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第八話:『オレは再会した』

『新宿魔境』入口

当初は非戦闘職なのもあり、職員の目線は

些か心配そうなものになっていたが

モンスターキャラバン討伐などからは

一転して信頼を勝ち取ったように思える。


「モンスターキャラバンのリーダーから出た石なんだけど

 これってなんなんですかね?」

「ああ、コレはキャラバンのリーダーが周りのモンスターに

 精神的なリンクを繋げて指揮する為のコア、とされている石です

 特殊な通信機や噓発見器などの道具の素材になりますので

 高く買いとらせていただいてます」

「…そう言われると、惜しくなるな」

「まぁ、強制ではありませんからね、特に刀花さんは『錬金術師』ですし

 一般的な冒険者より使い道は広いでしょうから

 ですがもしも売っていただける際は言ってくださいね。」



再度石を見直してみると、用途がわかったからか

何と無く素材としての形が見えてくる

もしかしたら、面白い物に使えるかもしれん。


「そういえば」

「ん?」

「刀花さんは技能測定はしてます?」

「…なにそれ」

「冒険者としての技能を測定するためのシステムで

 どこかの誰かがゲームみたいにわかったら

 楽だから、と作ったシステムです」

「へぇ~…気になるな」

「これです、この板です」


盗難防止のワイヤーで紐づけられたタブレット端末

手に取った桜の情報らしいものが浮かんでいた。


――――――――――――――――――――

高田(タカダ) (サクラ) 17歳

守護騎士(ガーディアン)


スキル

・『シールドバッシュ』

・『アクティブバリア』

・『仁王立ち』


技能一覧

・肉体・剛(職)

・盾使い(職)

・状態異常完全耐性(職)

・食いしばり(職)

・戦闘センス AA

――――――――――――――――――――


「なんか強そうな事書いてんじゃねぇの?」

「(職)ってあるのは全部ジョブ由来なんで…」

「戦闘スキルは?」

「あはは、宝の持ち腐れ状態ですよ

 それよりも、ほら刀花さんも」


そうやってタブレットを渡される

そういや、あの時もこんなんあったな。


――――――――――――――――――――

園木(ソノギ) 刀花(トウカ) 27歳

錬金術師(アルケミスト)


スキル

・『等価交換』

・『原子変格』

・『技術継』

・『鑑定眼』


技能

・職人思考(職)

・創造ブースト(職)

・早撃ち EX

・狩人戦法 EX

・剣術 AAA

・罠士

・ガンスリンガー

――――――――――――――――――――


「…なんか多いな」

「ジョブに頼らない技能だけで

 ここまでってヤバいですねコレ」

「そうなのか?」

「武道の達人でAですから」

「…マジか」


思えば11年間猟師として打ち込んできたし(銃だけに)

剣も銃何と無く猟師仲間のジジイに教わってきた

長くやるのは何だかんだ大切なんだなぁ。


「しかし、EXは初めて見ました

 でも納得です、刀花さんの早撃ちって

 じっくり見てても何起きてるかわかんないですし」

「アレはオレの自慢だからな、西部劇の世界に飛ばされても

 生き残ってる自信があるぜ」

「凄いです!」


褒められるのは気分がいい、早撃ちに関しては本当に早いからな

ドゥリンダナのお陰でモンスターにも効くし。


「んじゃ、そろそろ行くか!」

「はい!頑張ります!」


改めて、人生に無駄な事は無いもんだと思える事は

結構なモチベーションになる

それに、桜にも教えてやれば技能身につくって事だしな。

そんなこと考えながらダンジョンに足を踏み入れる

今日も気合い入れて狩ってくか。



そんな二人の影がダンジョンに消える傍で

先程まで何もないはずだった場所から少女が眺めた

片手には二人が眺めたタブレット、彼女は静かに

そこに記された刀花の名を反芻した。


「ったく、11年も姿くらましてた癖に

 連絡入れてもいいだろうに、ちょっといたずらしてあげるか」


桃色の髪を弾ませて彼女もダンジョンに進む

置いたタブレットには消える直前、彼女の事が浮かんだ。


――――――――――――――――――――

白狐(シラコ) (サク) 6歳

簒奪者(オールスティール)


スキル

・『奪う』


技能

・提示規制 EX

――――――――――――――――――――





狩りにあまり変化はない

剛打弾(ブレイクスラッグ)』の試し打ちを済ませてからは

桜が敵を受け止めつつ撃ち殺したり、桜にモンスターの動きを教えたり

効率に関しては遅れが出ているかもしれないが

桜自信勤勉に動いているので不満は無く、いい経験になる。


「受けてもいい、でも無駄な攻撃は喰らわないですよ!」


戦闘センスの恩恵か、桜の動きは重ねるごとに鍛えられる

重たい装備をもろともせずに躱して見せる動きには

目を見張るものがあった。

しかし、オレと違い動きが激しいのに

装備も重たい桜の消耗は無視できないので

様子を見つつ休憩を取った。


「弁当なんかもあるからな、食いな」

「えへへ、ありがとうございます」

「桜はよくやってるぞ、すぐに良い冒険者になる素質がある」

「そ、そうですか?」


軽めに狩りの話をしたりする内に

桜は少し静かになって、重要な話があると切り出した。


「…帰りの事なんですが」

「おう」

「先に、希望を話してもいいですか?」

「勿論、好きに話してくれ」

「私、家に帰りたくはないです」

「………ふむ」


桜の言葉に思考を巡らせる

どういう理由かにもよるが、家に帰りたくないと漏らす桜の顔は

積もり積もった何かを表していた。


「理由、なんですが

 私の家には、誰もいないんです」

「………親も、か?」

「はい」


親がいない、それをどう受け取るかに悩んだ。


「あ、死んでいるわけでは無いんです

 ただ…」

「ただ?」

「両親は、私と一緒に家を捨てました」

「………………」

「両親は冒険者で、私の職を知って以来まるで血縁など無いように気に掛けず

 家、つまりは家庭ごと放置しています」


何とも言い難い答えがあった、親に捨てられたという答え

恐らくは冒険で常に家を外して帰っていないんだろう。


「私は、元々両親を見返したくてあんなバカな事してしまったりしました

 家に帰ったら、余りにも空虚で、辛くて」

「………となると、続けてウチも泊まるか?」

「………いい、のでしょうか」

「そうしたいんだろ、オレは良いよ

 親父もダメとは言わねぇ」

「…ありがとうございます…」

「その代わり、しっかり言えるようにしな

 ウジウジ話したら親父に喝入れられるぞ~?」


軽く背中を叩いてそういう、まぁ理由があるなら良いだろ

それに、こうも辛そうな子を裏切るのは嫌だし。

話も終わり、ちと空気変えようとドゥリンダナを持つ

………………ん?


「あれ?ドゥリンダナどこ行った?」

「え?」

「………桜?」


桜の手にドゥリンダナがあった

……うん?いつ取っていた?

もしかして無意識に渡してた?


「あれ!?なんで、え?」

「はは、まぁうん、返して……ん?」


消えた、ドゥリンダナが消えた

間違いなく桜が持っていたのに。




もはや訳も分からず二人であたふたしてると

割れ響く歌のような笑い声が聞こえた。


「アハハハハハ! まったく焦り過ぎだって」

「…なんだ?子供?」


笑いの原因は、桃色の髪を携えた少女だった

しかし異質な雰囲気だ、ただの少女では…ん?


「んもう、古くからの友人を忘れたのか~?」

「………まさか」

「オッケーオッケー、特別ヒントを上げよう、有料だけど」

「咲か!」

「それで思い出されるのは心外なんだけど」


しかしおかしい、咲は同い年だ

目の前の咲?は6歳程にしか見えない。


「ま、疑問があるのは分かるよ

 でも私は正真正銘の白狐咲だから」

「………まぁ、半信半疑ってとこだが」

「白狐、咲…あの白狐さんですか」

「多分その白狐さん、まぁそこら辺の証明は…」


面影のあるイタズラな顔を見せて咲は言った。


「刀花の家で証明してあげよう!」


勝手に家に来る約束を取り付けた

…やっぱコイツ咲だな。

ロリババア


どうか評価や感想を頂けると私のこれからの励みになります

・スキル差よ

・続きが読みたい!

・がんばって!

など書いていただければそれだけで何作も頑張れます!

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