる必要はないわ。利害が一致しただけよ」
ティアナにそう言われ、ルドーは下げていた頭をゆっくり上げる。
「そう言ってもらえると助かる。俺はこれから捕らえた者たちを連行するが、君らはどうする?」
「私たちは望のところに行くわ。ルシアが心配だし」
ティアナたちがそんな話をしている時、ラバールはまだ痛みが残る体を必死に動かしてある物を取り出した。
「これさえ……あれば……!」
そう言って取り出した物は瓶だった。その中には一錠の薬が入っている。ラバールはその薬を取り出して口の中に入れた。
「ぐ……が……がぁぁぁぁぁぁぁッッ!!!」
異様な叫びに気づいたティアナたちはその叫びが聞こえた方を向く。すると、ラバールが何かに悶え苦しんでいる姿が見えた。
「ちょ、あれって……!」
「うん、デジカと同じ」
デジカが魔物に変貌するところを見ていたティアナとシェーネはラバールの姿がその時と同じであることに気づく。
「じゃあ奴は……」
ルドーがそう呟くと同時にラバールは魔物に変貌し終えた。
「グギャァァァァ!!!」
「なるほど……。魔物に変貌するという話は本当だったか……」
ルドーはそう呟きながら剣を構えたのだった。
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