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第七話:『オレはお買い物』

朝飯を済ませて準備を終えた後

車に乗って『新宿魔境』…より前に武具店に向かう。


「桜の鎧を新調しねぇとな、あと楯」

「すいません…」

「あそこまでやられたら仕方ないっての」


モンスターキャラバンの集中砲火えを受けた以上

多少丈夫な鎧では耐えられない、桜の防御力が何とかした案件だ。


「昨日の戦利品も売れるしな」

「刀花さんの素材じゃないですか!」

「仲間だろ、気にしないっての」


引っ込み思案すぎるのは考えものだが

何と無く桜には素質を感じてはいる。


「それに、桜が守ってくれるほど狩りが捗るとも」

「…わかりました!」


思えば武具店に世話になるのは初めてだった

猟師に剣とかは使えないからな。



「さて、んじゃ見てみるか」


車を停めて店を見る、ダンジョンで拾われた様々な武器が飾られている。


「おお~…すごいな、ここまで集まるもんなのか」

「日夜冒険者達が潜掘して集めては売っ払いますからね」


古風な剣や弓、摩訶不思議な文言を連ねた書に杖

最新の人間工学に基づいた武装などを飾り

冒険者達が鎧や防弾チョッキのようなアーマーを

試しに着ては具合を確かめている。


「何だか凄い光景ですね、凄い最新式みたいなナイフと

 芸術みたいなナイフを並べてて」

「おお、デュランダルも飾ってる」

「ですね…やっぱり伝説級(レジェンダリー)の武器を弄ったのか…」

「まぁ、モノには変わりないからな」

「生産職の話は企業秘密が多くてよく知りませんが

 伝説級の物は基本不変と聞くんですがね…」

「んだよ、ダークタワーじゃエクスカリバーとか溶かしてたし…」

「まぁ実際やってるなら出来るって事ですか…」


くだらない話を挟みつつ、鎧や楯を吟味する

基本的にダンジョンの産物は所有者に合わせるものであるため

サイズは気にしなくとも良いが、それでも性能など

しっかり気にしなくてはならない。


「軽めの鎧でなくとも動けるんだよな」

「ええ、重くても問題ないですけど

 フルフェイスのヘルムは視界が遮られるので

 あんまり好ましくなかったです」

「成程、被るとしても視界は必要か」


幸い細かい願望は『錬金術師』として弄れば問題ないので

大まかに満足出来る装備を選べば問題ない。


「刀花さんも多少は身を守れる鎧を買っときましょう

 あの防具じゃ大怪我しますよ後々」

「そうだなぁ…軽鎧あたり勝って混ぜとくか」


桜の話したジョブの恩恵だろう

設計図が浮かび上がる、合わせた完成品の姿と構造。


「うし、買うか」

「はい!」

「新しい楯はそのサイズでよかったのか?」

「問題ないです、前の大楯じゃ

 両腕埋まりますので」

「成程、早く銃も作らねぇとな」


ふと高い武器に目をやる

性能ではなく、それ以上に目に付くところがあった

「…回収者?」

産物を拾った人の表記だが、ふと見たその武器の回収者の名は

『白狐 咲』であった。


「…………ふむ」

「あ、咲さんまた入荷してますね」

「え?咲さん?」

「? あぁ、咲さんは有名なソロ冒険者の事です

 こうやって良い武器や遺物を何個も拾っては荒稼ぎしてるのに

 誰も詳細を知らない冒険者なんですよ」

「へぇ~…」


知り合いと同姓同名なんてオチではないはずだ

何せヤツは稼ぐのが好きだし。


「…まぁうん、そういうタイプもいるよな」

「それが、ただの正体不明じゃなくて

 ダンジョン協会ですら把握してないそうなんですよね

 目撃情報も稀にありますが姿や年齢がバラバラだそうで」

「………………ほ~ん」


中々良く分からないモノ扱いされているのに驚く

『盗賊』ってそんなにヤバい変装技術でもあるのだろうか

……まぁ、11年前の知り合いに分かることなんてまず無い以上

深く考えようが意味は無いが。


「面白い話だな、っとそろそろ買っていくか」

「了解です!期待に応えて見せます!」


カウンターに並ぶ、所有権移行の為そこそこ手続きはいるが

身を守るモノである以上手間を惜しむのは良くない。


「お客様、ここにサインを」

「はいよ『園木 刀花』っと」

「『高田 桜』これでよし」


これで所有権が移り、装備のサイズなどが調整される

中々便利なもんだ。


「んじゃ『新宿魔境』行くか~」

「おー!」


新たな装いに身を包み、ダンジョンに向かう

一人じゃない冒険もまた、楽しみだ。





武具店の裏、機密情報や表に出せない武具を保管する間にて

桃色の髪を解きながら契約書を眺める少女がいた。

その出で立ちは16歳にも満たない物に見えるが

振る舞いは間違いなく熟達だった。


「刀花、刀花かぁ……本物、なのかな」


立ち上がってスマホを取り出し、古い写真を眺める

並ぶ三人の男女、『16才記念!』そう書かれた写真名。


「まだ"盗めて"ないんだけどねぇ…

 でも、確かめないとな」


そう言いながら厳重に固められた扉を軽く開き

軽やかにダンジョンへ歩いて行ったのだった…。

桃色ヘアーのお姫様


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など書いていただければそれだけで何作も頑張れます!

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