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詩雨の短編集  作者: 詩雨
詩雨のはなし
4/9

文の殺意

 すべては貪欲さがものをいうんですよ。


※ご注意

 作者は病んでおりません。

 人間を、描いただけです。

 それだけはご理解を。







 あーあ。


 つまらないなぁ。


 YouTubeでお気に入りの曲を聞きながら、1人ぼーっとする。


 あーあ。





「すごい・・・」





 あの文を一目見て惚れた。





「なるほど・・・」





 あの書き方を見て感じた。





 わたしの友達は凄い。








――――――――――――





 わたしの心の中を離せば、それはそれは長くなる。不満や愚痴や涙。主に悔しさと惨めやと情けなさ。そして嫉妬とか。


 汚くて荒れた見るに堪えない感情ばかりだ。腐敗した感情で生きるのも嫌なので、YouTubeを見る、なんて引きニートのような生活を送っている。





 わたしには、友達がいる。それも、自分で勝手に「一生ものだぁ!」と決めつけて仲良くしている友達が。


 一緒に趣味を楽しみたくて、わたしはその友達たちとわたしの趣味を共有していた。それがとても幸せで、ある意味わたしのストレス生産場とも化している。


 嫌だとか嫌いとか、もう一緒に趣味を楽しみたくないとか、そういうわけではない。断じて違う。だって、この上なく幸せでもあるのだから。


 わたしは世間でいう「陰キャ」というやつで、基本的に「陽キャ」仮面を被って生きている。とても疲れるが、自分のためにピエロになった。その友達たちにだけ、たまに仮面の裏をチラっとまくって見せる。それだってとても楽しい。


 でも、もっと奥に、奥底に、わたしでも知らないような負の感情が詰まっていると思う。古い校舎の教室の四隅に詰まった、あの黒いゴビゴビのように固まって、黒く黒く戯れる感情が。


 わたしの付けている「陽キャ」仮面が、本当に「陽キャ」に見えているのかは知らないが、多分全部自己満足だ。そう、自己満足。


 とってもいい言葉だね。自己満足。





――――――――――――





 頑張っている。自己満足だったのかもしれない。


 頑張った。何を言うか。何を根拠に・・・。


 頑張るのを放棄している。きっと現状。


 頑張るとは?





 自分が動くのが嫌いで、いつも手で取っていた。でも、その範囲外のものが出てきた。わたしは、取らねばならなくても取ろうとしなかった。


 面倒くさくて。


「生きるのに必要?馬鹿げたことを。これがなくても生きていけるだろ!」


 違う。


 生きるのに必要なのは、その手の中に収まる何かではない。取ってくるまでの努力と涙と血だ。分かっていながら、今だってしていないでしょう?





―――――――――――――





 何で?わたしだってやってるのに。


 評価されるべき人が評価されなくて、評価される価値もない人が評価されて。


 意味もない、伝わってもこないものが称えられる。


 感情的にもなれなければのめり込むこともできないものが崇められる。





 わたしがおかしいのか?


 価値観が狂っているのか?





 わたしにも、誰かからの「想い」が欲しい。


 顔の見えないネットなら、本心を吐いてもらえると思った。


 違うかい?


 それならばわたしは、ここが嫌いだ。


 偽りだらけの、わたしみたいなピエロがうじゃうじゃひしめくなんて、ネットの利点を踏みにじっているだけだ、と思う。








 分かった!目立ちたがり屋なんだ!


 誰かに見られたくってしょうがないんでしょ⁉ね⁉


 ほぉら当たり!応援してくれる人と、他人からの評価と、色々欲しいんだ!








 うるっせぇな。少しは黙れねぇのかよ。


 貪欲だよ。確かに。賞賛が欲しくてたまんねぇよ。


 でも、嘘はいらねぇんだよ。沢山悪口言えよ。全部受け止めたい。





 妄想は迷惑かけないだろ。じゃ、たっぷり妄想させろよ。


 自分がちやほやされて、どんどん楽しくなっていく、夢物語。シンデレラストーリー。


 あーあ。


 気持ち悪い。


 羨ましがってるだけで何が出来んだよ。


 でも、他に何が出来んだよ?


 もう出来ねんだよ。


 諦める?いやそれは嫌だよ。


 現実に足を踏み入れて見たよ。


 何かよくわからないんだよ。





 妄想はもうやめたいよ。


 誰か、自分を立たせてよ。ついでに、思いっきり断たせて。そいでもって、絶たせて。


 今は、とにかく、誰かと交わっていないとね。


 誰かに自分を押し付けていないとね。





「もっと、わたしをたたえてあがめて!


 すごいでしょ?ね?ね??」





「わたしを、見つけてよ」





―――――――*――――――





「すっげぇ!反響よくね?よし、第二弾・・・」


 周りを見てそそくさ準備する人も。


「駄目だ、これはよくない。別ジャンルか・・・」


 周りを見てころりと変える人も。





「自分の生きたい生き方、出来てる?」





 すごいねぇ、よく考えられたね。そんな偽りの仮面で言われても。


 もっと、もっと、嬉しさを頂戴。もっと褒め称えて。もっと、もっと・・・!








「人間全部貪欲の化身なんですよ。


 君が惑うのも君が思えないのも、全部貪欲だからなんですよ。


 あぁ、格好いいですね。


 自分の想いだけ押し付けて勝手に想いを傷つけてりゃあいいんですよ。


 自分の想いまで傷ついてるんですよ?


 表現は難しい。だから面白いでしょう?


 どれだけ巧みに言葉を操れるか。


 人を殺せるか。」








「すべては〈貪欲さ〉がものを言うんですよ」





 さぁ、精一杯死んできてくださいね。





 現実で、ボロボロにされたらいいんですよ。


 殺された回数だけ、のびる?嘘嘘。





 虚言癖もほどほどにね・・・、














 わたし。


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