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情報交換2

「で、私の質問の方はどうなっているかい?」


『じゃあまずステータスの話から。答えだけ言えばあれは作られたものだ、ダンジョンが生成される前にそのことを予知していた国によっての』


「やっぱりそうか。恐らくだけど結界的なものだよね」


『どこまで調べているんじゃお主は……。まあその隙をついてスキルに『転移』や『偽装』、『変装』など様々な悪事に使える術を登録したのがわしらSODじゃ』



 そうやって配下の育成速度を高めたのさ、奴らの結界を利用しての!と携帯の向こうから高笑いが聞こえる。ならば理解はできる、スキルシステムや能力値の不自然さが。当たり前だがSTRなんていっても何の話をしているのか、足の筋肉なのか魔力による強化なのかどこが基準かわかったものじゃないし、何よりあまりにもゲーム的すぎる。



 つまりこれは世界がゲーム的なのではなく一般人にもわかりやすいように意図的にゲーム側に寄せたということ。意図は恐らくSOD(眷属たち)と同じ自身の戦力強化だろうとレイナは目星をつける。隣のダンジョンが7つある中国に比べ日本は一つ、レベルアップする機会もタイミングも少ない。万一戦争に影響するほどダンジョンによる影響が大きくなった時に人口もダンジョンも少ない日本に勝ち目はない。故にステータスとスキルという教科書を作ったのだろう。



 そしてもう一つ理由があるとするならばおそらく諸外国で起きているダンジョンと魔術などを使う人間への排斥運動だ。これらを抑え込むために国民全体をステータスシステムで巻き込み、お前もレベルアップできるしスキルも使えるこちら側の人間だ、という風にしたのかもしれない。人間が迫害するのは自分の理解できない世界と価値観、能力だからであり自分もそちら側に含まれていると分かれば迫害なんてできない。それは自分の首を絞めることになるから。



『因みにオリジン、というのを知っておるか?』


「何それ」


『ジョブというシステムがあるじゃろう、あれの元となった人物じゃ。それぞれのスキルやジョブは実在する超人を元にデータが造られている。例えば可部迷宮大臣、あの男は『拳士』のオリジン、ジョブの元となった空手家じゃ』


「なるほど、それで日本の武術が多いのか。サンプルとして取得しやすかったから」



 そういやあの大臣空手家だったな、と思いながら話を進める



『まあそんなもんじゃな。んでもう一つ、日本政府の話じゃな』


「うん。治安維持、を目的にするわりには動きが激しすぎる。今回の件だって仮に高レベルの人間が生まれたとしても被害が起きてから対応すればいいとおもうんだよね。なのにアプリからの情報収集に通報だの確保に全力を尽くしてるしあの言い方だと見つけても隠蔽する気が満々じゃないか。何かやらかしているんじゃないか、と気になってさ」


『まあそれもよく知られている話じゃな、あくまで一部でだが』



少し息を吐いて沈黙、ボイスチェンジャー越しの声が憂鬱そうに答える。



『日本本州を宇宙に脱出させるためにダンジョンという釘を抜きたいんじゃよ』





 さて、と聞きたいことが終わり通話を切る。レイナは最後の言葉の意味がかけらも分からなかった。そもそもダンジョンという物が何故あるのか、何故本州だけなのか、釘という表現はどういうことか、宇宙に脱出とは何の話をしているのか。全てだ。



 だがこの通話相手は嘘を言わない。日本で、そして世界で何が起こっているのか何も分からない。



 昔の話だ。レイナには父がいた。ダンジョン黎明期、娘と妻を置いてSODと国の間を駆けまわり挙句の果てに殺されたような親だ、ダメ人間と呼んで差し支えない。だが彼の残した破損した資料を見てレイナが思ったことは一つ、なんて楽しそうなことをしているんだ、だった。血は争えないということを心の奥底から実感した時だった。



 だからあまりにも楽しかった。身近に意味のわからないことが雪崩のごとく進行している。レイナは父親同様極めて知的好奇心が強い人間だ。あれも知りたい、これも知りたい。世界は今ひっくりかけされた玉手箱の山なのに、これを一つも見ずに終わるなら何のための人生なのか。



 そのためには力がたりない。この争乱という祭りに参加する手札があまりにも不足していて、ドローする手段は限りなく少ない……はずだった。今回の件が起きるまでは。



「やっぱこのダンジョンを破壊した人を仲間に引き入れないと。とりあえずそいつのDNA情報は髪の毛から抜き取れて、そしてSODにも情報を流せた」



 初めからこの交渉は情報を流すためのものだった。次の策を始めるためにレイナはPCを叩き動画を作成し始める。タイトルは『ダンジョンを破壊した人へ』。内容は経験値のために殺されかねないという危機感をあおり、最後に連絡を取り合うためのとある方法を張り付けるというものだ。これを父の残した財産の一部を使い広告を貼り付け無理やり動画を拡散することで力づくで本人に届かせる。



「ダンジョンに向う見ずに突っ込む、それでいて自分の殺した死体の処理を怠ることも観念して初めから国に降服することもない。そこまで年齢のいかない、学生くらいの人間なんじゃないかな?なら私のチャンネルを見ている視聴者層的に届く可能性がある……!!」



 もしここでその化け物を手元に置けるのであれば。世界のより裏側に食い込めるのであれば。父の残した資料を読み解き世界の謎を解き明かすことができるのであれば。



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―――――――――――――――


金森レポート 執筆者 金森一教授


経験値について


 人間が魔物を倒しレベルが上がる、この現象は異常である。食しているわけでもなければガスを吸い込んでいるわけでもない、にもかかわらず力は確実に移動している。



 調査結果として■■■■を12炭素を用い研究室にて人工生成、追跡させる。対象は二匹のスラ■ムであり片方に片方を殺させた後に魂を測定する。この結果人間は魂という一つの■■■■を■心■■■■■■■を守り規■的に配列されていること、故に経験値は魂に吸収されること、そしてレベルの高い人間がレベルが■りにくい理由がわかる。つまり魂とは特殊な■■■であり、経験値と魔力の違いは虚■■■の正負であることが推察される。

というわけでヒロインと主人公のエンカウントイベントが生成。もっとかわいいキャラにするべきか悩んだんですがそうすると話が一生受け身になり続けるので……。そんなわけでこいつには頼れるサバサバ系ちょいエロお姉さんを、かわいい系はサブヒロインにお願いすることにしました。

次回から主人公視点に帰還します。




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― 新着の感想 ―
髪の毛からDNAは取れないよ。 無理矢理抜いた髪の毛なら根元に細胞が付くけど、自然に抜ける毛には付かない。 なので採集した髪の毛からDNAで本人特定は無理でしょ
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