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俺と黒猫とガーディアンの異世界捜索隊  作者: s_stein
第三章 ダンジョン編(2)
53/60

53.アンデッド

 カエデとシュヴァルツは仰天する。


 部屋の中央付近から、床をすり抜けてせり上がってくる者どもがいる。ぼろ切れのような布を纏い、灰緑色で溶けかかった肌を持ち、顎をガクガク動かして呪いの言葉を吐き、目が赤く光っている。


 全身を現したそいつらは、ハルトたちにつかみかかろうと腕を伸ばして、一歩ずつよたよたしながら歩いてくる。


「アンデッドよ!」


 カエデは泣きそうな顔になって、ハルトの背後に隠れた。


「ってことは、この剣で切っても――」


『死にませんわ』


『打つ手なし』


「じゃあ――」


 ハルトはヨッコラショと立ち上がった。


「ぶった切って、突破するかぁ。あそこの扉に到達すればいいんだろ?」


 そう言って剣を振りかぶり「ウワーッ!」と鬨の声を上げて走り始めるが、またしても右足が床にめり込み、前のめりになった。


 今度は、剣も、床に付いたはずの両手もズブッと石の中へ潜り込む。


「うわっ! 最悪だぜ!」


 両手と右足を引き上げた彼は、後ろへ尻餅をつく。


 アンデッドのモンスターは二十体ほど出現し、徐々に近づいてくる。


「あいつらは沈まないのかよ! ずるくねえか!?

 ……そうだ! カメリア! 俺を奴らの上まで運んでくれ! オルテンシアの剣で奴らをぶった切る!」


『だ・か・ら、相手は死にませんの!』


『人の話を聞いていない』


「やってみなきゃわかんねえだろ!」


 カメリアの剣は、柄を握るハルトを渋々ながら宙に浮かせ、アンデッドの上まで運ぶ。彼は、オルテンシアの剣で力一杯斬ってみたが、手応えはあるものの倒れもしなかった。


「じゃあ、向こうの扉まで連れて行ってくれ!」


『あの二人を見捨てますの?』


『薄情者』


「逃げやしないぜ! まずは、あの扉を開ける! 早くしてくれ!」


 カメリアは扉の近くまで彼を運んだところで急停止した。扉の前に、ムクムクとアンデッドの集団が湧いてきたからだ。


「駄目だ! 退却!」


 ところが戻りかけたハルトは停止を指示する。すでに、シュヴァルツとカエデがアンデッドに囲まれて、剣で戦っていたからだ。


「ならば、あっちの空いているところへ!」


 彼はカエデに襲いかかろうとしているアンデッドの背後へ自分を運ぶように指示する。


 ところが、着地した彼は両足が床に沈み込み、慌ててカメリアに引き上げてもらった。


「やべえ! 絶体絶命だ!」


 頭が真っ白になったハルトの視界に、階段を降りてくる黒ローブ姿の二人が映った。一人はフードをすっぽり被っている。もう一人は紫髪の男だ。


「ついに来やがった……。挟み撃ちだぁ……」


 万策尽きたハルトが覚悟を決めたその時、紫髪の男が右手を前に突き出した。


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