地獄
「私は、北条家に仕えていました。北条氏康様は私を実の子のように可愛がってくれました。見たことは完璧ではないもののほとんどできる私は、剣術をしなくともできました。程なくして氏康様が亡くなられて娘の氏政様が当主になられました。それが地獄の始まりでした」
竹中半兵衛は、斎藤氏から、秀吉の家臣になる。しかし、この世界には武士として戦う秀吉はいない。斎藤氏が滅ぼされたのち北条氏に拾われたのだと武将は思った。
「氏政様は、何でもできる私が嫌いだったのか、城に火をつけさせるような仕事をさせるようになりました。そして私は風魔小太郎と一緒に破壊工作をしていった。ある日風魔小太郎と氏政様が私を消そうとしているという噂を城で耳にして逃げるように城を出ました。来る日も来る日も走り続けてあなた方と出会ったのです。私を北条に差し出しますか?」
すると、慶次は半兵衛の頭を叩いた。
「そんなこと私が許しません。半兵衛さんは私が守ります。そして叔母上も認めさせます」
慶次は、腹黒の割りに絶対悪は許さない。そんな人間なのだろう。武将は、慶次の中で燃える炎を見た。
「そうと決まれば明日から鎌倉に向けて出発するぞ」
武将は、竹中半兵衛を信じることにした。そしていつか北条氏と一戦交えることを決めた。
北条を倒して、半兵衛の呪縛を解く。新たな目標ができた。