魔銃vs魔法剣
「第一試合ではクロードが世話になったな」
「あー、そういや近衛騎士団の副団長だったか。まあ、副団長があのレベルなら団長も大したことねえだろ」
ネイスはそう言ってルドーを挑発する。だが、ルドーは動じずに腰にある剣を引き抜いた。
「俺が強いか弱いかはその目で確かめるといい。ただ、俺はクロードに一度も負けたことはない」
「ほう、それじゃあ圧倒的な結果にはならなくて済みそうだな」
二人が口での前哨戦をする中、司会が試合を始めようとしていた。
「さあさあ、二人の準備が整ったようなので試合を始めていきましょう!それでは参ります。よーーい、始めッ!」
試合が始まった瞬間、ネイスは腰の銃を引き抜き、先手必勝とばかりに撃つ。しかし、ルドーはネイスが撃った弾を剣で真っ二つに切り裂いた。
「不意打ちか……。いかにも弱い奴がやりそうなことだ」
「不意打ちじゃなくて早撃ちな?そこ間違えんじゃねえぞ」
そういう会話をしながらもネイスは魔銃を撃ち、ルドーは撃たれた弾を切り落としていく。
「チッ、ちょこまかと小賢しい攻撃ばかりしかしないな」
「なら、もっとデカイ攻撃をお見舞いしてやるよ!」
ネイスは魔力を溜めて、これまでより大きな弾を放つ。魔銃は自身の魔力を弾にして放つ道具だ。魔力を溜めれば、それだけ大きな弾を放つことが出来る。
「『抜刀 緋炎烈火』」
ルドーの剣から深紅の炎が燃え上がる。そして、ネイスが撃った弾をまるで紙を切るようにスッと切り裂いた。
「貴様なめているのか?なぜクロードを倒した時のようにもう一つ銃を使わない。使わないと負けるぞ?」
いつまで経っても本気でやらないネイスにルドーは怒りを露わにする。
「なめてねぇよ。だからこそ、俺は慎重にいくんだ。負けないためにな」
そう言うと、ネイスはもう一つの魔銃を腰から引き抜く。今度は二丁拳銃ならぬ二丁魔銃でルドーを撃ち抜かんと引き金をどんどん引いていく。
「ふっ、ようやくマシな攻撃をするようになったな。だが、それでは俺を倒せん。『火輪陽炎』」
ルドーが剣を振ると火の輪が二つ出現し、ネイスが放った銃弾を切り落としていく。
「『歪曲する銃弾』」
火の輪が銃弾を切り裂こうとした時、まるでその火の輪を避けるように銃弾が曲がった。
「何ッ!」
ルドーは急に曲がった銃弾に驚きつつも、手に持った剣で曲がってきた銃弾を切る。しかし、火の輪から意識を逸らしてしまったため、火の輪が消えてしまった。
「『加速する銃弾』」
今度は飛んでいる最中で急に加速する銃弾でルドーを翻弄していく。切ったと思った銃弾が急に加速することで剣をすり抜けてくるので、ルドーは銃弾を肩や脇腹に食らっていた。
「ぐっ……」
「おいおい、大丈夫か?随分と苦しそうだが」
「調子に乗るな……!『火映 御神火』!」
ルドーが剣を振ると直線上に炎が噴き上がる。それをネイスは横に跳んで躱す。
「『拡散する銃弾』」
跳んだタイミングで上に向かって撃った銃弾が空で破裂して、小さな弾となってルドーに降り注ぐ。
「『炎円焔下』」
ルドーが上空に剣先を向けると、そこに円盤上の炎が現れ銃弾を防ぐ。そして、その状態のままルドーは魔力を高め始めた。
「させねぇよ!」
ルドーが魔力を高めていることに気づいたネイスはそれを止めさせようと魔銃を連射する。ルドーは上に向けた剣を前に向けて連射された銃弾を防いだ。しかし、まだ上空から拡散された銃弾が降り注いでいるため、頭や肩に銃弾が当たり顔を顰める。
「うぉぉぉぉ!!!」
ネイスは全力で魔銃を撃ちルドーの防御を突破しようとする。ただ、円盤上の炎は銃弾を弾くというより受け止めるのでなかなか破ることはできなかった。
「これで決める。『空臨絶火』!!」
尚も出続ける円盤上の炎が唸りをあげて更に勢いを増す。まるで生きているかのように動く炎は魔銃の銃弾をもろともせずにネイスを吹き飛ばした。
「がぁぁぁぁ!!」
そして壁に叩きつけられて気を失った。ということは、準決勝第二試合の勝者はルドーだ。
「決まったぁぁぁ!!!最後は超特大の炎で勝利をもぎとりました!準決勝第二試合、勝者はルドー=ファルヘイムーー!!」
観客たちが歓声を上げる。それに応えるかのように、ルドーは天高く拳を突き上げた。
これで帝国武闘祭の決勝を争うのは望と帝国近衛騎士団団長のルドーとなった。
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