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校庭ダッシュ

誤字報告感謝です。あの大事なシーンにもあったのか……oh……

 翌日、9月2日。


 5時間目、体育の時間。若干の眠気を振り払いながら授業前の校庭2週をこなそうとうーんと足を延ばしていると横から琴音がひょこっと顔を出す。真っ白な上と青い半ズボン、体操服を着た琴音を見たのは今が初めてではない。だがこうして校庭にいるのを見るとやはり似合っているなと思う。



 琴音はしばらく周囲を見渡し、笑いながら俺に提案をする。何か企んでる悪い笑みだった。



「勝負せん?」


「AGI、2倍以上差があるぞ?」


「んなもんテクニックで補うわ。ほら足をこーして」



 勿論そんなものはない。スキルを使うのならともかくとして、単純な速度で勝てるわけがない。だからこの競争の意味は別の所にあった。



 周囲のクラスメイトからの興味津々な視線。昨日琴音が話をどう盛ったのかは知らないが、ありがたい話だ。無視から恐怖、そこから興味へ空気が変わっていっている。彼らとしても急にクラスメイトがレベル9999になって帰ってきたと言われても実感がないのだ。俺の、そして琴音の能力を確かめたがっている。そして能力を見せることで位置づけのようなものを確定させるのが琴音の目的だろう。



「見せてみろよ。ああ他の奴巻き込まないようかなり大回りでな」


「よしきた!んじゃ始めるで、3、2、1、……今や!」



 ならその気遣いを無下にしてはならない。姿勢を陸上選手のように低く下げる琴音に対して体を持ち上げたままぼーっとしている俺。走り出す時の姿勢でそんなに変わるのかな、と思いながら合図とともに全速力で走り出す。



「よし、俺の勝ち」


「早いわ……魔力吐いて初速ブーストしてたねんでうち……」


「本当にテクニックあったのかよ。え、もしかして俺でも使える?」


「できるで。システム外スキルの一種やな、というか正確には色んなスキル組み込まれてる前提みたいな……ってあちゃー」



 琴音が思い出したかのように背後を振り向くのにつられて俺も視線をずらすとそこにはひきつった表情のクラスメイトの皆様。まあそりゃあそうだ、2周走るのが本当の意味で目ですら追えないなんて。



 背後には大きな砂煙。時計は走り出してから10秒すら経過していない。校庭を走っていたクラスメイトは急に隣に新幹線が走ってきたような感じで風圧と速度に怯え足を止めている。



 合図をしてから数秒で俺達は400メートルのグラウンドを2周していた。真面目に計算すると音速突破を狙えてしまうレベル、人間じゃねえ。あんだけ空間を俊敏に飛び回れるレベル9999の平地でのスピードだし、銃弾より遅いのでセーフ理論を唱えたいところではある。



 高レベルがこれだけ強いからこそ軍隊ではなく冒険者が迷宮に派遣されるし俺がマシンガンや諸々の銃器でゲームオーバーになっていないわけだが、そんな事はクラスメイトには関係ない。



「そろそろ走り終わったかー?いつも通りスキルの修練を始めるぞー」



 その微妙な空気をぶち壊してくれたのが体育教師。俺たちの走りを見ていなかったらしく何も気にせず皆をいつもの如く分類し始める。前衛、斥候、後衛、はみ出し者二人。……いつものではなかった、まあ組ませてもロクな事にはならないし。



「すまんが二人はレベル差が大きいからな、組んでなんかやっといてくれ。大山が余ったから誰かグループに入れてやってくれないか?」



 そう言うと前衛組が嫌そうな顔をしだす。この空気に見覚えはあった。昔の俺だ。ただのはみ出し者か暴力野郎かで話は大分違ってくるが「……じゃあ中田の所!」と誰も入れないから仕方がなく教師が指名するところまで一緒だ。



 皆がそれぞれの場所に戻ってゆく中俺達二人は取り残される。琴音がこちらをじーっと見つめた後ふっと視線をそらしながら口を開く。



「余計なお世話やった……?」



 結果を見ればドン引き。まあでもこれぐらいがいいんじゃないだろうか。あまり距離を近づけすぎてもらっても正直俺は困る。お前ら無視していた側が今更手のひらを反してんじゃねえ、という思いが。



「別にそれは大丈夫なんだが気になるのは大山だな。あいつ、ヤバいんじゃないか?」


「クラスにはみごにされるってこと?」


「次のいじめの対象になるんじゃないかってこと」



 なんでこんな心配をしなきゃならんのかは不明。でも心がモヤっとするのだ、自分と似たような目に合っている人間がいると、それが例え大山だとしても。



 クラスメイトの心理としては主犯格の大山と椎名、ビル……はむしろ止めてた側か。前者2人を生贄に俺たちと仲良くしたいという心理が働いても何もおかしくはない。皆好きなやつだ。誰にでもわかる悪。倒せばそれ以外の空気が良くなる。なら倒してしまおう。



 大山達に報いは受けさせたい。だがそれは俺とあいつらの間の話であってクラスメイト達に都合よく使われるためのものではないはずだ。



「はい考えすぎやで、そこまで思考回しても何も始まらへん。先走る前にやるべきことやろうな」


「……ごめん」


「何謝っとるねん。もしかしてうちのパンツ見たこと?」


「あんなミニスカで座ったり立ったりすりゃそうなるわ。というかお前反応見て楽しんでただろやっぱ!」


「何のことかわからへんなぁ、純情ボーイ」



 決めた、こいつレイナさんの刑に処してやる。ウインクしながら徹底的にこっちをからかってくる琴音に許さねえと思いつつ本題に入ることとする。これは授業で琴音と二人。ならやるべきことは昨日レイナさんに言われた俺自身の強化だ。



「ジョブは後回しで先に前回のスタイルのおさらいから行こうか」


「オッケー。目指せ必殺技」

ブクマ等お待ちしています。次回スキルとジョブの話

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