動き
「いきなり斬りかかるなんてせっかちね」
「すぐに倒してやる」
武将は、早々に雑魚を片付けて小六の戦いを見ていたが、小六の動きが遅くなっていることに気づいた。信玄は小六の攻撃を防ぐだけで攻撃しようとはしない。
「小六動きが遅くなってるぞ」
「わかっている」
なぜ小六だけ体力を削られているのか。元々山賊だった小六は、体力には自信があると言っていた。
武将は、信玄の妙な足の運びに気づいた。
「あの動き…… もしや…… 」
昔じいちゃんから聞いたことがあった。沖縄が琉球だった時代その拳法は、相手の体力を奪うことに特化した拳法で相手の体力を奪ったところで勝負をつけるという形だった。信玄の足の運びはその拳法そっくりだったのだ。
「小六!あいつの動きについていこうとするな! あいつの動きについていけば体力を消耗するぞ」
「そんなことを今更 ぐは!」
小六は信玄に斬られた。幸い傷は浅くすぐに体制を立て直した。
「こいつは俺と同じような拳法を使うぞ」
同じような拳法と聞いて、小六は武将の合気道の弱点を探ったことがあった。その時、軸である足を攻撃することを思いついたのだった。
「一つだけ言っておく。お前は私に勝てない」
そして刀を鞘に納めた。
「勝てないのはお前の方じゃないのか!」
勝利を確信したのか信玄は、小六に斬りかかろうとした。
その瞬間信玄は、足を抑えて倒れていた。
「その足もしばらくは使い物になるまい。さらばじゃ信玄」
小六は、刀を振り下ろそうとした。そこへ見知らぬ忍が割って入った。
「何の用だ!」
すると、その忍は、信玄の肩を持った。
「義元様は、この戦は本意ではないと撤退された。そなたもボロボロだ。ここは撤退されよ」
「小六とやら勝負は預けておく。今日は私の負けだ。関所を通るがいい」
そう言い残して信玄の謎の忍は消えた。
武将は、決定的瞬間を見逃さなかった。
「あのマークは北条」
小六は、倒れた。
「あの忍とやり合う元気はなかった。あいつは慶次よりもはるかに速い。何者なんだ?」
小六が聞くと武将には、心あたりがあった。
「風魔小太郎……」
武将は、そうつぶやいた。
「しかし、これで今川と北条は通じている。これは、前田にとって重要な情報だ。ありがとう小六」
小六は、このまま慶次が合流するまで眠り続けた。