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軍師



「あっぱれじゃ武将! そなた今回の策は見事であった。しかし、どのようにして敵を倒したのじゃ?」


 武将は、すぐに語りだした。


「俺がいた所の兵法書(漫画)を用いたんだ。最初に、軍を三つに分けた。俺が一〇〇〇の手勢でできる限り、直江軍と交戦して時間を稼ぐ。直江は兵を大事にする軍というのは、敵の領内で話を得ていた。そこを逆手に取ったのよ。止まるであろう所を操作した。これが兵との信頼関係を築いていなければできないだろうな。そして俺は、直江軍が両方を山で囲まれている川辺の陣で休むように戦った。川辺の陣は、水も近くにあり、足を取られることからここで休むことは予想することができた。そして、山に囲まれていることから攻めづらいと考えたのだろうな。そこが落とし穴だったってわけだ。両方の山では、小六軍五〇〇が簡易的ではあるが砦を作っていた。そこに作戦を遂行する松之助軍五〇〇を潜ませた。夜になり、直江軍は、砦近くで休息をとる。そこを狙い、松之助軍三〇〇と小六軍二〇〇が火をあるものに灯し、山を下る。これであたかも兵が大量にいると錯覚させた。直江軍は大混乱し、逃げようとする。そこへ松之助率いる軍が矢の雨を浴びせる。これで直江軍は総崩れということだ」


 この作戦は、おびき寄せと夜襲と後詰めがきっちり考えられた策になっていた。そして何より危なくなったら逃げてくれという武将の指示で兵がほとんど無事だったのだ。


「その兵法書はすごいのう。儂にもくれ」


「その兵法書はないが、俺には信じてくれる仲間がいて、信じてもらえた結果だ。ここにいる皆で直江を倒したんだ」


 利家は微笑んだ。


「そうか、そなたの一番の策は信じてくれる仲間ということか。皆で城に帰るぞ」


 戦国の世でも、噂の広まりははやい。


 前田が直江に勝ったということは大きく全国に広まった。


 そして、戦が終わり、今後のことを話し合う軍議が行われたのだ。


「今では儂のことを知らぬものはいないかもしれないぞ」


 軍議に参加していた慶次も笑顔で答えた。


「そうですね。叔母上様も戦以外で外に出てみては?」


 腹黒慶次は、利家を外に連れ出そうとした。


「儂は外には出らん。そんなことよりも、前田武将、蜂須賀小六、松之助。そなた等の活躍は大儀であった」


 すると、利家は、思ってもいないことを口にする。


「武将…… そなたを軍師にしたいのじゃが、どうだろうか?」


 それは、前田家の参謀として働いてくれというオファーでもあった。しかし、武将はそれに条件を付けた。


「それには条件がある」


そして、その条件を書いた書状を慶次に渡した。


一.家来の登用を自由にしていいこと


二.小六を含めて兵を所有していいこと


三.松之助の軍と共闘を許すこと


四.屋敷を作っていいこと


「この四つだ! どうする。利家さんよ!」


 利家はこの提案に大笑いした。


「ハハハ そんなものでよいのか? いいだろう!」


「叔母上様それは、条件が良すぎではありませんか?」


 慶次は武将の出した条件に不服のようだった。


「小六そなたは何を望む?」


 利家が小六に聞くと小六は、笑いながら答えた。


「今回の戦で我が主、武将の下で一生働きたいと思った。それが望みじゃ」


「うむ。わかった。武将、小六、松之助の3名は共に行動する。そして、全ての条件を受け入れる。以上じゃ」


 武将は、屋敷を構えることになった。初陣で手柄を上げて屋敷を持つことになるということは、前田家では例のないことだった。


 小六の屋敷も隣に並んでいた。


「小六住み心地はどうだ?」


「山賊生活が長いせいで屋敷に住むのは慣れてない」


「それは仕方ないな。ハハハ」


 平穏な時間はすぐに過ぎていった。


 そして、1570年(元亀元年)事件は起こる……

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