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俺と黒猫とガーディアンの異世界捜索隊  作者: s_stein
第三章 ダンジョン編(2)
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59.大脱出

 カメリアの剣にグングンと引っ張られるハルトは、第4階層の床が波のように揺れるのを見た。頭や背中に石の破片がゴツンゴツンと当たるのも感じた。天井も揺れているのだろう。


 崩落が始まっているのだ。


 剣が第3階層への上り階段に突入した直後、後方からガラガラとおびただしい石の崩れる音が追ってきた。


 第3階層のつづら折りになった廊下に出た。


 コの字のカーブを旋回する度に彼の体は振り回され、足が壁にぶつかる。


 痛いなどという痛覚は風とともに吹き飛び、恐怖が全身を包む。すぐ後ろから、崩落の音が波のように押し寄せてくるのだ。


 つづら折りから抜けても、まだ狭い廊下だ。ガラガラという音がまだ追いかけてくる。


 おそらく、第5階層が潰れて第4階層の崩落につながり、それが第3階層にも伝搬しているのだ。


 飛んでいることにより体が揺れるので、落ちないようにしっかりと柄を握る。だが、その握力もだんだん弱まってきた。


 そろそろ限界に近づいている。


 と、その時――、


『上昇する!』


 彼女の声に急上昇を想定し、ハルトは最後の力を振り絞って柄を握りしめた。


 突然、剣が直角に曲がって上昇した。


 体が振り回され、上昇で穴の縁にこすられた。めちゃくちゃ痛い。だが、歯を食いしばって耐える。ひたすら耐える。


 バクン!


 天井の扉が押し開かれる音だ。開いた穴をすり抜ける。


 ここで、カメリアの剣は急停止した。


 見上げると、すぐ上が岩盤だった。まだ城郭はここを突き破っていなかったのだ。


 これを突き抜けて地上に出ようとしていたのかと思うと、ゾッとする。


 彼はトンネルを探すが、見当たらない。城郭が上昇していたので、塞がれていたのだ。


 しかし、天井にピシッピシッと亀裂が入って、城郭全体が下に向かって崩れ始めると、トンネルが現れた。


 ハルトはトンネルの縁に着地し、カメリアの剣から手を離す。そして、直ぐさま、下を覗き込んだ。


 大量の瓦礫が、スローモーションのように沈んでいく。大地震のような揺れが続き、トンネルの縁から転げそうになる。


「オルテンシアアアアア!!! シュヴァルツウウウウウ!!!」


 声の限りに叫んだ。


 何度も叫んだ。


 だが、瓦礫のぶつかり合う音がその叫び声を無情にもかき消していく。


 彼は膝を折る。


 両方のこぶしを力一杯地面に叩きつける。


 今すぐ飛び降りて、瓦礫の中を掻き分けて二人を探したい衝動に駆られる。


 何度も前のめりになる。


 だが、深い穴に沈んでいく瓦礫が、彼の勇気を粉々に打ち砕いた。



 ハルトは、後ろを振り返った。カメリアは、いつの間にか変身を解いてうつむいていた。


 両手で目を押さえる。声を立てずに泣いている。


 立ち上がった彼は、彼女の肩に優しく手を置いた。


「カメリア。ありがとう」


『お姉様……。シュヴァルツ……』


「辛いだろう……。

 俺、不器用だから、こういうとき、なんて声かけていいかわかんねえ……」


 すると、突然、カメリアがハルトを抱きしめた。


 戸惑うハルトだったが、ソッとカメリアの背中に手を回し、優しく抱きしめた。


「ゴメン。ありがとうしか――」


「ううん。ハルトが無事でよかった」


 彼女は、彼をグッと抱きしめる。


「俺もだ」


 彼は、彼女の気持ちに応えて抱きしめた。


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