ステータスと適正魔法
ここからクラスメイト側の話になります。
時は望たちが異世界にやってきた日まで遡る。
望が一人でその場を出ていった後、ルヴェリアは残ったクラスメイトたちにステータスの話を始めた。
「この世界では能力値のすべてがステータスで決まります。皆様、心の中で『ステータス』と唱えてください」
クラスメイトたちは一斉に自身のステータスを確認する。
奈緒も自分のステータスを見てみた。
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ナオ=スギヤマ
性別:女 レベル1
体力:130
攻撃:40
防御:40
魔力:200
敏捷:55
称号:異世界人、召喚されし者、勇者
適正魔法:光魔法
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(ステータス……一応見てみたけど、これが良いのか悪いのか全然分からないな。誰かに聞けないかな?)
奈緒は周りをキョロキョロし、自分がステータスを聞けそうな人を探す。すると、少し離れたところに親友を見つけた。
「おーい、紗夜ー!」
奈緒に名前を呼ばれて、短髪の少女が振り返る。彼女が奈緒の親友である月宮紗夜だ。
「どうしたの、奈緒」
「紗夜のステータスがどんなのだったか気になってね。で、どうだった?」
「私はこんな感じ」
ステータスは他人に見せることができないので、紗夜は口頭で奈緒に説明した。
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サヤ=ツキミヤ
性別:女 レベル1
体力:170
攻撃:70
防御:45
魔力:120
敏捷:70
称号:異世界人、召喚されし者、勇者
適正魔法:雷霆魔法
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「全体的に私より高いね。あ、でも魔力は勝ってる!称号はみんな同じか……」
「適正魔法はそれぞれで違うみたい。私の方が強そう」
紗夜は勝ち誇ったように微笑む。それを見て、奈緒はむぅと頬を膨らませた。
「宗治まじかよ!お前のステータス高すぎじゃね!?」
二人がそんなやりとりをしていると、遠くから大きな声が聞こえた。どうやらクラスメイトたちもステータスを教えあっていたようで、その内の一人新山宗治のステータスで盛り上がっているみたいだった。
「たしかに俺のステータスは他のみんなよりも高いみたいだけど、それが全てじゃないだろ?みんなにはそれぞれ役割があるんだし、何かしらで俺と同じくらい役に立ってくれる。もちろん俺は戦闘を頑張るよ」
その騒ぎで宗治のステータスが気になった奈緒は近くにいた本橋駿輔に宗治のステータスを聞いてみることにした。
「新山くんのステータスってどれくらい高かったの?」
「結構高かったらしいぜ」
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ソウシ=ニイヤマ
性別:男 レベル1
体力:240
攻撃:120
防御:90
魔力:180
敏捷:90
称号:異世界人、召喚されし者、勇者
適正魔法:剣魔法
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「うわ、すごいね!それに剣魔法ってのもかっこいい!」
「だよな〜。俺なんて風魔法だぜ。普通すぎるだろ〜」
駿輔はガッカリして肩を落とす。そんな駿輔を奈緒は宥めた。
「まあまあ。たしかに新山くんはすごいけど、きっと本橋くんも何かすごい力を持ってるよ!こうやって風をヒュンヒュン飛ばしたりさ」
「ははっ、そうだな。落ち込んでても仕方ねぇ。いつか宗治と肩を並べて戦えるくらい強くなってやる〜!」
「その意気だよ!」
そうして大体の生徒が互いのステータスの確認を終えた頃、ルヴェリアが全員を集めた。
「そろそろ皆様のステータスの確認も終わったようなので、この場を移動したいと思います。外に馬車があるので、それぞれに四人ずつお乗り下さい」
馬車は奈緒たちを乗せると、勢いよく出発した。目的地に着くまでの間は、自分たちのステータスの話や窓から見えるこの世界の風景の話でどの馬車も盛り上がっていた。
日がそろそろ落ちかける頃、馬車は目的地に着いた。そこは大きなお城であり、この国のトップが住んでいる場所である。
「皆様、ここがこの国の王都にある王城でございます。そして、今から皆様には国王陛下に謁見していただきます」
ルヴェリアの発言に奈緒たちは一瞬背筋が凍る。それも仕方ないだろう。いきなり国のトップに会わないといけないなんて誰であっても緊張する。
「だ、大丈夫なんですか?俺たち作法とか何も知らないですけど……」
「それについては安心してください。皆様はただ居てもらえるだけで構いません。陛下との話は私が進めますので、もし何か陛下に話しかけられたら普通に答えていただくだけで結構です」
「なるほど……わかりました」
宗治がルヴェリアに確認を取る。どうやら大体の話はルヴェリアが済ませてくれるらしく、聞かれたことにのみ答えれば良いらしい。それを聞いて、宗治は少し気持ちが楽になった。
「それでは参りましょう」
ルヴェリアが王城中に入っていくのに従って、宗治たちも王城の中へ入った。王城内はザ西洋の城という感じで、シャンデリアがあったり、レッドカーペットが敷かれたりしていた。
「す、すげぇ……」
誰かが呟く。だが、それはクラスメイト全員の総意でもあった。
ルヴェリアは何度か来たことがあるのか、誰の案内も受けずにスイスイと王城内を進んでいく。そして、一際装飾された扉の前で止まった。扉の両隣には甲冑を着た騎士がいたが、ルヴェリアを見ると一礼をした。
「さあ、皆様。ここが謁見の間でございます。どうぞお入りください」
ルヴェリアに促されて、宗治たちは国王がいる謁見の間に入った。
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