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俺と黒猫とガーディアンの異世界捜索隊  作者: s_stein
第二章 ダンジョン編
39/60

39.最下層にある手がかり

「「「「第50階層!?」」」」


 ハルトたち四人の驚きの声がハモった。


「その通り。あのダンジョンの最下層だ」


 ハルトは震えながら尋ねる。


「おいおい……、そんなところに……普通の冒険者が……行けるのかよ!?」


「行ける」


「簡単に言うなぁ……。ん? 待てよ? なぜ、そこに手がかりがあるとわかった?」


「手下が探し当てた」


「もっと詳しく教えろ!」


 カルドは首を大きく横に振った。


「行けばわかる」


「じゃあ、探し当てた手下をここに呼べ!」


「報告した後に息絶えた」


「なぜ!?」


「恐怖のあまり、熱にうなされていた。そいつも『手がかりを見つけた』『行けばわかる』としか言い残さなかった。それ以上は、わからん」


「それを信じろというのか!?」


「事実を伝えたまで」


「俺たちはお姫様とカエデを探して欲しいと言ったんだぞ!」


「知っている。だから、探した。でも、この城に連れて来るとは一言も言っていない」


 呆れたハルトは、テーブルを両方の拳で叩いて立ち上がる。弾みで椅子が後ろにガタンと倒れた。


「じゃあ、これでお前らの仕事は終わりかよ!?」


「言わせておけば、言葉遣いがなっていない奴だ。……まあよい。

 我々の仕事は、探して手がかりが見つかった時点で終わりだ。後は、自分たちで連れて来い」


 カルドは言い終わらないうちに席を立つと、老執事に「帰ってもらえ」と言い残して、さっさと部屋を出て行った。



 城から追い出された四人は納得がいかず、門番の兵士と睨み合った。ハルトは、一暴れしてやろうかと息巻いたが、シュヴァルツに止められ、罵詈雑言を浴びせてから引き下がった。


「あーあ、何だよ! 異世界の連中は、人を騙すことに長けている連中ばっかりじゃんか!」


「坊主。騙される奴の方が悪い。うまい話には必ず裏がある。疑ってかかるべきだ」


「人間不信になるぜ! ったくよう!」


 すると、カメリアがモジモジしながらうつむき加減に言う。


「私たちがいながら、ごめんなさい」


「……いいよ。カメリアは悪くない。調子のいい話に乗っかった俺が悪い。

 それにしても、畜生! 腹立つ!!」


 ハルトは、地面の石を門番に向かって思いっきり蹴ってから逃げた。三人はハルトの暴挙に対して門番に謝罪してから帰途についた。



 宿屋の部屋へ戻ったハルトは、ベッドの上へ後ろ向きに倒れ込む。そして、弾みながら額に手を当てて嘆いた。


「どうするよ……。50だぜ、50! 第5階層ってんなら行けそうなんだが、どう思う?」


 誰も彼の問いかけには答えられない。


「しかも、ギルドとの不利な契約に縛られ、挙げ句にペスカに搾取され……。

 あーあ、やってられん!」


 シュヴァルツが、ハルトのベッドに腰掛けた。


「坊主。じゃあ、どうする? 諦めるか?」


 すると、ハルトはシュヴァルツの脇腹を拳で突いた。


「行くしかねーだろうが!」


 二人はニヤリと笑った。


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