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孤高の再現魔法使い  作者: 潮騒
第一章
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天空竜討伐戦②



――ギシャァァァァァァ!!!


 クラウディスがまた大きな咆哮をあげる。すると、今度は山の周りに黒雲が立ち込めた。そして、その黒雲から十本の雷が放たれる。


「『聖護結界』!」


 カエデの結界が雷を全て防ぐ。しかし、攻撃はそれだけでは終わらなかった。


 クラウディスがガバッと口を開けると、吹いていた風がどんどんと集まっていく。そして、集めた風をブレスにして望たちに放った。


「ぐ……っ、ごめん……。耐えられない……」


 カエデが苦しそうに言う。聖護結界も万能ではないので、ある程度の攻撃を受けると破壊されてしまう。今回はクラウディスのブレス攻撃に耐えきれなかったようだ。


「全員退避ッ!!」


 アゼロの言葉と同時にティアナとシェーネはその場を勢いよく離れる。望は退避の時間を作っているカエデを抱き抱えてその場を離れる。


「あ、ありがとう……」

「大丈夫だ。それよりも魔力は保ちそうか?」

「うん、まだ大丈夫!」


 どうやら結界魔法は魔力を多く消耗するらしく、連発はあまり出来ないらしい。望の再現魔法はさほど魔力を消費しないので、ユニークの中でも色々と違いがあるようだ。


「望!次の策に移るぞ!」

「はい!」


 アゼロは望にそう言って、自身の愛剣を構える。そして、魔法の詠唱を始めた。その間に、望は再現魔法で遠距離攻撃を仕掛ける。


「『炎の大剣(セイバーオブフレイム)』」


 炎の大剣がクラウディスの体に突き刺さる。上級魔法であるこの魔法には、さすがのクラウディスも苦しんでいるようだ。


 そして望の時間稼ぎにより、アゼロの魔法の準備が整った。膨大な魔力を消費しているのか、アゼロの周りで緑色の魔力の光がキラキラと輝いていた。


「くらえッ、『風斬一刀(セルブローネ)』!!」


 淡く緑に光ったアゼロの愛剣から極大サイズの風の斬撃が放たれる。それは真っ直ぐとクラウディスめがけて飛んでいく。


――ギュォォォォォォォォ!!


 クラウディスが叫ぶと、周りに風の弾が何十個も生成され、そこから風の鎌がいくつも放たれる。風の鎌は一つ一つは小さいものの、その数の多さで風の斬撃を食い止めた。その上、風の斬撃に当たらなかったものは地面まで降り注いでおり、辺りの地形を変えていった。


「くっ、やはり一筋縄ではいかんか……」


 アゼロは風の鎌を避けながらそう呟く。


「師匠、もう一度行きましょう!」


 望は最初の作戦をもう一度やろうと提案する。アゼロはそれに頷き、全員に指示をした。


「ティアナとシェーネはもう一度大きめの魔法を頼む!カエデは儂らの防御を!」


 それを終えると、アゼロは身体能力の強化を強めた。望も同じようにする。


「準備できたわよ!」


 ティアナがそう言うと、アゼロと望は一気に跳び上がった。それに合わせて、ティアナとシェーネは魔法を放つ。


「『炎の大剣(セイバーオブフレイム)』!」

「『崩天氷華(アイシクルエンド)』」


 二人の魔法は望とアゼロを通り越してクラウディスに直撃し、辺りが炎と氷によって水蒸気の煙に包まれた。


「「天斬流……」」


 それを見届けた望とアゼロは剣術を使おうとする。だが、しかし煙が晴れると、そこには旋風を纏い大きく口を開けたクラウディスがいた。


(なぜ魔法が……あの旋風かッ!ということは……)


 アゼロは一瞬で状況を判断する。そして、空中で身を捩り、望に近づいて勢いよく蹴り飛ばした。


「し、師匠……?」


 蹴り飛ばされた望は最初は意味が分からなかったが、すぐにアゼロの蹴りの意味を理解することとなった。


――ギシャァァァァァァ!!!


 咆哮とともに撃たれた風のブレスがアゼロを襲った。しかし、カエデの『聖護結界』がアゼロを包み込み守る。


(一人の方が結界の範囲も少なくて済むが……やはりか)


 風のブレスを受けて、聖護結界にヒビが入る。どうやら先程のブレスよりも威力が高いらしく、聖護結界がすぐに破られそうになっているようだ。


「気合いで耐えるしかないか……」


 アゼロは防御の体勢を取り、魔力による身体能力の強化を最大限まで高める。すると、風のブレスの攻撃で聖護結界が破られた。


「ぐぬぉぉぉぉぉぉ!!!」


 アゼロは風のブレスに飲み込まれ、そのまま落下し地面に叩きつけられた。


「師匠!」


 アゼロに蹴り飛ばされて、先に地面に着地していた望が駆け寄る。アゼロは血を吐き出して地面に倒れていた。


(息は……まだある。でも、血が……。折れた肋骨が内臓に刺さってるんだ。早く処置しないと……)


 望は少し触診をしただけでアゼロの状態を判別する。そこに、カエデが走ってきた。


「おじいちゃん!」

「大丈夫、息はある。だけど、だいぶまずい状態だ。一刻も早く治療しないと……」


 望がそう言うと、カエデは結界魔法を発動させた。


「カエデ?」

「結界魔法の中に『治癒結界』っていう、治療に特化した結界があるから、それで治療してみるよ。だから、望くんはクラウディスをお願い」


 カエデの力の入った声に、望は頷きで答える。そして、一つ深呼吸をすると、クラウディスと戦っているティアナとシェーネの元に向かった。


「ティアナ、シェーネ!」


 二人は遠距離で魔法を放ちつつ、クラウディスの攻撃をシェーネが察知することで躱していた。


「望、アゼロさんは……」

「大丈夫だ。師匠はまだ生きてる。今はカエデが治療しているから、俺たちはあいつに集中するぞ」


 望はそう言って、こちらを見ているクラウディスを睨み返す。


(お前は絶対……俺が倒すッ!)


 そう決意した望は再現魔法を発動した。



もし面白いと思っていただけたら、評価、ブクマなどなどよろしくお願いします。作者が竹馬に乗ります。

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