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王国一武闘会開会

参加者は千人ぐらいか。知った顔も何人か見たな。さて、受付も済ませたし、後は待つだけか……ん?


「いよぉカーサ。久々だなぁ。お前も参加すんのかよ?」


「ブロン……あんたも?」


ちっ、嫌な奴に会ったな……昔の同級生。こいつは貴族学校に進学したんだったか……


「まあな。それにマルセル様だってご出場なされるからな。まあ優勝は諦めるんだな」


「ふん……」


バカが……自分が勝つことを考えない時点で参加する意味がないだろうに……

マルセルか……貴族学校五年の首席だったな。貴族学校には珍しく盆暗でない貴族だと聞いてるが……せいぜい私と当たるまで勝ち残ってみな……


「おっと、そろそろ始まるな。じゃあな、せいぜい頑張れや」


「あんたもね……」


十五歳以下の部か……そして今日は魔法ありの部……

つまりは何でもアリ……私は勝ち残ってみせる……どんな手を使ってでも……






『静粛に! 只今より国王陛下がご入来されます。ご起立、脱帽でお待ちください。』


『ローランド王国国王グレンウッド・クリムゾン・ローランド陛下、ご降臨!』


うわ、いきなり特大の落雷が武舞台に落ちて白煙を上げた……

煙が晴れるとそこに国王陛下が! すごい……

あ、いけない、膝をつかないと……


『楽にしてよい。昨日と同じ登場では芸が無かろうと思ってな。少し趣向を変えてみた。さて、今日は魔法あり部門だ。使えるものなら召喚魔法だろうが何だろうが使って構わん。昨日も言ったが、全力を尽くせ。最後まで諦めるな。お前達の奮闘を期待している。』


昨日は魔法なし部門があったんだよな。見たかったけど満員で入れなかったんだよな……

優勝者は確かスティードとか言ったか……


『国王陛下、ありがとうございました』




『さーあ! 本日も司会進行そして実況を担当いたしますのは私、王都冒険者ギルドの人気ナンバーワン受付嬢、ベリンダ・マッケンロードがお送りいたします!』


『そして解説はこのお二方、まずは一人目、昨日に引き続いて四等星冒険者、ミニスカートの槍使いベルベッタ・ド・アイシャブレ様だぁー!』


『どうもみなさん。ベルベッタ・ド・アイシャブレだ。魔法ありの部は得てして派手になるので楽しみにしている。』


『二人目は! なんと! 魔道貴族アントニウス・ド・ゼマティス様ァァーー! 前回も前々回も出演を断られたのに今回は快諾していただいた理由はなんと! 孫が出るから! そんなのありかよぉ! 王家の魔法指南役! 確かゼマティス本家の方は参加が禁止されておりますので、孫と言えばそんなにたくさんいないはず! 一体誰なんだぁー!』


『アントニウス・ド・ゼマティスである。うちの孫は最強じゃ。孫に全力を出させるよう頑張って欲しい。』


ちっ、ゼマティス家か……王都で絶対に敵対してはいけない家……虐殺エリザベスもゼマティス卿の孫の一人らしいけど……孫ってどいつだよ……


『噂通りの孫馬鹿ジジイだぁー! 早く引退してご長男グレゴリウス様に代わるべきでないのかぁ!?』


けっ、呑気なもんだ……こっちは将来をかけて戦うってのにさ……




『さて、それでは一回戦を行います。番号札一から二十の方は一番武舞台へ。二十一から四十の方は二番武舞台へ……………とお移りください』


その時、会場の一部で魔力の高まりを感じた。いきなり暴れるバカの仕業か?


うおおっ!? マジか……!? 巨大なワームのような水が会場全てを巻き込んで荒れ狂ってやがる! ちっ、どこのバカだ!


浮身(うきみ)


バカの相手なんかしてられるか……空に逃げるのが一番だ。ふん……他の雑魚どもはことごとく水に弾き飛ばされてるな……こいつは人数が減って都合がいいな。ついでだから私も『水球(みなたま)

ブロンにぶつけてやった。ざまぁみろ……


おっと、これは危な……


武舞台の上だけでなく、私達参加者が暴れている現場全てに雷が落ちてきた。ただの『落雷』にしては範囲が広すぎる……

上級魔法『轟く雷鳴』かな……威力は抑えてあるようだけど……


『静まれ。今この瞬間以降動いた者には特大の落雷を落とす。』


うわ、国王陛下だ……


『おおーっと文字通り陛下の雷が落ちたぁぁー! 参加者は大丈夫なのかぁ!?』


『威力は抑えておられるようじゃ。問題なかろう。』


『そもそもの発端はあの辺だったか。水の魔法みたいだったが……』


バカな参加者にしては強い魔法だったな……




『本来ならば余が口出しするのは無粋なのだがな。場外乱闘で優勝者が決まってしまっては興醒めであろう? よって今、会場で立っている者を勝ち抜けとして、二回戦を始めよ。よいな?』


『陛下、粋な対処をしていただきましてありがとうございます。さあ、これ以降の場外乱闘、武舞台以外での対戦等は失格といたします! 二回戦に移りますので、抽選をやり直します! 一列に並んでください!』


この大会は何でもアリだもんな……場外乱闘もアリってことか……

まあ、退屈な一回戦がさっさと終わってよかったな……

挿絵(By みてみん)

ベルベッタ・ド・アイシャブレ©︎オムライスオオモリ氏

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― 新着の感想 ―
[一言] その孫にだけは当たらないように気をつけな(どうやって?)。
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