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孤高の再現魔法使い  作者: 潮騒
第二章
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全力で潰す

一時間遅れました!



 望たちが舞台に上がると、最初の試合ということもあって客席から大きな歓声が上がる。望は一つ深呼吸をして対面に立つバンを見た。バンは望を見ながらまだニヤニヤと笑っている。


「さあ、注目の第一試合ですが、ここでデジカ様よりある提案が出されました。その内容がルシアという女性の処遇についてです」

「は?」


 司会の言葉に望は首を傾げる。なぜ今ルシアの話が持ち出されるのか。しかも、ルシアの処遇とは?


「現状、お互いがこの女性を取り合っているとのことなので、この大会で決着をつけたいとのことです。勝った方がルシアさんを自分のものに出来るという条件でと」


 観客たちは色恋沙汰の話かと思い盛り上がる。しかし、望たちは事情が分かっているので混乱している。前会った時にルシアを諦めてなさそうとは思ったが、まさかこの大会でルシアについて仕掛けてくるとは思わなかったからだ。


「おい、お前。この話、受けておいた方がいいぜ?」

「何?」


 バンが望に話しかける。


「俺の依頼主はどうやらルシアって奴にご執心らしいぜ?ここで勝負を受けなかったらあの手この手で自分のものにしようとするかもしれねぇ。ただ今なら俺に勝てば引き下がる可能性が高い。こんな公衆の面前で提案しちまったからな」


 バンの言うことは一理ある。前回もそうだったが、デジカは商人として名が通っている。だから、あまり悪い噂を立てるのは利益に関わるので良くない。人前でこんな提案をしてしまった以上、負けたらもうルシアを狙うことはないだろう。


 だが、望にはそんなこと関係なかった。ただ、我が身可愛さに一度囮にしたルシアが生きていたからといって、もう一度自分のものにしようとしていることが気に入らないのだ。


「さて、望選手。どうしましょうか。我々としては当人たちに任せるとの判断ですが……」

「その提案、受けてやるよ」


 望は大きな声でそう言う。それにより、観客たちはさらに盛り上がった。


「えー、それでは第一試合に参ります。勝利条件は相手を戦闘不能状態にすること。ただし、相手を死なせるような攻撃は禁止です。では、よーい始めッ!!」


 試合開始の合図でバンは勢いよく走り出し、コートの裏に差していた二つの短剣を引き抜いて切りかかった。


「何ッ!?」


 しかし、バンの短剣は空を切った。なぜなら望が上空に飛んだからだ。その上、空中で停止している。このままではバンの攻撃は届かない。


「巻き込まれたあんたには悪いが、俺は本気で怒ってるんだ。だから……全力で潰す」


 望の凄みに圧倒され、バンは一歩後ろに下がる。しかし、すぐに魔法の準備を始めた。


「"双璧を成す(いかずち) 流れ落ちる 彼方の闇へ"」


 バンの持つ二つの短剣にパチパチという音と共に雷が纏い始める。そして、それを望めがけて一気に振り抜いた。


「『雷電双斬(エクスブリッツァー)』!!」


 Xの形をした雷の斬撃が重力に反して上に飛んでいく。それを見た望は静かに魔法を発動した。


「『三天大旋風(トリニティストーム)』」


 三つの渦巻く風が望の手から放たれる。その風は雷の斬撃をかき消し、地面に勢いよく衝突した。


「おおっと!望選手の魔法がバン選手を襲ったー!!さあ、果たしてバン選手は無事なのか……!?」


 舞い散った土煙が晴れる。そこには先ほどと何ら変わらない姿のバンがいた。


「はぁ……はぁ……」


(な、なんなんだあのガキ……!デタラメな威力の魔法撃ちやがって。くそッ、もっと簡単な仕事じゃなかったのかよ!)


 バンは魔法を放った後に嫌な予感がしたので、一時的に自身のスピードを上げる魔法を使って目にも止まらぬ速さで躱していたのだ。


 だが、間髪入れずに望の魔法が飛んでくる。


「『氷天千撃(フリージングラッシュ)』」


 空からラグビーボールサイズの氷が降り注ぐ。バンはもう一度魔法を発動して氷を躱したり、両手の短剣で破壊していく。


「『破裂炎(バーストフレア)』」

「ガハ……ッ!」


 望が追撃で放った『破裂炎』をバンは避けることができずに直撃する。


「すごい……すごすぎますッ!望選手はどんな魔法でも使えるのか!?風、氷、炎の魔法を使ってバン選手を追い詰めていきます!」


 バンは魔力を纏うことでダメージを減少させていたみたいだ。しかし、自身のスピードを上げる魔法は魔力を多く消費するため、これ以上の戦闘はバンでも厳しかった。


「くそがぁぁぁ!!!」


 バンは魔力を高めて、自身の中で最大の魔法を発動させようとする。その様子を望は上空でジッと見ていた。


「死ね……『雷神の怒り(トールハンマー)』ッッ!!」

 

 大きなハンマー形の雷がバンの頭上に現れる。そのハンマーは横回転しながら望に(せま)っていった。明らかにその魔法が直撃すれば重傷を免れないが……。


「『原氷世界(ヘル)』」


 氷の波動が雷のハンマーにぶつかる。すると、雷のハンマーは徐々に動きを止めていく。そして、望の手前で完全に停止し凍りついた。


「う、嘘だろ……?」


 バンは自身最高の魔法が止められて驚き落胆する。そこに望がやってきて、呆然とするバンを勢いよく殴り飛ばした。


「ぶへぇ!」


 望のレベル123のパンチは重く、バンを気絶させるには十分な威力だった。


「ば、バン選手戦闘不能!勝者は望選手ですッ!」


 ハイレベルな魔法の対決を見せられた観客は大きな歓声を上げた。望はその歓声を浴びながら静かに選手用の部屋へ戻っていく。


 ただ、その様子を憎しみを込めた表情で見つめる男がいたことは誰も知らなかった。





もし面白いと思っていただけたら、評価、ブクマなどなどよろしくお願いします。作者がやり投げをします。

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