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俺と黒猫とガーディアンの異世界捜索隊  作者: s_stein
第三章 ダンジョン編(2)
40/60

40.ダンジョンの幽霊

 宿に戻って再度ダンジョンへ潜ることを決意したハルトは、思い立ったが吉日とばかり、さっそく宿を出ようとしたが、シュヴァルツに却下された。


 ならば準備をということで、手に入った金貨でシュヴァルツの剣を買いに行くことになった。


 武器屋を梯子して一番安くて丈夫な物をと探したが、金貨100枚より安い物を置いている店がなく、仕方なく100枚で手を打った。


 この店もペスカと裏でつながって売り上げの一部を上納していることは言うまでもないが、彼らはそれを推測もしなかった。あくまでギルドがペスカとつながっていると思っていたからである。



 翌朝、カメリアの料理に舌鼓を打ったハルトは、「今日はダンジョンで何かいいことがありそうだ」と上機嫌に話す。


 彼のこの当てにならない勘はシュヴァルツにからかわれオルテンシアに突っ込まれたが、料理を褒められて頬を染めるカメリアは、無言で彼への信頼の意思表示をする。


 小休憩の後、一行は昼食も夕食も持参して足取りも軽く出発する。つまり、夜までダンジョンで粘る計画なのだ。


「なあ、シュヴァルツ。第2階層以下で獲得できる特別の魔石が第1階層でも実は手に入れられるんだから、すこし第1階層で粘らないか?

 おそらく、誰もそれに気づいていないから、荒らされていない気がするし」


「坊主。第2階層の入り口を探すのが面倒だからそう言ってやしないか?」


「バレたか……」


「まず、どうやって探すかだが、考えはあるか?」


「ねーから第1階層で考えようとしてんだよ。ったく!」


 そう言って頭を掻くハルトの横でシュヴァルツがつぶやく。


「……やはり、剣を持たぬと頼りないわい」


「なんか言ったか!?」


 ハルトの後ろから付いて歩くオルテンシアとカメリアがクスクスと笑った。



 再び赤銅色の岩の塊にたどり着いた一行は、巨大な門をくぐって直方体の空間に入る。彼らは、昼休憩と夕休憩にいったんここへ戻ろうと話し合い、時計がないのでいつ戻るかはハルトの腹時計で決まることになった。


 それから、オルテンシアとカメリアが剣に変身。


 二刀流になったハルトは、急に人が変わったように大胆になる。剣と感覚が接続することでこうなるのはいつものことではあるが、シュヴァルツは「ずっとそのままでいてくれ」とぼやく。


 シュヴァルツを先頭に洞窟の中へ入っていったが、これは、また偽者と入れ替わらないようにとの用心のためだ。


 空間を明るくしている白熱球のような魔石の数が減って、薄暗くなる。前回は右を通るように誘導されたので、反対の左方向へ歩いてみることにした。


 さっきからハルトが土をまいている。その音が気になるシュヴァルツが、いい加減にしろとばかり、勢いよく振り返る。


「おい、坊主。何をしている?」


「見りゃわかるだろ」


「それを聞いているのではない。なぜそんなことをするのか、という意味だ」


「だったら、そう聞けよ。まどろっこしい」


 二人は睨み合う。そして、同時に息を吸う。


「安っぽい魔石よりも特別な魔石がほしい」「そんなことをしているより先を進め」


 二人は同時に言いたいことを言った。


「同時に言うなよ。聞こえんだろ」


「坊主もだ」


 また二人が睨み合う。


 と、その時、ハルトは行く手の奥の方に人影を見た。


「坊主。何、眉をひそめる?」


「なんか、向こうに影が見えた」


 シュヴァルツは振り返って首を伸ばす。


「何も見えんが」


「いや、見えた。すぐに消えたが」


「魔物か?」


「いや、人だ」


「冒険者だろ」


「服の感じから、下がスカートに見えた」


「女?」


「かも知れん」


「今日は何かいいことがあるって、これか?」


「ちげーよ」


 二人は、警戒しながら奥の方へ入っていく。


「坊主。いないぞ」


「いや、また見えた」


「おい、冗談だろ? 俺を担いでいないか?」


「お前がこっちを見ると、姿が見える。すぐに引っ込むけど」


「じゃあ、位置を替われ」


 今度は、ハルトが前に、シュヴァルツが後ろになった。


 すると、シュヴァルツがギョッとした顔をする。


「な? 見えるだろ?」


「見えた……」


「ちょっと先に進むぞ」


「相わかった」


 二人は一段と警戒して先へ進んだ。


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