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第六話:『オレは起きた』

朝4時、今日は本格的に銃弾を用意するつもりだった

昨日の『狼牙弾(ウルフフレシェット)』が良く働いたのもあり、モンスターの素材で作る

特殊な弾頭は中々に役立つものだと知ったからだ。


「オークの棍棒ぐらいか、新しく使えそうなのは」


オークが使っていた大きな棍棒は非常に丈夫でただの岩では無いらしく

デュランダルを使わなければ傷つかないものだ

しかし『錬金術師(アルケミスト)』の技能は問答無用で変質させる為

この棍棒もしっかり素材にできるのだ。


「とはいえ、『狼牙弾』みたいなヤツじゃいかんな

 重みや硬度を活かすのだと……」


弾丸の種類をもう一度洗い直す

オークの棍棒は重く、『守護騎士(ガーディアン)』の桜すら

大きくダメージを受ける程だったソレを銃弾に落とし込むのは……。


「スラッグ弾……『剛打弾(ブレイクスラッグ)』って感じで…」


一発大きめの玉を叩き込むスラッグ弾の方式なら相性がいいはずだ

そう思いながら棍棒を細かい塊に変質させていく。


「むにゃ……あれ?刀花さん?」

「おう、桜か すまん騒がしかったか?」

「いえ、水を飲もうかと思って」

「そうか」

「………何してるんですか?」


手元を見てそういう、そういやそこら辺は話してなかったな。


「オレの装備や道具は自分で用意したりしてるんだ」

「銃弾もなんですか!」

「市販のも使うが、最近は自作もしてるな」

「へぇ…じゃああのオークに撃ってたのも?」

「おう、この『狼牙弾』って奴で、ビッグウルフの牙をばら撒く弾だ」

「通りでオークの皮膚もぶち抜くわけです」

「モンスターとやり合うならこれくらいはな」

「ですね」


『錬金術師』の力で粘土のようにこねて弾頭を作る

ガンパウダーと幾つかの金属を合わせて一発の弾丸が出来る。

記念すべき一発目の『剛打弾』である。


「もしかしてですけど」

「ん?」

「あのリボルバーも?」

「ん、そうだな、親父が記念にくれた良い武器を変えた」

「へぇ…元は何だったんです?」

「デュランダルって剣だよ」

「売られている内じゃほぼ最高峰じゃないですか!

 成程……『錬金術師』じゃ使えないからリボルバーに…」

「おう、でもジョブ関係なく剣術も学んじゃいたから剣としても

 使えないことも無いがな」

「ウェポンチェンジャーですか、成程……」


目の前でドゥリンダナをデュランダルに変化させて見せる

デュランダルはダンジョンの産物でも最上位に位置する扱いの武具だが

他の伝説級(レジェンダリー)のソレと違い規格外の耐久性という一点に絞られた異能故に

余り扱いは良くなく、唯一購入も可能な伝説級の産物である。


「オレにとっちゃ、これ以上無い代物だがね」

「いいですね……」

「うむ、猟でも護身用に使ったり、早撃ちとかも嗜んでたからな」

「…それですけど、多分」

「ん?」

「ジョブの恩恵もあると思いますよ?」

「『錬金術師』のか」


意外な一言に驚く、『錬金術師』には銃に関する技能があったのか…?


「ジョブの基本性能みたいなもんですかね

 『錬金術師』みたいなジョブってそれだけで器用さが引きあがるんで

 それもあって銃の扱いが達人級なんでしょうね~」

「…………成程、生産職なら当たり前か!」

「あと、そうやって独学で装備を作れるのは知能の底上げ、でしょうか」

「あ~…確かに、そういえばこの11年間勉学に苦労しなかったな」

「私みたいな『守護騎士』はそれだけで体が鋼みたいに硬いですからね!

 鎧や楯も使うので筋力もあるんですけど、如何せん武器を使う技能が抜け落ちてるので

 あんまり意味が無くて……」


成程、オレの場合猟師としての技能で埋めているが

桜みたいな場合だと一から学ぶ必要があるのだった。


「…………そんならあれだな、いつかお前の銃も作ってやるか」

「私の銃ですか!?」

「おう、(ライオットシールド)構えつつ銃ってよく見るだろ?」

「あ~…確かに」

「それに銃なら教えられるしな」


一時はジョブだけで絶望していたが、学べば埋められるのは

自分に教え込んだ事だ、桜も大事な仲間になったしな。


「……騎士、銃…空中機動十字軍(クルセイド)?」

「桜?」

「あ、いえ、ちょっと筋力上げたいなって思っただけです」

「お、おう」


一瞬桜の顔がギザ歯で鋭い目つきに見えたが、ほおっておく

そうなったら新しく作る銃を考えねば

楯と合わせるならやはり拳銃か、桜の筋力なら短機関銃とかもいけるかも

『錬金術師』のおかげだろうか、何かを作るのが楽しい。



「そういや、桜はこの後どうすんだ?」

「え?」

「帰るのか、とかだな」

「………ああ、あの…」

「ん、話しずらい事なら後ででもいい」

「………………はい、ありがとうございます」

「でも、そうだな

 今日のダンジョンから帰る頃には言ってくれると助かる」

「はい」


帰りの話題を出すと、桜の表情は酷く曇った

何かあるのは間違いないが、こういう時触れるのはどうするべきか

オレにはイマイチ経験が足り無いと痛感する。


「そ、そういや」

「あ、どうかしました?」

「最近の冒険者の人気なとことかっってどうなんだろうなって

 オレはちょっと疎くてな、そこんトコロ」

「ふむ…そうですね、最近の強い所と言えば

 『トリニティズ』でしょうか」

「へぇ、どういう所だ?」

「非常に強力な魔剣士が率いる三つのパーティー、だそうです」

「魔剣士かぁ…」


魔剣士と言えば総司を思い出す、案外総司がうまくやってるのかもしれん

咲のヤツも多分総司と上手くやってるだろう

ここ数日ダンジョンの素材を売っているが、相当稼げる。


「ふむ…今何やってんだろうなあ」

「『トリニティズ』がですか?」

「いや、昔の友人を思い出しただけだ」


二人共、良いジョブだったし

11年もあれば上手くやるだろう

あの時殆ど連絡断ってたのはいつか謝らないとな~…。

昔の面々、何があるやら


どうか評価や感想を頂けると私のこれからの励みになります

・今何やってるか気になる

・続きが読みたい!

・がんばって!

など書いていただければそれだけで何作も頑張れます!

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