色んな意味で高ぇよぉ、、、
「ここが帝都リーンズ。ホルテンでも驚いたけど、ここは更に活気が良いわね!」
翌々日、望たちは朝から出発して、その日の午後には帝都リーンズに到着した。リーンズでは、帝国武闘祭に備えて、色々な店が屋台を出す準備をしていた。
また、このお祭りには前夜祭と後夜祭があるらしく、前夜祭では魔法使いたちによるパレードが行われ、後夜祭では飛び入り参加有りで優勝者と一対一の模擬戦をするみたいだ。
「ひとまず今日の宿に行くか。チェックインだけは済ませておいた方がいいだろう」
帝都での宿はフィリが予約をしてくれている。名前は『ホテル グラン・デ・リトア」という、いかにも高級ホテルといった感じだ。
「で、でけぇ……」
街の人に聞きながら行ってみると、そこはまさに高級ホテル。一際大きく派手に装飾された外観が目を引くそのホテルには、これまた如何にもお金持ちという人でいっぱいだった。
「ちゃんとした服を着てきて良かったわね」
「そうだな。まあ、俺は制服だけど……」
帝都に来る前日に、望たちは冒険者ギルドの職員を経由してフィリから予約したホテルの名前を聞いた。その名前から望はこのホテルが値段が高めのホテルだと予想し、あらかじめその場所に行っても恥ずかしくないような服を買っておいたのだ。ちなみに予算オーバーになるので、望は制服で我慢した。
「竜の石像です!」
ルシアがホテルの前にある石像を指差してそう言う。周りの人たちはその様子を微笑ましそうに見ていた。
「ほら、中に入るぞ」
「ご、ごめんなさい。昔を思い出して……」
「ん?ルシアは帝都に住んでたことがあるのか?」
「あ、えっと小さい頃に……」
「そうか」
明らかにルシアがバツの悪そうな顔をするので、望はそれ以上その話題について言及しなかった。
中に入ると、そこはキラキラとした幻想世界のようだった。ロビーの中央には大きなシャンデリアが吊るされ、壁には金の装飾が施されている。
「すごすぎないか……?」
内装のあまりの豪華さに、望は圧倒される。しかし、すぐに気を取り直して、一人で受付へ向かった。
「すみません」
「はい。どうされました?」
応対してくれたのは女性だ。さすがは高級ホテル、従業員の細かな所作にまで気が配られている。
「チェックインをお願いします」
「かしこまりました。予約時のお名前をお教えください」
「天道……じゃなくて、ノゾム=テンドウです」
ホテルを予約したのはフィリだが、名前は望の名前で予約したと伝言があった。しっかり、この世界での呼び方で言うことも忘れない。
「望様ですね。二部屋のご予約でお間違えないでしょうか?」
「はい、合ってます」
「かしこまりました。係の者がお部屋までご案内いたしますので少々お待ちください」
女性はそう言って裏手に回る。少し経つと、女性と一緒に男性の従業員が出てきた。女性の従業員はまた受付に戻り、男性の従業員が受付を出て望の元に来る。
「私がお部屋までご案内いたします。何かお荷物はお持ちでしょうか?」
「いや、特にないです」
「かしこまりました。お連れの方は……」
「あ、すみません。連れてきます」
男性の従業員は二部屋予約しているのに、望一人しかいないことを疑問に思ってさりげなく聞いてきた。危うく一人で部屋まで行こうとしていた望は、急いでティアナたちを連れてくる。
「みんな、部屋に行くぞ」
「分かったわ」
そうして全員揃った望たちは部屋に案内してもらう。魔力式昇降機というエレベーターのような乗り物に乗ってどんどん上に上がっていった。着いた先はまさかの二十階である。
「ここってもしかして最上階ですか……?」
「左様でございます。こちらのお部屋とあちらのお部屋が望様とお連れの皆様の部屋になります」
案内された部屋はとても広く、ロビーのような装飾が施されていた。窓からの眺めもよく、地球で言うところのスイートルームのような部屋だと望は思った。
「それではごゆっくりとお過ごしください」
男性の従業員が立ち去ると、望はこれまた大きなベッドに勢いよくダイブする。今まではやってはいけないと言われてきたためやらなかったが、この場には誰も咎める人はいないので夢のベッドダイブを行った。
「フカフカだー」
飛び込んだ先がフカフカのベッドだったため、望は思わず顔をうずめる。そして、ベッドの上をゴロゴロー。そこでハッと気づく。今この場にいるのが自分だけではないことに。
「何やってんの?」
「ゴロゴロしてる」
「わ、私は望さんのお気持ちが分かりますよ!」
ティアナとシェーネにはジト目で見られ、ルシアには気を遣われる始末。なんだか恥ずかしくなって顔を手で隠した。
「これは……仕方ないんだッ!誰もが一度は通る道なんだよ……!」
望が言うことも一理ある。やはり人間誰しもそういう時期はあっただろう。
「ま、望がちゃんと私と同い年ってことが分かって良かったわ」
「どういうことだ?」
「だって、いつもしっかりしてて同い年に思えないのよ。でも、そういう子供らしいところもあって安心したわ」
そう言われると何か無性に恥ずかしくなり、望は俯く。ティアナはそんな望の手を取った。
「ほら、まだまだ見てない場所はたくさんあるわよ。そんなところで俯いてないで行きましょ!」
それから望たちはホテルの施設を一通り巡った。服屋や本屋、中には宝石店もあり、その値段には驚きすぎて声すら出なかった。
そんなことをしていると夜になったので、レストランで食事を取りその日を終えた。
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