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俺と黒猫とガーディアンの異世界捜索隊  作者: s_stein
第三章 ダンジョン編(2)
55/60

55.互いに違う目的

「もちろん、魔石だ。それも、特大のを」


 モスカの言葉に、ハルトは「やっぱ、なんだかんだ言って、金の亡者じゃねーかよ」と笑う。


 これに対してモスカは「何とでも言え」とつぶやき、右手を伸ばす。すると、深紅の剣が出現した。


「や、やんのか、てめー!」


 ハルトは二刀流の構えを見せる。だが、モスカは笑いながら「第5階層の敵に備えるだけだ」とつぶやき、その剣を携えてミストと歩み始めた。


 カエデが震えながらハルトの背中で(ささや)く。


「あれは、血に飢えた剣。斬ると相手の血を吸う。だから、気をつけて」


「お前、連中のことが詳しいな。それに、気をつけてって、奴らがいかにも俺たちを斬るような言い方だ。

 やっぱ、敵なのか?」


「用心して」


「わかった」


 二人がヒソヒソと(ささや)き合っていると、モスカが振り向いて「何をブツブツ言っている? さっさと来い」とぶっきらぼうに言った。


「おい、まだ質問が終わっていないぞ」


 彼の言葉にモスカはため息をついて、あからさまにイヤな顔をしながら振り向いた。


「これ以上、何を?」


「まず、お前は俺たちの名前を尋ねていない。ということは、すでに知っているな?」


「そのことか……。左様。ハルトにシュヴァルツに……カエデ、だったか」


「なぜ知っている?」


「話をしていただろう? それを聞いたから」


 モスカは、当たり前のことを聞くなとでも言いたげな顔をする。


「ちょっと話が脱線するが、このダンジョンって、本当は第50階層まであるんだってな?」


「それは……第5階層でラスボスから幻影を見せられたのであろう。第5階層がこのダンジョンの最終だ」


「そこで魔石を持っているのは誰だ?」


「ラスボスだ」


「フーン。倒すのは誰の予定?」


「君たちだ。でも、君たちが倒されたら、我々が倒す」


「いいや。俺たちは、魔石を獲得しても倒される」


「誰に?」


「その剣を持つてめーに。後ろからバッサリと」


 二人の間に長い沈黙が訪れた。それを破ったのは、モスカの笑いだった。


「ハハハッ! 誰がそんなことを? その後ろにいるカエデがそう(ささや)いたか?

 女は疑い深い。いちいち耳を貸すな。

 そんなことはせんよ。魔石は山分けといこう。この剣は魔石を真っ二つに出来るから」


「いや、魔石なんかどーでもいい。なんなら、俺たちはここにいるから、てめーらでラスボスを倒して魔石を取れ。そして、ここから去れ。

 俺たちは別の用がある」


「何の用だ?」


「…………」


「だから、何の用だと聞いている」


「ある人の手がかりを探している。第5階層でそれが見つかるはずだ」


「フーン。ある人とは、実はラスボスじゃないのか?」


 ハルトはハッとして後ろを振り返った。そこには青ざめたカエデの顔があった。


「カエデ。お前、何か知っているのか?」


 彼女は、かぶりを振る。


 ハルトはモスカの方へ向き直って「違うみたいだ」と答えた。


「第5階層はラスボスしかいないはずだが……。まあ、行ってみようではないか」


 ハルトたち三人は、モスカとミストの後を追った。



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