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答え

 一行は、利家と慶次が待つ加賀を目指していた。


 「あんな奴らに利家を慶次を松之助を取られてたまるかよ。短い時間だが俺にとっては家族も同じなんだ」

 

 それを聞いた松之助がほっとした様子で肩を叩いた。


「それでは、答えは決まったのですね」


「ああ」


 一行は、休むことなく歩き、2日で加賀に到着するのであった。そこには、武将の家来になった小六の姿もあった。利家と慶次は武将たちの帰りをまっていたのだった。


「遅かったのう。同盟はどうなったのじゃ」


 武将の目が変わったのを察した利家は、聞かれたらまずいことに気づいた。


「城の中で話そう」


 利家は、小六の存在にも気づいた。


「なんだこの野蛮な着物を着た奴は」


 その質問に武将は答えようとした。


「こいつは蜂須賀小六。かの有名な墨俣のいち・・・うわああああああ」


 また激痛がはしった。


(そうか墨俣の一夜城を作ったことは史実に関わることなのか)


 そこで考えて紹介することにした。


「俺の初めての家来だ」


「あんたが利家とやらか。よろしく頼むぞ」


 小六が挨拶を済ませたところで、本題に入ることにした。


 利家は小六を勝手に部下にしたことは、水に流そうと考えていた。武将のことだ何か考えがあってだと思っていたのだった。


「小六の件だが今回は水に流そうと思う。ところで同盟はどうなったのじゃ?」


「それは私から」


 そう言うと松之助は利家に書状を見せた。数分ののち利家と慶次は同時にため息をついた。


「だから直江は止めておけと言ったではないか。あいつらは血の気は多いが、頭がきれるのじゃ。しかし、この条件どちらにしても前田には不利になるな。そして力を削がれてしまう。よく考えられた策よ」

 

 利家はあの時止めていなかったことを後悔しているようだった。


「結果的に同盟を組むことはできなかったわけだが、まだ可能性はある。古今東西交渉というのは、強いほうが有利に進められてきた。利家……あんたの許可がないとできないこと。直江を倒す。そして有利な条件で同盟を組む。これでやってみたいと思う」


 武将の目は真剣そのものだった。


「しかし、武将さん勝つ策はあるのですか?」


 慶次は、戦国最強クラスの結束力を誇る直江軍に勝つ方法などないと思っているようだった。


「まあ今までのやり方では、直江軍は破れない。だが、今まで誰も考えたことがない策があるとするなら?」


「誰も考えた事がない策!?」


 全員が同時に声をあげた。


 武将は、歴史の本や漫画を読んで戦国の戦い方は熟知していた。そこで用いられた策を戦いに応じて用いようと考えていた。


「まあ俺に任せてくれ」


「わかった。そなたを信じて兵を二千預けてやる。その二千で直江軍を打ち倒して見せよ」


 こうして武将は、初陣にして二千の兵を預かる総大将になった。直江軍は少なく見積もっても一万はいた。


 前田軍は、加賀と越後の国境に陣を張った。直江軍は、事前に前田軍の動きを知っていたのか、兵を与板城に集めていた。


「小六この辺りは、お前が一番動きやすいよな。そこで頼みたいことがあるんだが…」


 武将と小六は、何かこそこそ話している。


「小六さん。武将さんと何を話しているんですか?」


 そこには、松之助の姿もあった。


「なるほどお主! それは誰も思いつかない策だ」


 そういうと小六は、草の影に消えていった。


「武将さん! 私にもその策を教えてください」


 武将は、興味津々の松之助に策の説明をした。


「なるほど。この手勢でそんな策が実行できるのでしょうか?」


心配そうな松之助の頭をポンと叩いて武将は言った。


「兵は多ければ多いほどいくら結束力があっても綻びが生じる。この策はその綻びをつく策だ」


 松之助は、初陣で二千の兵の総大将になった武将の身になって考えた。すると足が震えだした。それほど松之助にとっては思い重圧だった。


「松之助……この戦いは、一日いや半日で勝負が決すると思う。だからお前はお前の仕事をしてくれ」

 

「わかりました。前田軍が勝てるように全力を尽くします。武将さんのためではありませんから」


 武将たちは二千の兵を蜂須賀軍五百、松之助軍五百、そして武将軍一千に分けた。そして直江軍が攻めてくるのを待った。


 一方の直江軍。


 あの野蛮な格好をしていた兼続と謙信も甲冑を着ていた。


「あの武将という男、前田を攻める口実を作ってくれたことに感謝してる。見た所攻めてくる気配もない。ならば一万の軍をもって圧倒的な力で制圧するだけよ。我に続け!」


 ここに前田軍二千と直江軍一万の合戦が始まるのだった。


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